4 悪魔に逃げられる

「戻れ!」

今度は別の悪魔の思念が伝わって来たのですわ。

今度のは島の中ではなくもっと別のところからの思念ですわね。

これはどこからなのでしょうか?

もっと下の……。もしかして、魔界かしら?

たしか魔界って土のもっと下にあったはずですもの。

それに悪魔は魔界に住んでいますし、きっとこの悪魔たちも魔界から来たのでしょう。

ってことはこの思念の主がこの悪魔たちのボスということになるのでしょうか?もしくは上司かしら?

どうして戻そうとするのだろうか?

天海を恐れている?

天海とは戦いたくないということなのでしょうか。

だったらやっぱり天海の事を知っているということになりますわね。


「待て!」

天海が悪魔たちに向かってそう叫んだのですわ。

一体なんだと言うのでしょうか?

天海はとても焦っているようですが。何に焦っているのかわたくしには分かりませんでした。

そう天海が叫んだあと悪魔は忽然と姿を消してしまったのですわ。

「はぁ?マジか。ふざけんなよ!」

天海はイライラしたようにそう叫んだのですわ。

何が起こったのか天海には分かっているようですわね。

でも、島のみんなが何が起こっているのか分からずに混乱しているみたい。

あちこちからざわめく声が聞こえてきますわ。

混乱が収まると次は喜びの声が聞こえてきましたわ。

涙を流すもの、友人と抱き合って喜ぶもの、ハイタッチするもの。いろんな喜び方で喜びを表現していましたわ。

それで何が起こったのか説明しましょう。

あれはきっとその魔界にいるボスが外から転送させたのでしょう。

結界に触れることがないからこの島から出られたってことかしら。

もしかしてずっと見ていたのでしょうか?

だとしたら、これは下見のようなものなのかもしれませんわね。

下見ならまたこの島に現れる可能性がありますわ。

大丈夫でしょうか?

「ちっ!逃げられたか」

天海は舌打ちしたあと少し下を向いてそう呟きましたわ。

それにしても今日の天海はイライラしていますわね。

勝手に自分の顔を使われたことに怒っているのでしょうか?

「この借りは必ず返してやる」

そう言って天海はメラメラと怒りをもやしていますわ。オーラが真っ赤ですわ。炎のように。



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