第4話

 さて、リアちゃんとマキちゃんは、大の仲良しです。学校帰りのある日、マキちゃんがリアちゃんのおうちに遊びにくることになりました。リアちゃんは、少し困ってしまいました。オルゴール は、リアちゃんのお部屋の机におかれています。マキちゃんは、どんなリアクションをするでしょうか?マキちゃんに、魔法のクレヨンのことを話すべきでしょうか?そんな不安を抱えながらも、マキちゃんがおうちにやってきました。ママは、マキちゃんを、リアちゃんのお部屋に案内して、紅茶とクッキーをおいて、出ていきました。マキちゃんは、すぐにリアちゃんの机の上の箱に気がつきました。

「これ、なあに?開けても良い?」

マキちゃんは、興味津々です。

「う、うん」リアちゃんは、少し緊張気味に返事をしました。

「こ、これ……!」箱をあけた途端、マキちゃんは目を丸くしました。

「なんでリアちゃんが持ってるの?」

マキちゃんがたたみかけるように聞いてきます。

「ちがうの、ちがうの」

リアちゃんは、あわてて否定します。

「これは、正真正銘私のだよ」

「リアちゃんの家にも、ペレスねずみさんが来たの?」

「うーん、ちがうの」

「じゃあ、なんで?なんでリアちゃんも同じのもってるの?」

マキちゃんが、あまりにも質問を重ねてくるので、リアちゃんはついに正直に魔法のクレヨンのことを話すことにしました。

「実は、私、魔法のクレヨンをもってるの」

「魔法のクレヨン?」

「そう。ある日、魔法使いのおじいさんが来て、魔法のクレヨンをくれたの。そのクレヨンは、絵に描いたものが本物になるんだよ」

「描いたものが本物に……?」

マキちゃんは、まゆをひそめました。

「そう、命あるもの、人の気持ちを変えるもの、人をいやな気持ちにするもの、以外はね」

「それを、そのおじいさんが伝えにきたの?」

「うん、なんでかはわからないけど、私のところに来て、クレヨンをわたしてくれたの」

「それで……?」

「それでね、私マキちゃんのオルゴールを見た時、同じものがほしくなっちゃったの。だから、魔法のクレヨンを描いて、全く同じものを描いたんだ。そしたら、絵がこのオルゴールになったの」

「だから、あの時、魔法のクレヨンって言ってたの?」

「そうだよ。魔法のクレヨンを使おう、って思ったの」

「ねえ、私その魔法のクレヨン、見てみたい」

「いいよ」

そう言って、リアちゃんは机の引き出しから、魔法のクレヨンを取り出しました。銀の粉がきれいにまぶされています。

「これで…絵を描くと、本物になるの?」

マキちゃんは、不思議そうにクレヨンを見ています。

「うん、何か描いてみようか」

「えー、何が良いかなあ。そしたら、お帽子描いて。まだ日差しが暑いでしょう。お帽子をかぶって帰りたいのよ」

マキちゃんは、そんな調子で軽くお願いしました。

「わかった」

リアちゃんは、黄色のクレヨンを取り出して、麦わら帽子を書き始めました。魔法のクレヨンは、力を加減すると、様々な色がでます。力をぬいて、すべらせるように塗っていくと、黄色のクレヨンから、小麦色のきれいなイエローが出ました。麦わら帽子にお花を加えて完成です。

すると、あらあら。マキちゃんの前でも、銀の粉とともに絵は画用紙から消えていきました。そして、お花をつけたかわいらしい麦わら帽子があらわれたのです。

「あー!」マキちゃんは、大きな声をあげました。

「しーっ、ママがきちゃう」

リアちゃんがマキちゃんを制します。

「さっきリアちゃんが描いた帽子が、本当にここにあるよ!」

マキちゃんはまだ驚いています。

「うん、そうなの。このクレヨンには、本当に魔法がかかってるみたいなの」

「すごいよ、リアちゃん!」

マキちゃんは、目をパチクリさせて、クレヨンとリアちゃんを交互に見ています。

「ねえ、このクレヨンでいろんなものを一緒に描こうよ。何を描くのが良いのか、考えてみるね」マキちゃんは目を輝かせています。

「うん!マキちゃんも一緒に考えてくれると、うれしい」リアちゃんも、わくわくしています。正直、リアちゃんは、絵を描くのが得意ですが、魔法のクレヨンで何を描けば良いのかわからなかったので、マキちゃんが一緒に考えてくれると言って、心強い感じがしました。マキちゃんに、魔法のクレヨンのことを話して良かった、と思いました。さて、二人は魔法のクレヨンを使って、どんな冒険をするのでしょうか?

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