第3話 使命の見つけかた 1
「こんにちは」
「はーい、お待ちしてました。どうそこちらへおかけください」
玄関を抜けてすぐにオープンスペースがあり、そちらのソファーへと案内する。
緊張されているようなので、リラックス効果のあるハーブティーにしてみた。
「ハーブティーをどうぞ。苦手な香りではないですか?」
「大丈夫です。ありがとうございます」
「実は、自分がこの世界で何をするために生まれてきたのか、使命を教えて頂きたいのですが……」
「使命ですか」
「えぇ。いくら考えても、どうしても解らなくて……」
「わかりました。では、子供のころのお話を教えてください」
使命は、人生の中にかくれている。
自分の中にある当たり前のことだったり、こんなこと誰でもできるから特別なことじゃないと思い込んでいることだとか。
だからこそ、自分では気づきにくい。
そして、誰かのためにならなければいけない、すごいことじゃないといけない、という考えが邪魔をする。
また、人と比べて、もっと難しいこと、もっとすごいことじゃないとだめかも……と考えてしまったりだとか。
本当は、もっとシンプルに考えていい。
「子供の頃は、何が好きでしたか?又は、今、どうしても惹かれるもの、これがしたいと思うことはありますか?」
「子供のころは、折り紙やボタンで、ブローチやネックレスを作って遊ぶのが大好きでした。なぜか、身に着けるものを作るのが楽しかったですね」
「自分が好きなものを作るのって楽しいですね」
答えが返ってきて、一先ず安心する。
これが出てこない人もいるから。
嬉しそうに話してくださっているので、そこから深堀していく。
「今も何かつくっています?もしかして、今日付けているものもそうですか?」
「はい、そうです」
今日身に着けているネックレスは、小さな石を糸で編みこんだタイプのネックレスだった。途中に花柄の刺繍もあり、とても繊細で綺麗なもの。
「それは、販売していたりするんですか?」
「いえいえ。趣味でやってる程度ですよ」
売っているといっても良い位のレベルだ。
「なかなか手の込んだものに感じますが、どれ位の時間で出来るものですか?」
「そんな風にほめてもらえると嬉しいです。次にこんなのがほしいなと考えると楽しくて。ハンドメイドのアクセサリーショップにいったり、インターネットなどでよく見ています。いざ作り始めるとあっという間に時間が経ってしまいます」
「時間を忘れてしまうほどですか!楽しそうですね!」
好きなこと、特に時間を忘れるほど好きなことは、使命にもつながる。
そして、好きなことは、1つとは限らない。たくさんあってもいい。
「他に興味があるものはありますか?どうしてもこれが気になって仕方がないということはありますか?」
「子供の頃のワンピースにかわいいボタンがついていたのをきっかけに、かわいいボタンや珍しいボタンを見つけると、ワクワクします」
今までボタンを意識したことはなかったな、などと考えていると、画僧を見せてくれた。そこには、木や貝でできたものや、色々な形があった。
「手芸のお店とか行くと、色々な種類があるんですよ。花の形だとか、珍しい形とか。洋服につけると、イメージがガラッと変わったりしますし、自分だけのオリジナルになりますし」
と言いつつ、洋服へ付け替えた、ビフォーアフターも見せてくれた。
「お金や生活のこと、何も心配いらないというならば、あなたは何をした時に1番楽しいと思いますか?」
情熱を捧げられることが、自分自身が、魂が、本当にしたいと思っていること=使命になる。
自分が1番情熱を捧げられるもの、心から楽しめるもの、それを意識していくことが見つけるカギとなる。
「そうですね……やっぱり、ネックレスなどをつくることです。将来的にお店を開けたら楽しそうですね」
「でしたら、それを、どんどんやってみてください。1番大切なことは、まず行動することなんです。そして、周りの人に好きなことなどを話してみたりなど、外に向けて発信したり活動をしていくこと。そうすると、同じ趣味の人や、興味のある人が集まってきて、自分が思ってもいないような、とても楽しい方向に運ばれて行きますよ」
この世は行動することでしか変化しない。
いつか……と先延ばししていては変るものも変わらない。
うまくできるかどうか、考えてみるよりも、まずやってみて、試行錯誤しながらでも行動していくことが大事。
なんて、偉そうなことを言っているけれど、自分がなかなか一歩踏み出せなかったからこそよく解る。
もっと早くやっていたら、もっと違っていたかもしれない。
「まずは行動なんですね……」
「はい。考えてるだけじゃ、変っていきませんから。楽しみつつ、やってみてください」
そう伝えると、楽しみと緊張とが入り混じった表情で、しばらく何かを考えていた。。
「まず、試しに、2番目に好きなことや、興味あることから先にやっってみても大丈夫ですか?」
やっぱり、不安だとまずは2番目からと考えてしまいますよね。
その気持ち、とても良く解ります。
「2番目よりも、1番したい事から始めてください。怖かったり、失敗したらどうしようと思いますよね。ですが、1番目から始めることで、すべてがうまくいくようになります。2番目のことも、他のことも、スムーズに流れていくようになりますから。
そして、失敗と思ってしまうと、やっぱりできない、ダメだな、という思いが積み重なってしまいます。なので、こういう方法はうまくいかないことが解ったから、今度は違う方法を試してみよう!と別の角度から考えていくと、新しい発見の積み重ねになり、どんどん上達していけますよ」
どこかで聞いたことがある名言をパクって伝えるが、そこは勘弁ということで。
すごいハードルと思うと、一歩踏み出すのにとても勇気が必要。
だけど、できないことはやってこない。
本当にしたいことなら、いつまでも悩まずに、まず初めてほしい。
時間をかけて悩むよりも、行動することが大事。
と、言いたいのは、実は自分自身に対してだったりもする。
もっと早くやっていたら……と今になってつくづく思うことがあるから。
だからこそ、伝えられるというものだけど。
「解りました。1番目からやってみます」
「その言葉を頂けて良かったです。せっかくなので、続けやすくなるコツをお伝えしましょう」
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