もし僕のことが知りたいなら、まずは酔いつぶれるほど酒を飲むことだな

 もし僕のことが知りたいなら、まずは酔いつぶれるほど酒を飲むことだな。ぼくという人間は24時間のうち16時間は酩酊状態なんだな。ちなみに残りの8時間は二日酔いだ。その人がどんな人か知りたければその人が普段どんな生活を送っているか知るに限る。生活ってのはその人すら気づいていないような本性ってものが現れるからね。

 ただ何の事前情報もなしってのはフェアじゃないね。よし、ここは一つ僕の昔話しをしてあげよう。きっ僕のすべてを知ることはできやしないが、どんな人間かはなんとなく掴めるんじゃないかな。


 僕は高校生のとき、特に部活動を盛んにやっていたわけでもないし、学業に励んでいたわけでもなかった。

 え? なぜ中学生や小学生の頃の話をしないかって?

 決まってるじゃないか、中学生なんてよっぽどの人間じゃなければ人格と呼べるほどの立派なものが出来上がってる時期じゃないからね。小学生ならなおさらだ。そんな野生動物みたいな時期のことを話したって仕方がないだろう。それとも君は敬虔なフロイト信者で僕がこんな残念な性格をしているのは幼い頃の性衝動リビドーだとでも言う気かい?

 フロイトは確かに偉大な科学者かもしれないが、批判的な態度を取らずに盲信することは科学的じゃないね。

 とにかく、僕の人生ってのはクソみたいな灰色の高校時代に始まる。

 僕はいわゆる不良と呼ばれる部類の人間だった。酒を始めたのその頃からだった。当時大学生だった兄貴が酔った勢いで酒を無理やり飲ませてきたのが最初さ。ウイスキーだかウォッカだったか忘れたが、とにかくアルコールの強い酒を無理やり飲ませてきたのさ。気持ち悪くなってトイレに駆け込む僕を見て、兄貴の仲間だちと一緒にゲラゲラ笑っていたよ。

 それからも時々、兄貴は俺に酒を飲ませてきた。最初は憂鬱で仕方がなかったが、酒の飲み方にも慣れてからは、自分から兄貴と仲間だちの飲み会に足を運ぶようになった。

 あんなクソ兄貴さえいなければもっとまともな人生を送っていたんじゃないかって時々思うことがある。それでも僕にとってはかけがえのないたった一人の兄弟だ。なんだかんだ言って悪めないやつなのさ。


ん? ああ、そうかい。僕の話はつまんないか。それじゃ、ココらへんでお終いとするよ。

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