8 不穏な気配
ってことで、わたくしは医務室の前に飛んできたのですわ。
ですが、そう言えばその前に天海に行って報告しておかないといけないことがあるのでしたわ。さっきの結界のことで。
「まさとくん、ごめんなさい。わたくし少し天海のところに行かないといけないの。まさとくんまで連れて来てしまったのだけれど、そう言えばわたくしだけで良かったのですわよね。ごめんなさいね。それでまさとくんはどうする?」
わたくしはまさとくんの目線に合わせてしゃがんで、そう聞いたのですわ。
「あっそうだったね。うーん。僕はどうしようか?せっかくだからまさのり兄さんに会っていくよ。それにあの人たちに挨拶しておきたいし」
「そう言えば、まさとくんも運んでくれたんだったよね」
「うん!あの綺麗なお姉さんにまた会いたいしね!」
綺麗なお姉さん?空のことかな?それともさやこさん?どっちだろう?まぁいつか分かるときが来るわよね。
「そっか。じゃあ、もう行くね」
「うん。じゃあ、またね」
まさとくんと別れるわたくしは天海のいる大広間に向かったのですわ。
医務室から大広間の扉の前に瞬間移動で移動したのですわ。大広間の中に現れるのは一番手っ取り早くていいのだけれどね。でも、まあいきなり現れて驚かせてしまうのも失礼ですからね。まあ相手は天海ですしそれぐらい平気でしょうけど。一応、レディとして殿方に失礼がないようにしなければいけませんわよね。なんか違う気もいたしますが。まあいいか。
「失礼しますわ」
ふすまを2回ほどノックしたあとわたくしは中に入りましたわ。中からは返事が無かったので勝手に入ることにしたのですわ。どうせ天海は寝ているのでしょうし。
「あぁ?天翔か。なんだ。なんか用なのか?」
天海はだるそうに体を起こし、めんどくさそうに頭を搔いてそう聞いてきたのですわ。
「それが、この島の結界のことなんだけれど。2重になっているみたいなの。何か知ってる?」
わたくしは天海の前に正座して座ってそう質問してみたのですわ。
「はぁ?結界だと?そんなもん知るか」
「もしかしたら、わたくしたちをこの島から出られなくしてあるのかもしれません。わたくしは海岸のところから見ただけで詳しくは分からないのですが」
「そうか。少し待ってろ」
そう言うと、窓の方を見て誰かと話している様子ですわ。そしてしばらく何か話している様子のあと再びわたくしのほうを向いて座ったのですわ。
「何か分かったのですか?」
わたくしは気になって天海が話し出すより先に聞いてしまいましたわ。
「あぁ。どうやら本当にこの島から出られなくなっているようだ」
天海はわたくしのほうを見て、肩肘を立ててその上に腕を乗せて俯き加減でそう言ったのですわ。やっぱり、魅録さんと天海は似てますわね。
「どうやったのですか?」
「人魚に行って来て貰った。人魚たちが結界の外に出られなかったらしい」
「そうなんですか。どうするの?」
「ふん。どうもしない」
「なぜです?この島から誰も出られなくなっているのですよ。大変なことでしょう?そのままにして大丈夫なのですか?」
「まだ何もわかっていないんだ。何をしろというんだ?」
「それは分かりませんが、でも何らかの理由でわたくしたちをこの島に閉じ込めたということになります。その理由が分かれば、何か対策が取れるのではないですか?」
「その理由が分からんのだろう。今、なにしたって無駄だ」
そう言うと天海は寝転んでしまったのですわ。
「まぁそうかもしれませんが。でも、空たちの体から微量ですが魔力を感じたのです。それに2重になった結界からも魔力を感じたんです。もしかしたら、悪魔が何か関係しているのかもしれないですわ」
わたくしはさっき分かったことを天海に話しましたわ。
「まぁここにいる奴らは人間だけじゃなく悪魔に狙われる奴もいる。不老不死を手に入れたいと考えるのはなにも人間だけじゃない。悪魔も一緒だ」
寝転がって天井を見つめらがらそう呆れたように言ったのですわ。
「じゃあ、大変なことなのではありませんか。悪魔が誰かを攫おうとしているのではありませんか?」
わたくしはこの島の者たちを思い出して心配になりそう言ったのですわ。
「まぁそうかもな。でも、この場所が分かるはずない。大丈夫だ」
相変わらず、天海は寝転んだまま立てた膝の上にもう片方の足を乗せて天井を見上げてそう言いましたわ。天海のこの言葉を信じていいのでしょうか。
「本当に大丈夫なのですか?現に悪魔に結界を張られてしまっているのですよ。この場所がばれているということではないのですか?」
心配になってわたくしはつい聞いてしまったのです。
「たとえ悪魔といえどもこの結界は外からどれだけ攻撃したとしてもなんの意味もない。外からの攻撃は一切効かない。万が一何かあっても、俺がいる。必ず阻止しす。心配するな」
天海はそう力強くそう言った。その言葉はなんだか信じてもいいような気がしたのですわ。
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