第29話 愛情は降る星の如く
「オブライエン博士はアイルランド人の割に、日本に目を掛けてくれていますね」
「彼女は純粋に科学者だからな。俗物的な思惑の埒外だよ」
「メシヤに会わせて良かったんですかね。ややこしい事にならなければ良いですが」
身が持たなくなるのではと、白馬は弱気を見せる。
「これくらいで音を上げているようでは、先が思いやられるぞ」
ボスははっぱを掛けた。
「ボス、俺は悪漢の魔手からターゲットを護るだけなら、怖気付くことはありません。ですが」
「分かっておる。メシヤの起こす不可思議な現象の数々を思えばな」
白馬の考えは、ボスに見透かされている。
「俺もこの業界が長いですが、メシヤやオブライエン博士に接していると、世界の極悪人どもの奸計がアホらしく思えることがあります」
「ああ。日本人ならいまの状況がヘンだと薄々気づいているだろう。近隣諸国との緊張関係、報道や週刊誌の真実味の無さ、近しい関係での仲違い、男女間に嫌悪を抱かせる記事の数々、年配者を貶める言説、そして若者を締め付ける制度の数々」
「それらの工作機関を、平和的な方法で武装解除させている感はありますね。あの2人は」
「合気道の奥義にも、そんなのがあったな」
「なんです? それは」
「自分を殺しに来た奴と、友達になることさ」
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