3 悪魔を閉じ込める
「それにしても、なんなんだ。悪趣味すぎんだろ!」
天海は辺りを見回して頭をかきむしってイライラしたようにそう言ったのですわ。
だって辺り一面自分と同じ顔があふれかえっているのだもの。
でも、イライラするのね。
何にイライラしているのかしら?
これを見て気味悪がったり驚いたり混乱したりするのは分かるけど、イライラするなんて。
怒りなのだろうか?
「おい!逃げるぞ!」
そんな感じの思念が悪魔から伝わって来たのですわ。
悪魔は喋らないのだろうか?
たぶんリーダーだかボスだか分からないけどここにいる悪魔のトップがここにいる悪魔全員にそう伝えたんだと思うわ。
そして、それを聞いて悪魔が帰ろうと海岸に向かおうとしたのですわ。
「はぁ?逃げるつもりかぁ?そんなことこの俺様が許すと思ってんのかぁ?」
天海が凄くイライラしたようにそう叫んだのですわ。
そして天海は手を高く掲げ島に結界を張ったのですわ。
わたくしがさっき張った温かいオレンジ色をした結界ではなく、青色の結界ですわ。
おそらく、悪魔を出られなくするような結界なのでしょう。
わたくしがさっき張った結界は壁の様なものでただ誰も入ってこられないようにしただけだけど、天海が張った結界は悪魔限定のものなのだと思いますわ。
きっとその方が強度が高いのでしょう。
いや、それだけじゃないみたい。どうやらその結界に魔力が触れると電流が流れるようになっているみたいですわ。
これなら壊そうと近づけばその電流が流れて気絶する。
対悪魔用だから普通の人間が触れたら死ぬレベルでしょうね。
これで悪魔がこの島から出ることは不可能ですわね。
「よーし。なら、何が目的なのか吐いてもらおうかぁ!」
天海は手をボキボキ鳴らしながらそう叫んだのですわ。
それに悪魔たちは言葉なくざわついたのですわ。
でもどうして天海を見て逃げようとしたのでしょうか?
神を見て逃げようとしたならわたくしを見て逃げようとしなかったのはおかしいですわよね。
なら、天海の事を知っていた?
わたくしのことを神だとは知らなかったから逃げようとはしなかった?
天海を知っていたとしたらどうして知っていたのだろうか。
神の事を悪魔が知っているなんてことがあるのだろうか?
何か繋がりがあると言う事だろうか?
まだまだ分からないことばかりね。
きっとそれも天海は分かっているのでしょうけど。教えてはくれなさそうね。
「おい!お前!何が目的なんだ!言え!」
天海が悪魔の1人を捕まえていますわ。そして胸倉をつかんで何度も揺らしながらそう怒鳴りつけていますわ。
でも、相手は何も言おうとはしませんですわね。
と言うかそもそも喋らないっぽいけど。
簡単に目的を話したりはしないでしょうね。
そもそも、この悪魔たちは目的を知っているのだろうか?
「目的を話しなさい」
わたくしは天海に近づいて行って天海が胸倉をつかんでいる悪魔に向かってそう言ったのですわ。
これは暗示のようなものでわたくしの言いなりにさせることが出来るのですわ。
わたくしは人の心を操ることにたけていますの。
それはもちろん悪魔にだって通用するはずですわ。
でも、悪魔に対してこの力を使ったのは初めてなのですわ。
「ダメね。おそらくこの悪魔たちは目的を知らないんじゃないかしら」
わたくしは、悪魔から目を逸らし天海の事を見てそう言ったのですわ。悪魔と目を合わせるために中腰になっていたのを戻して。
「そうかもな」
天海は掴んでいた悪魔を離してそう心ここにあらずな感じで返事をしたのですわ。
何か考え事をしているのでしょうか?
何か心当たりがあるとか。
この島にいる悪魔は目的を知らない。
さっき天海が捕まえた悪魔はさっき号令をかけていたこの島にいる悪魔のトップだった。
この島のトップですら目的を知らないのだとしたらもっと上がいるのかもしれませんわね。
この島を襲えと命令した悪魔が存在するのかもしれませんわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます