5 島に平穏が戻る
悪魔が消え、この島に平和が戻ったのですわ。
でも、その傷跡は色濃く残ったままですわね。
いたるところに悪魔が暴れた傷跡が残っていていろんなものが荒らされていますわ。
「はぁー。仕方ねぇなぁ」
そう言うと天海は地面に手を当てたのですわ。
すると、島の地面が温かなオレンジ色の光に包まれてどんどん地面がえぐれたり荒らされたり壊された家が元通りに戻っていったのですわ。
それを見て島の住人はとても喜んでいますわ。
良かったですわね。
島が元通りになって島に平穏が戻って。
わたくしもとても嬉しいのですわ。
この島のみんなに笑顔が戻ってくれて。
それでもまだすべてが解決されたわけではないのですわ。
悪魔が急に消えた理由も分からないと言うのに。
まあ島の人たちは何も知らなくていいのかもしれませんわね。
何かあっても天海が守ってくれるのですから。
知らなくてもいいことってありますもの。
だから、島の人たちは何も知らなくていい。
でもまだ終わりじゃない。
「よし、帰るか!」
島を見渡して満足そうに笑ってそう言ったのですわ。
その笑顔はニヤリと嫌な笑顔ではなく普通に爽やかな感じで笑ったのですわ。
そうしてわたくしたちは天海の家までみんなで歩いて帰りましたわ。
天海の家に着くと天海は大広間の窓の近くに寝転がってしまったのですわ。
「どういう事なのか説明してくれる?」
わたくしは天海の近くに座り寝転がっている天海に向かってそう聞いたのですわ。
「はあ?何がだ?」
天海は天井を見ながらそうめんどくさそうに聞いたのですわ。
片方の足をもう片方に乗せ、頭を両手に乗せて。
「どういう事なのか説明してって言ってるでしょ!」
わたくしは少し怒ったようにそう言ったのですわ。
「あぁー分かった。説明する。だけど俺にもすべてが分かっているわけじゃない。まず、悪魔がこの島の事を知っていたのはおそらく前の魔王から話を聞いたことがあったからだろうな。だから、俺の事も知っていた。俺が神なことも俺の容姿もそれから俺の強さも。それで俺が現れて逃げた。勝てないと分かっていたからだろう。ってなると今回の敵は現魔王ってところだろう。魔王が変わったことは知っていたが、そいつがなぜこの島を襲うのかは知らない。だが、1つ心当たりがある。現魔王にはきな臭い噂があるんだ。その噂は人外を集めて人間相手に見世物にしているというんだ。それが本当ならこの島のやつらを攫うことが目的なんだろう。ここには人外しかいない。効率よく集められると考えたのかもしれん」
天海は天井を見つめたままそう話したのですわ。
いつものふざけた感じではなく苦虫を噛み潰したような顔で。
もしかして責任を感じているのだろうか?
いつもの天海とは違うことに驚いてわたくしは何も言えなくなってしまったのですわ。
どう声をかけたらいいのか分からなくなってしまったの。
だってわたくしはこの島から出て行くのですから。
わたくしは空の元から離れられないの。
もう悪魔の結界はなくなり、自由に島を出られる。
だったら空たちは帰ることになるでしょう。
空たちが帰るのならわたくしも帰ります。
そんなわたくしがここで無責任なことが言えませんわ。
「そう。分かったわ。説明してくれてありがとう」
わたくしはそう言ったのですわ。これ以上のことを言う資格はわたくしにはありません。
そもそも説明してもらう資格すらなかったのかもしれませんわね。
それでもどうしても気になってしまったのですわ。
少しでもこの島に関わったものとして知っておきたかったの。
でも、そうなるとこの先も悪魔に襲われる可能性があるのですわよね。
この島の事を知られてしまっているのですから。
それを天海が1人で守ると言うのでしょうか?
出来ればわたくしも一緒にこの島を守りたいと思ってしまうのですが。
でも、わたくし1人がこの島に残るわけにもいきません。
わたくしはもっとこの島の事を知りたいのですわ。
天海がそこまでこの島に入れこむ理由が知りたい。
どうして天海はこの島を造ったのだろうか。
そしてどうして天海の守る対象が人間ではなかったのだろうか。
まだまだ気になることはたくさんありますが、わたくしは空たちの決めた道を一緒に歩いていくだけ。
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