第3話 星ノ島に危険が迫っている

「何この音」

わたくしはベランダに出てもっとよくその音を聞こうとしましたわ。何かに亀裂が入るようなピキッって音と誰かが何かを壊そうと叩く金属音のような音がどこからか聞こえてきたのですわ。

そしてその音の出所を探るため目を凝らしてさまざまなところに視線を走らせてみましたわ。

「見つけた」

そう、見つけてしまったの。それは結界を壊す音だったのですわ。

とても大変なことですわね。きっと悪魔の仕業でしょう。

結界を壊そうとしているのでしょうか?

でも、そう簡単に結界を壊せるとは思えませんが。

あれでも天海はなかなかの力の持ち主なのですから。神の中でもトップレベルの力を持っているのですわ。

だからそんな天海がつくった結界を悪魔が簡単に壊せるはずがありませんわ。

って、そう言えばさっき亀裂が入ったようなピキッって音が聞こえたような気がするのですが。

だとしたら、凄く大変。亀裂が入っているってことはいずれ結界が壊されてしまう。

「まさむねさんちょっと来てくれる?」

「天翔さん?どうかしたんですか。ってどこに行ったらいいんですか?」

わたくしはテレパスを使ってまさむねさんに呼びかけましたわ。

「大広間のベランダですわ」

「分かりました。すぐ行きます」

まさむねさんはそう簡潔に返事をした。


「天翔さん。何かあったんですか?」

まさむねさんは急いできたのか軽い息を切らしながら大広間に入ってきてそう不安そうな顔で聞いてきたのですわ。

「まさむねさん。気付かない?ほら、あそこ。亀裂が入っているように見えるんだけど」

まさむねさんがベランダまでやってきてわたくしの隣に立ったので、ベランダから真上のあたりの空を指さしてそう言ったのですわ。

「もしかして結界ですか?だとしたら私には見えませんよ」

まさむねさんはわたくしの指している方を見てそう言ったのですわ。空を見上げた後、そう言ってわたくしの方を見ましたわ。

「そう。なら、音は聞こえない?亀裂の入るような音」

結界は見えないものなのね。知りませんでしたわ。そういうものなのですわ。

「音ですか。あっ確かに聞こえますね。これなんですか?」

まさむねさんは空を見上げたまま目を閉じて耳を澄ませたあとそう聞いたのですわ。

「たぶん結界を壊そうとする音だと思うの」

わたくしも空を見上げてそう言ったのですわ。

「結界を壊す?誰が壊そうとしているんですか?もしかして悪魔ですか」

大体の事情は知っているみたいですわね。

「えぇ。おそらく」

「どうしますか?」

まさむねさんは冷静にそう聞いて来ました。どんなときも冷静なのね。頼もしいですわね。

「さぁ。どうしましょう?」

わたくしは困ったようにそう言ったのですわ。本当にどうしたらいいのか分からなくて困っているの。だってこんなこと今まで経験したことないんですもの。

「みんなに今何が起こっているのか説明してみてはいかがですか」

またも冷静にまさむねさんがそう提案してくれましたわ。

「そうね……。でも、大丈夫かしら?」

わたくしはまだ心配なのですわ。行ってしまってパニックにならないのかと心配なのですわ。

「この島の人たちなら大丈夫です。いろいろと慣れてますし」

「そう。まさむねさんがそう言うなら島の皆に伝えることにしましょうか。悪魔が現れてから言うのでは遅いですわね」

改めて考えると確かにそうですわよね。先に言っておいた方がいいですわよね。悪魔が現れてからパニックになっては怪我をする人が現れてしまうかもしれない。それなら悪魔が現れる前に伝えておけば心の準備が出来てパニックにならず余計な怪我を防ぐことが出来るかもしれませんわね。

「たしかにそうですね」

「なら、わたくしがテレパスで島の全員に連絡しますわ」

そう言うとわたくしはこの屋根の上に瞬間移動で移動いたしましたわ。なぜならこの島の全員にテレパスをするのですから、出来るだけ島全体が見える場所が良かったのですわ。その点、この家は島の真ん中にありますからちょうどいいのですわ。


『この島のみなさん。天翔ですわ。みなさんにわたくしから伝えたいことがあるのですわ。落ち着いて聞いてください。今、天海は凛ちゃんを助けに行ってこの島にはいません。ですが、この島にどうやら悪魔が攻めてきています。結界を壊し、この島に入ってこようとしています。みなさんには選択していただきたいのです。この島に天海が帰ってくるまで誰1人怪我をしてほしくないのですわ。わたくしが必ずみなさんのことをお守りいたします。大丈夫です。心配しないでください』


そう島のみなさんにテレパスで連絡いたしましたわ。

これで大丈夫。な、はずですわ。

でも、島のみなさんはわたくしの言葉を聞いてどんな反応をするのでしょうか。

わたくしは大広間へ瞬間移動で戻ったのですわ。


「大丈夫ですよ。きっと」

まさむねさんがベランダから中に入ってきてわたくしを安心させるように優しくそう言いましたわ。

わたくしは部屋の中に瞬間移動したのですわ。もうベランダにいる必要はないですもの。

「そうよね」

そう言ってわたくしは笑いましたわ。

本当は分かっているのですわ。この島の人たちのこと。あの天海と長い間一緒にいるのですから。天海と長く入れば大抵の事で動揺するようなことはなくなる事でしょう。それは頭では分かっているにですが、それでもやおおあり不安なものなのですわ。頭では理解出来ているけど心では理解出来ないのですわ。

だから不安なのですわ。


「来ましたわ」

空を見上げてわたくしはそう叫んでいましたわ。パリンッと言う音が真上から降って来たのですわ。

ついに結界を破り悪魔がこの星ノ島に降りたとうとしていますわ。結界のてっぺんから悪魔がどんどん降ってきていますわ。

その悪魔の姿は天海と同じ顔をしていたのですわ。わたくしにはそれが悪魔だと言うことが分かりますが他の島の人たちには分かるのでしょうか?

「そのようですね」

まさむねさんにも悪魔が見えたようですわね。悪魔がこの島に現れたと言うのに相変わらず冷静なのですね。まさむねさんは。

「もっと近くに行きましょう。わたくしは先に行っていますわね」

「分かりました。私もすぐに向かいます」

まさむねさんはそう言うと黒い翼を広げたのですわ。バサッと言う音が聞こえてなんだかとてもカッコイイですわね。

わたくしはその言葉を聞くと悪魔が現れたところまでテレポートで向かいましたわ。

結界の真上からは何匹かが降ってきましたがさっきのパリンッと言う音は結界が真上から亀裂が入ってその亀裂が全体に広がり、壊れる音なのですわ。

だから、真上以外からも悪魔がどんどん押し寄せていますわ。海の方からも天海と同じ顔をした悪魔が大量にやってきているのですわ。

なのでとりあえず、わたくしは海岸の方に向かうことにしましたわ。


「天翔さん。どうなっているの?」

海岸にテレポートすると、そこにはさやこさんが居てそう不安そうに聞いてきたのですわ。

それに空や海星、夏海人さんが集まっていましたわ。

「さっき連絡した通りですわ」

目の前の天海と同じ顔をした悪魔を見つめてそう答えましたわ。空たちは何が起こっているのか分からなくて不安そうにしていますわ。

「ってことはあれが悪魔なの?」

さやこさんは信じられないと言うようにそう聞いてきたのですわ。まあ、そうですわよね。目の前にいるのは天海と同じ顔をしているのですし、しかもそれが何⒑人もいるのですから。

「えぇそうよ」

「あれが悪魔なのか」

夏海人さんも目の前にいる天海と同じ顔をした悪魔を見て驚いているようですわ。

「悪魔なんて実在したんだな。驚いたよ」

もちろん海星も驚いていますわね。悪魔はアニメやラノベの中だけだと思っていたのでしょう。


「どうして悪魔は神様の姿をしているのでしょうか?」

黒いコウモリの翼を広げて飛んできたまさむねさんがわたくしの隣に降り立って悪魔たちを眺めながらそう聞いて来ましたわ。

「さあ?それはわたくしにも分かりませんが、おそらくここは魔界とは違うので仮の姿が必要だったのではないかしら。それになぜ天海が選ばれたのかは謎ですわね」

悪魔たちはこの島にいくつかの小舟で向かっていますわね。その小舟を見つめらがらそう答えましたわ。今思いついたことを適当に言っただけなので当たっているかは分かりませんが。でも、大方当たっているの気もいたしますわね。なかなか的を射ているような気がするのですわ。

悪魔は神とはやっぱり違うのだと思うますわ。神は天界と下界で姿を変える必要はありませんが、悪魔はきっと変えないと姿を維持できなくなるのでしょう。

天界とこの世と魔界では次元が違うようなものですから。

「そうですか。なるほど。それでどうしますか?」

まさむねさんはわたくしの顔を横目で見てそう聞いて来ましたわ。

「とりあえず、天海に連絡して来てもらいましょう」

それにしてお凛ちゃんを助けに行ったっきりまだ帰ってきていないだなんて何かあったのかしら?

少し心配ね。まあでも天海なら何とかするでしょう。心配するだけ無駄ね。

「分かりました。私から神様に連絡してみます」



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