6 みんなが集まる日
「さやこさん一体どういう事?説明してよね」
連絡をしてまだ1分も経っていないのに海星がいつの間にか大広間に忽然と現れてそう私を非難するように言った。そして、海星の隣にはとても綺麗な女の人が立っていた。狐の耳と9つの尻尾があるからどうやら九尾の狐かもしれない。でも、九尾の狐って妖怪だよね。妖怪もいるんだ。
もしかしたら、瞬間移動とか言うやつだろうか?
「やあ。さやこさん。頼みってなんだい?」
次は夏海人さんが大広間のベランダに大きな天狗の背に乗って現れた。なんて派手な登場なんだろう。大きな黒い羽をはばたかせてバサバサと。数枚の黒い羽根が飛んでいるし。なんだか仰々しい。
「まぁそんなことはいいから。早くやるよ。この大広間に机を並べなきゃいけないの。さあさあ。早く!」
もうすぐ時間なのだから急がないと。間に合わなくなっちゃう。
そうして2人の手を借りて残りの準備を進めたのですわ。
海星と夏海人さんが手伝ってくれたおかげで無事時間までに机を運び終わる事が出来た。
そして、時間になって次々と島のものたちが大広間に集まって来た。
私がまだ会ったことない人たちもたくさんいた。
それから昼間会った人魚の子たちも大広間に来ていますわ。夜だからかビキニの上からカーディガンを羽織っていたりTシャツを着ていますわ。
「それでさやこさん、さっきのあれはどういう事?」
海星が私の方に近づいてきて内緒話をするように小声でそう聞いてきた。
「私もそれは気になっていたんだ。教えてくれないか。さやこさん」
夏海人さんも近づいてきて小声でそう聞いてきた。
「うーん。私も良く分かっていないんだけど。なんか私達にも天翔さんの力が流れてきていてその力が少し使えるみたいなのよ」
「ふーん。そうなんだ」
海星は何となく理解したみたい。若いから分かるのかな。アニメとかラノベとかであったりするのかな?だからそういう事もあっさり受け入れられるのかしら。
「うっうん?あー。そっそうか」
対して夏海人さんはかなり困惑しているみたい。そういう事に慣れていないもの。仕方ないでしょう。アニメもラノベも読まないでしょうから。どう反応していいのか分からない様子ね。まぁ私もよく分かっていないもの。ただ私は頭では理解できていないけどこの身で体験した。だから何となくは分かっているだけ。
「まぁいずれ分かる時がくると思うわよ」
そう言って笑った。そして私は玄関の方に向かった。空を出迎えようと思って。きっと空も来るだろうから。あの凛ちゃんって子を見つける事が出来たのか気になるし。私もあのアマビエ猫の仏像を作った海猫の凛ちゃんに会ってみたいから。
あれは私が見つけて皆に買ったものなのだから。まだコロナが流行るずっと前に京都に友達と遊びに行ったとき売っているのをたまたま見つけて家族にお土産で買っていったものなの。それを見た瞬間、一目惚れしたのよ。そのアマビエ猫ちゃんと目があった瞬間その子から目が離せなくなってもう次の瞬間、家族全員5人分買ってしまっていた。颯太の分はちゃんと颯太の写真の前に置いておいた。これなら颯太も寂しくないでしょう。
それを空ちゃんは凄く気に入ってくれて空ちゃんはずっとそのアマビエ猫の仏像を毎日肌身離さず持っているの。どこに行くにも持っていくしいつも目に見えるところに置いてある。
そんなに気に入ってくれるとは思っていなかったからとても嬉しい。
海星と夏海人さんもちゃんと大切に自分の部屋に飾ってくれている。それも嬉しい。部屋の雰囲気と会っていなくて浮いているけど、それはなんか可愛くて愛おしい。
あの可愛い仏像が海猫ちゃんがモデルになっていてそれを作った子に会える。こんなに嬉しい事があるだろうか。人魚に会えたことも嬉しいけど、コロナで大変だったとき支えてくれたのはこのアマビエ猫ちゃんだったから。コロナでアマビエ様が凄く有名になって私は少し誇らしくなったのを覚えている。わが子のような感じだったんだろうね。まさかあんなに有名になるとは思っていなかった。
ほら、アマビエチャレンジとか凄かったでしょ。日本だけじゃなく海外にも広がって。日本の妖怪が海外にまで。あれは凄く嬉しくて空ちゃんと一緒に小躍りしちゃったくらい。
はぁー私の愛しいアマビエ様にアマビエ猫ちゃん。
アマビエ様もこの島にいるみたいだし。ぜひ会ってみたい。そういえばこの持ち寄りパーティーに来るよね。島の全員が来るって言ってたから。楽しみだなー。あのアマビエ様に会えるのだから。
私はこのアマビエ猫の仏像のおかげだとすべて思っているの。だから直接お礼を言いたいといつも思っていたの。なんとなくアマビエ様は存在するような気がしていたの。でも、アマビエ猫ちゃんが実在するとは思っていなかった。あれは誰かの空想だと思っていた。だから、アマビエ猫ちゃんが実在するって知ってびっくりしたし信じられないような、でもやっぱり嬉しかった。
だから絶対会ってお礼を言いたいの。コロナが終息のはあなたのおかげだって伝えたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます