第12話 巨大な弦
「吸われ過ぎてからっぽになった人間は、どう救えばいいんだよ」
アンジェラに食い付いたって仕方ないが、昨日「事件は解決」みたいにへらへらと奥さんに言ってしまったことが悔やまれてならない。
俺は、強く唇を噛む。
「彼女の夢を、苦しみや辛さを吸った夢喰花を退治するしかない」
が、そう語るアンジェラの表情は硬く。
「ただ、花が散ると、寄生されている人はーー…」
ドォォン!
爆音と共に視界が砂煙と塵に遮られる。驚いたが、すぐに戦闘態勢をとり。
アンジェラは男性と有彦を庇うよう前に立つ。
砂煙が薄くなると、アパートの壁が派手に倒壊しているのが見えた。何が起こったのか。
すると、外からずるり、室内に侵入してくる影が。うねうね蠢く緑色の物体は、巨大な植物の弦だ。
太さが、女性のウエストほどあろうか。
見た感じ、弦と言うよりは化け物の触手に近い。
それは壁を壊しただけでは飽き足らず、ビタンビタンと床を叩き、家具を凪払い、縦横無尽に暴れだして。
「アンジェラ!有彦とおっさんを連れて逃げろッ」
俺は叫ぶと、懐から十字架を取り出し、構える。
「お前が『吸いすぎた』ってやつか?夢喰花!……喰いすぎだな、そんなデカくなるとは。俺がダイエットさせてやんよ!」
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