ヨルベニ節
早く風に出会いたいから
滑り落ちるように外に出て
通り抜けられない小道が
数えるたびに増えていく
あぜみち汗かき焦りかけっこ
君が何かを問いかける
太陽の下、重ねた手のひら
爽やかな風がなでたようだ
けれど
幸せだって喜びだって
黒く塗りつぶされ
いつか何もなくなるときが来る
人には夜が必要だ
夜は人を大切にするから
きっとあなたの恋人よりも
あなたが泣いても誰かに
笑われなくて済むのは
夜が人の情けなさを隠すからだよ
それでいいって
言ってくれるからだよ
胸がいっぱいだった頃は
スキップしながら家を出て
埃ひとつない自分のお洒落に
自信を持っていたりした
私は私より不幸な人に
私は恨まれる筋合いなんてなくて
口笛を吹こうとみんなに
呼び掛けたことは黒歴史
けれど
幸せだって喜びだって
黒く塗りつぶされ
いつか何もいらなくなったんだ
夜は人を抱き締めるから
きっとあんたの恋人よりも
優しく、だからあんたも
心をとかして泣けるのさ
情けなく月に隠れていたからね
誰も迎えに来なくてもよかったろ
タクシーがなくても
歩いて帰れただろ
悲しい日の方が多くて
悲しい人の方が多い
それでも昼間は
明るくて楽しげで
幸せそうで
お互い羨ましいと思って
けれど
夜は枯れ枝みたいに
窓の杜によりかかって
ずっと泣いてる
あの人も多分泣いている
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