隣が真の転生者
@Gran_Garcia
第1話
深い闇、触れてしまえばいとも容易く吸い込まれてしまいそうなブラックホールを彷彿とさせる物体。
それが今まさに目の前に対峙しているそれだ。
近づくことすら許されないのを肌がヒシヒシと感じる。
「弱者め、話にならん」
へっぴり腰の俺を見ながらそれは言った。
弱いのは事実だ、実際に今も逃げる方法を模索し続けている。たが、自分が眼中に無いことを知った時、私の無けなしのプライドに火がついた。
俺は銃を突きつけ、引き金を引いた。
何気なく過ぎていく大切にすべき日々。
大人になってからも忘れることの無い心に残り続ける日々。
そんな絶対に無駄にしてはいけない「高校生活」を俺、永村成斗(ながむら なりと)は特に何もせず過ごしていた。
家と学校の往復。学校では特に何もせず、家ではひたすらゲームをやり込み、漫画やラノベを読み漁る。
所謂世間で言うオタクと属される生物だ、しかもその中でも目標もなく、好きな事でないとまともに続けることの出来ないダメな生物だ。立派に生まれることが出来なくて両親には申し訳なさで正直ご飯3杯はいける。
「また1人で微睡んでんのか?」
そんな生産性のないことを考えていると横からそんな声が聞こえてきた。
彼は河野秀人(こうの ひでひと)。俺の隣の席で文武両道、容姿端麗の完璧超人だがそれを鼻にかけない。正直とても良い奴だ。
きっととてもモテているに違いない。
「せっかくの高校生活全部をそんな風に充実せずに過ごすのかよ、彼女とかいねーの?」
そんなことを秀人のという男は平気で言ってきやがる。手が出そうだった。
「俺はこれくらいがちょうどいいんだよ、ってか彼女いないから俺と大して変わらないだろ。」
そう、完璧なのにあまり人気がない、それでも一般的に見れば十分にモテているのだか。
「何言ってんだ、俺にはこいつがいるから」
そういって秀人が出してきたのはスマートフォン。その中で煌めく1次元違う彼女。
そう河野は完璧超人だがゴリゴリのオタクなのだ。
今まで何人の女子が告白してきても「彼女がいる」と言っていたやつの彼女は画面の内側にいたのだ。
こいつが俺に絡んでくるのはそういう理由だ、オタクのくせにイケメンだからモテるとかこの世界どうなってんの?ゲームバランス間違ってんじゃないの?
「それで充実してると言えるんですかねぇ…」
「充実ってのは本人の主観だから俺は充実してんの。」
そんなことをほざく秀人に目を向けていると、学校のチャイムがなった、3時間目が始まる。ってか3時間目が1番面倒だと個人的に思う。
次は電気基礎だったか専門知識は骨が折れる。
そんなことを思いながら黒板の方に目を向ける。だが俺の瞼がそれを許してくれない。
…昨日夜中までアニメ見てたからね、多少はこうなる予想は出来てたけどね?
この時間は寝て次の時間から本気だそう、そうだそうしよう。
そう思い俺は目を閉じ机に突っ伏す。この授業の終わりのチャイムを目覚ましにしようなんてしょうもないことを思いながら。
…?
授業始まったよね?全然音しないんだけど、先生の声どころか生徒の無駄話も聞こえてこないんだけど。
なにかおかしい、俺は気になり顔をあげると目の前にいつもの教室の風景はなかった。
代わりにあるのは何も無い部屋に派手な椅子が1つ、そしてそこに鎮座する美しい少女。
わけも分からず呆然としていると、
「ま、間違えた!」
少女はそう言った。
……は?
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