第2話

綺麗なライトグリーンの髪、色々なところが幼いが小動物的な可愛さにどこか神々しい感じがした。次元が違うとでも言おうか。

…というか今彼女なんて言った?間違えた?何が?俺が生まれてきたこと?

確かに間違ってはいない。だがそれは自分で自虐ネタとして言うものであって周りが言ったらただのいじめだからね?

少女の言葉の真意を探っていると少女は軽く咳払いをし

「戸惑うのは分かります。ですが少しばかりお話を聞いていただけますか?」少女は落ち着いた声でこう言ってきた。

俺は焦る気持ちを隠しながら、少し見栄を張って落ち着いて見せた。

その姿を見た少女は淡々としかしどこかに焦りがあるような声で告げた。

「まず謝罪をさせてください、申し訳ありませんでした。」

「あっはい。」

いかんつい癖が出てしまった。最近人とあまり話していないから接頭語が「あっ」みたいになってしまっている。ちなみに秀人は人ではなく変態なのでノーカンだ。

「私は天使で名はシアルと申します。あなたが住んでいた世界とは別の世界、所謂異世界に行っていただき、魔王を討伐していただきたいのです。」

ほう。つまり俺は勇者として魔王を倒せってことか。

…ならなんで謝罪をしたんだ?突然呼びつけて申し訳ありません的な?

「そしてここまで転移していただく直前、私のミスであなたを転移させてしまったみたいなんです。」

…は?なら本当は違うやつが呼ばれる予定だったけど俺が呼ばれたってことか?

「なら早く戻してもらってもいいですか?」

少し怒りを露わにしながらも可愛い少女手前ちょっとカッコつけてしまった。

「それが…1度転移させてしまうと戻るには輪廻転生するしかないんです。」

ふむ、つまり異世界に行くしかないと。

「異世界に行き魔王を倒して頂ければ、願いを叶えることが出来ます。その願いを元の世界に戻るにしてもらえば私たちも戻すことができます。」

「幸い永村様にも適性があるようですので魔王退治も可能かと。」

多少強引ではあるが納得は出来た。だがその前に

「えっと…色々と教えていただきたい。」

俺はシアルさんに色々教えてもらった、異世界は魔王に侵略され、大変なこと。暴れる魔物たちを止めて欲しいということ。

止めることが出来た暁には願いをなんでも叶えるということ。勇者は力尽きても何度も生き返れることなど。

そして気になったことも聞いてみた。

「裸一貫で行けってことはないんでしょうけどある程度強いステータスにしてもらえるとかあるんですか?」

よく言うチートステータスというものだ。

異世界チートとかありがちだからな。

「それが…適性の高い方なら全ステータスカンストくらいには出来るんですが、永村は適正があまり高くないので元々才能があるものを少し上昇させるくらいしか出来ないです。」申し訳なさそうにシアルさんはそう言った。

なら異世界でチート能力でハーレムとか作れないの?なんなのその理不尽仕様!

「ですが、転生者は元いた人々に比べて多少のステータス上昇がありますのでその辺の傭兵くらいの強さにはなるかと。」

なるほど。チート級のステータスにはならないが人並みよりかは強くなれるということか。

「なので私にできることは才能があるステータスの上昇とあなたに対して適性の高い固有武器を与えることのふたつです。」

武器!なんとも素晴らしい響きだ、これこそ異世界って感じがある。

「永村様は魔力の適性が比較的高いようなので、魔力の増強と…この魔力量なら銃が1番相性が良さそうですね。」

銃?最高じゃないか、しかも魔力適性があるなら魔法とか使えるじゃないか!まさに異世界!

「この銃は魔力を発射する仕組みになっています」そう言うとシアルは手を振り上げた。

するとその軌道に沿って亜空間のようなものができ、そこから銃を出して見せた。

四次元ポケット的な感じだろうか。

「魔力で撃つのでリロードなどもありません、代わりに1発で打ち出す魔力量を固定値と割合値に変更出来ます。」

つまり魔力で自由に威力を変えられる銃ってことか。おもしろい仕組みだな。

「ではこれから旅に出ていただきます。」

シアルは手を叩くとその場に扉が現れた。

「この扉の先が異世界となっています。」

色々とトントン拍子で進んでいってまだ実感が湧かないがとりあえず行ってみるか。

扉を通ろうとする直前、シアルが俺を止めてきた。

「初めは宿屋で休むのも大変です。この鍵を振り下ろしてもらえば私の部屋へと繋がります、間違えてしまったお詫びにどうかお持ちください。」そう言うと俺に鍵を渡してきた。

…部屋の鍵くれんの?何それは襲ってもOK的な?そういう感じ?

据え膳食わぬは男の恥とは言うがこんな小さい子を襲うのは倫理的にまずそうなので抑えておこう。

そんな話をしているとふと聞きたいことを思い出した。

「本来ここに転移する予定の人って誰だったの?」

「詳しくは分かりませんが、確か河野秀人という方だったと思います。」

結局あいつか、どこまでも主人公な奴だ。

「どうかあなたの旅が幸せなものでありますように…」

扉に入るとまばゆい光が数秒間襲い思わず目を閉じた、開くとそこは洞窟の中だった。

そして目の前に黒いなにか、触れてしまえばいとも容易く吸い込まれてしまいそうなブラックホールを彷彿とさせる物体。

言語化するとそんなところだ、

周囲を見回し状況を確認しているとは口を開いた。

「なんだ貴様?魔王の城にそのような格好でノコノコやってくるとは良い度胸よな。」

魔王の城?ってことは…

「我は魔王ノヴァ!脆弱な人間など滅ぼしてくれる!」

…これ詰んだよね?

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隣が真の転生者 @Gran_Garcia

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