第2話 開店準備

 店の前にのれんと看板を置く。

 看板には、店の名前と電話番号がのっているだけ。

 インターネットには軽く掲載しているが、他の宣伝は一切なし。


 そんなことで人がくるのだろうかと思うが、なぜか、必要な方の目に店の情報が入るらしい。

 情報を見たとしても、すぐ来られるかた、大分たってから来られるかたもいる。

 必要な時に、ちょうどいいタイミングで来られるのだろう。

 または、何かしらの守る力が働いて、導いて下さるときもある。

 もちろん、今日がオープンの日。

 それは、目に見える人(人間)向けという話。


 目に見えない方は、前から来てくださっていた。

 いつの間にか部屋にいたり、後ろから話かけられたりと。

 ノックをして入ってくるものもいれば、いきなり入ってきたりと、個性溢れる存在に、何度度肝を抜かされたことだろう。

 今度、開店祝いをしてくれるらしい。

 なんともありがたいことだ。

 などとつらつら考えていると、電話がなり響いた。


「はい、ふしぎなお悩み相談所、ふしぎ110番です」

「あの、どんな悩みでも大丈夫ですか……?」

「はい、大丈夫です」

 不思議なことを話すと、おかしな人、変わっている人と思われることがほとんど。

 なので、戸惑うのは当たり前。

 たしかに、自分も変人とよく言われているので、気持ちは痛いほど解る。

 悩んだことはあるけれど、誰もが同じ世界はつまらないし、色々な世界があるからこそ面白いと思う。

  

「大きい悩み、小さい悩み、どんなものでも、悩んでいる時点でその方にとってとても大変なお悩みなので、どんなものでも大丈夫ですよ」

「ありがとうございます。では、お願いします」

「いつがよろしいですか?」

「明日、13時にお願いします」

「解りました。明日、お待ちしています」



 



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