第4話 試行 そして始まる。
「実験がしたいんだ」
そう、実験。
リトルスターについてもっと詳しくなるための実験だ。
「...具体的に何をするの?」
カリスは問いかける。
「まず、
『同時に複数の願いを叶えられるかどうか』だ。
もう一つに
『現存の存在に存在しない何かを付与出来るかどうか』。
加えて、
『存在しない何かを実体化させることが出来るか』。
この3つを調べたいんだが、どうだろう?」
もし上手くコントロール出来るのなら、金稼ぎやらに使えるのではと今日の朝考えついた。
それへの第一歩に近い。
「別に良いけれど、内容はどうするの?」
問題はそれだ。
正直2つは思いつくが、2つだと少々少ない気がする。
「...まず1つ目は、『ゆいスト☆の主人公のゆいが実在すればいいのに』っていう風にする」
「なるほど...。2次元のキャラを3次元に出来るかって事ね」
「そういう事だ。正直無理だとは思うけどな。
2つ目は『周りの女子が異能とか持ってたら良いのになぁ』...だ」
「中二病ですね」
「ウッ」
正直これはどうかとは思ったが、『周りの女子』という現存の存在に『異能』という非現存の存在を加える...という結構しっかりとした実験だ。
それにわかりやすい。
問題は...
「あともう一個、何かを叶えたいんだよな」
「そうなの?」
カリスは不思議そうな目で画面越しから見つめている。
「ああ、一応何個までいけるかっていうのも試したいからな。2つだとなんか味気ないだろ」
...そうだ。
「カリスお前何か、夢ってないか?」
「うぇ!?」
白髪赤目ポンコツデジタル少女は目を丸くして声を裏返せた。
「3つ目はお前に決めてもらおうという事だ」
「そ、そうね...」
カリスは真剣な顔持ちで考え始めた
...
...
これが中々の長考だった。
何だかんだで20分くらい経った気がする。
「まだか...?」
「...えぇ」
ようやく決まったようだ。
「人間の身体が欲しい...じゃダメかしら...?」
神妙な顔で言った願いはそんな感じだった。
結構良いとは思うので...
「採用」
と承諾したが、何故かカリスはそこまで明るい顔はしなかった。
何でだろうか。
俺はPCを立ち上げ、リトルスターのURLを入力し書き込みの準備に入る。
[周りの女子が異能とか持ってたら良いのに]
[ゆいスト☆の主人公のゆいが現実にいたら良いのに]
[カリスに人間の体を与えたい]
...3つ書いた。
あとはエンターキーを押すだけ...。
押すだけ...
...なかなか押せない。
なんだろうか。
不意に怖くなった。
この前の書き込みの時もこんな感じだった。
だが、怖気ずいては前へ進めないのだ。
押すんだ...。
カリスがその綺麗な赤目を不安げに曇らせながら画面越しに俺を見守る中。
俺は。
0002 名無しさん 2020/08/04 23:44:44
周りの女子が異能とか持ってたら良いのに。
ゆいスト☆の主人公のゆいが現実にいたら良いのに。
カリスに人間の身体を与えたい。
押した。
すると、
グラグラと地面が揺れだした。
まるで大地が怒っているかのような...。
「!!」
この前と同じだ。
やはり...
「この地震はやっぱりこのリトルスターと関係が...」
あるんじゃないか。
そう言おうとした時だった。
「ぁ...ヴぁ...」
頭が割れそうな頭痛が襲いかかっていた。
思わず頭を抱える。
そういえば...これもこの前にあったな...。
だが、地震も頭痛もこの前の日ではないくらいに強くなっていた。
やばい。
痛い。
痛い。
いたい。
われる。
割れる。
われる。
頭が。
あたまが。
世界が。
とてもその頭痛は耐えられる痛みではなかった。
こんなの、
「う...う゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
叫ばずにはいられない。
カリスが何か言っているがよく聞こえない。
俺は。
意識を...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます