3  誰かの策略

そうしていよいよ沖縄に行く日になりましたわ。

わたくしもとても楽しみですわ。そう言えば、わたくしは沖縄に行くのは初めてなのでしたわね。一体、どんなところなのでしょう?


「さやこさん、早くしないと乗り遅れちゃうよ~」

部屋の中で何か忘れ物がないのかと確認しているさやこさんに向かって海星が玄関からそう叫んでいますわ。海星はジーパンに青色の海の模様のアロハシャツのようなのを着ていますわ。南国のイメージなのでしょうか。

「はーい。すぐ行くから~」

まだ部屋の中でなにやらガチャガチャやっているようですわね。さやこさんは心配性だからなかなか出かけられないのよね。さやこさんは白のレースのワンピースを着ていますわ。とても清楚で可愛らしくてさやこさんにぴったりですわね。それに、赤色のリボンの麦わら帽子。

「お母さーん?まだー?」

続いて空が準備を終えて玄関にやってきて靴を履きながらさやこさんに向かってそう聞きましたのよ。空は黒のワンピースを着ていますわ。その黒のワンピースは上はTシャツっぽい感じでスカートの部分がフリルのような感じなのが重なっている感じでしょうか。

「うん。すぐ行くからぁ~。はぁ~お待たせ~」

そう言うとさやこさんは大荷物を抱えてやって来たわ。心配性は荷物がどうしても増えてしまうらしいですわね。

「じゃあ。早く行こ。お父さんも兄さんももう行っちゃったよ」

ちなみにさっき見た夏海人さんはカーキ色の膝のあたりぐらいのズボンに黒のサメのイラストの入ったTシャツを着ていましたわね。

「はーい。楽しみね。空ちゃん」

さやこさんはいたずらっ子のような笑顔でそう言ったのですわ。


飛行機に乗り、いよいよ沖縄に到着しましたわ。

飛行機を降り、空港を一歩出ると一気に蒸し暑い空気が流れ込んできました。そして目に飛び込んできたのはどこまでも透き通る綺麗な海でしたわ。

「わ~凄いわねぇ~綺麗」

「おぉさすが沖縄!綺麗だ!」

「うん!とっても綺麗な海だね」

「綺麗」

空たちが口々に感想を漏らしたのですわ。これは確かに綺麗ですわね。沖縄の海はこんなにも綺麗なものなのですね。


そのあと皆は一度ホテルに行って、そのあと海を見に行くようですわ。

ちょうど日が暮れて夕陽がとても綺麗だったのですわ。

海に沈んでいく夕陽を空たちは砂浜に座って眺めていましたわ。


するとその先に島の様なものが現れましたわ。

こんなものを見たら空たちが騒ぎ出しそうなものですが、なぜか誰の声も聞こえてきませんでしたわ。不思議に思って空たちの方を見てみたら空たちはその島に魅入られたようにその島を見つめていました。

わたくしが空たちに話しかけるわけにもいかずわたくしは困ってしまいましたわ。わたくしも海に沈み夕陽を見るのに夢中になってしまってその存在に注意が向いていなかったのですわ。わたくしとしたことが。

あれはおそらく幻覚の類だと思いますわ。だとすると、とても危険な気がするのですわ。あの嫌な予感が当たってしまい気がいたしますの。こうして本当に沖縄に導かれてしまったのですから。本来ならもっと警戒すべきだったのですわ。わたくしなら沖縄に行くことを阻止することもできたのですから。沖縄との縁を切ってしまえばいいのですから。でも、わたくしはそれはしなかった。行かないほうがいいと分かっていたのにでも、なぜかあの子の為に沖縄に行くべきだとも思ったのですわ。結局わたくしは運命に任せることにしたのですわ。でも、それが正解だったのか今は少し迷っていますの。今更もう遅いのでしょうね。きっと。だから、必ずわたくしが空たちを守って見せますわ。


その間に、空たちの前に突如小舟が現れましたわ。

完全にこれは誘われていますわね。でも、一体どこに連れていくつもりなのでしょうか?

あの船からはかすかに魔力の匂いがする気がするのですが。今のわたくしには詳しい事は分からないのですが。もし、それが本当だとすればこの船は三途の川を渡ってしまうのでしょうか?

止めなければ。と思っているうちに空たちがふらふらと吸い込まれるように船に乗り込んでしまったわ。

「もしもーし。あのー。その船には乗ってはダメですわよ」

小声でわたくしは空たちに声をかけてみた。でも、どうやら声は聞こえていないみたいですわね。でも、それがわたくしが神憑きのせいなのかそれとも洗脳や暗示の状態で外部からの声が聞こえなくなっているのか分からないわね。

うーん。一体どういたしましょう?

とりあえず、わたくしもその小舟に乗ることにいたしましょう。一緒に行かないことには守ることもできませんもの。

小舟は夏海人さんがオールを漕いで、どこかに向かっているようですわ。


そうしてしばらく小舟に揺られているとさっき沖縄の海から見た幻覚の島によく似た島が見えてきました。

これはどうやら本当の島のようですが、どうやらここには結界が張ってあるようですわ。ってことはもしかしてここには神がいるのかもしれませんわね。でも、この結界はとても雑で手入れも全然なされていないようですわ。ここにいる神とは一体どんな人物なのでしょうか?いえ、神なのですから人物はおかしいですかね。まぁそんなことはいいのです。

ともかくこの島に向かっていたそうですが。何者かがこの島に向かうよう仕向けたのだとしたら、何が目的なのでしょう。この島に何かあるということでしょうか?

この結界。どうやら外からは見えないような認識できなくするという結界のようですわね。ということはこの島を外の人間から隠したいというこのなのでしょうか。何のために隠す必要があるのでしょう?


わたくしが考えている間に結界の中に入ってしまったようですわ。

この結界はどうやら邪悪なものは入れないようになっているようですがそれ以外のものの侵入を阻むものではないみたいね。だから空たちはこの結界の中に入ることができたのでしょう。この島を認識できない結界が張ってあるから普通はこの島のことが分からないはずでこの島の中に入ることなど不可能だから結界の中に入れないようにすることは必要がないのでしていないのかもしれませんわね。

結界の中に入ったということはきっとこの島の神はもう空たちがこの島に入って来たことに気が付いていることでしょうね。

それにどうやらこの近くに誰かいるようですし。きっとこの島の住人なのでしょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る