第3話 考案
都市伝説調査についてサークルメンバーで集まる日になった。
結局、この前の出来事はカリスと俺だけの秘密にしておくことにした。
自分だけの手柄にしたいとかそんなのじゃない。
なんとなく、巻き込みたくないと思った。
あの日と同じように、いつものメンバーで集っていた。
みやこに晴に、拓斗にカリスに俺だ。
「え〜と、リトルスターについて何かわかった人〜!」
真っ先に呼びかけたのはみやこ。
ニコニコ笑顔で。
「...正直お手上げ...」
「アタシも結構手こずってる〜」
「実はみやこも〜...」
みんな特に進捗は無いようだ。
「俺とカリスは何も」
「う、うん。そうね〜...」
俺たちは何も知らないふりをしておく。
というより、このポンコツついさっきから挙動不審だがどんだけ嘘つくのが下手なんだよ...。
「みやこは学校のクラスメートとかに聞いてきたけど、みんな噂ぐらいの情報しか持ってなかったの~」
「まぁ...そう簡単には見つからないよね...うん...」
いやまぁ見つけてしまったんだけどな。
言わないが。
「そういえば、冬コミで出すゆいストってどんな感じにするの?。アタシは携わるの初めてだからよく分からないんだけど...」
「...それは斗哉しかわからないよ...」
自然とみんなの話題は『ゆいスト☆』へと移った。
ゆいスト☆。
俺の書く魔法少女物の同人の漫画だ。
ある事故で声を失った茶髪目隠れロングヘアーの少女『ゆい』は、ある日から魔法少女として目覚める。
ゆいは魔法少女の力を活かして人々を助け、自らの声を取り戻そうとする...みたいな感じだ。
ちなみに結構ダーク。俺の趣味だ。
ちなみに主人公が声を失ってるのも、俺の趣味だ。
まだ続きは思いついてないので...
「まだ秘密にしておこうと思うッ」
「えぇ~」
「アタシ知りたいけどなぁ...」
誤魔化した。
自然と話の話題は数日前にあった『地震』になっていった。
最初に切り出したのは晴だった。
「そういやさぁ、少し前にまあまあ大きめの地震あったよね?」
「あー!あったねぇ〜。みやこも覚えてる~」
「そ、そういやあったな...」
吃ってしまった...。
もしかしなくても俺も嘘をつくのが苦手なんだなぁと実感させられる。
そう、地震はあった。
俺がリトルスターに書き込みをした瞬間だった。
確かにわりと大きかったが、あの時は地震以外にも俺には『激しい頭痛』が襲いかかっていた。
が...
「え?お前たちは頭痛くならなかったのか?」
「うん。アタシは別に」
「みやこは健康なのです!」
「僕も...そんな事はなかったな...」
「AIですから、頭痛なんて感じませんよ」
どうやら、俺だけらしい。
改変に気づけたのが俺だけというのも気になる。
何か関係ありそうだが、現時点では情報不足だ。
苦い顔をしながらそんな事を考えていると、みやこは何かを察した様子で
「今度は地震の時の頭痛について聞いてみるね!」
と、笑顔で言った。
みやこはホントに優しい子だ。
俺なんかじゃ到底敵わない。
彼女の笑顔は人を元気にしたり、幸せにする力を持っている。
俺も、同人誌制作の時とかに何度も彼女のアイデアに助けられた。
彼女に相談するか?
いや...それは避けたい。
恐らく相談すれば信じて、力になってくれるだろう。
だが、やはり巻き込みたくない。
「...とーやはどう思うの〜?」
「へ?」
「んも~聞いてなかったの〜?。好きな数字って何って話をしてたんだよ〜」
やべ、思いっきり聴き逃してた。
というか、話の話題のブレ具合半端じゃないな...。
そんな事を考えていると、もう夜になりつつあった。
「やっば、アタシ帰らないと...」
やけに深刻そうな顔を晴がする。
そんなに家厳しかったっけな。
「じゃあ晴ちゃんは、みやこと一緒に帰るんだよぉ〜」
「...お願いしようかなぁ!!」
あ、いつも通りになった。
なんだったんだ。
仲良してぇてぇ二人組は騒々しく玄関を出た。
その後拓斗が、その痩せボディを揺らしながら帰っていった。
「...で?。何か、私に用があるんでしょ?」
流石、感が良い。
AIだから予測的な感じなのかな。
「リトルスターの件だが」
「えぇ」
深呼吸して
言う
「...実験を行いたいんだ」
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