第24話 光子ロケット

「どうなんだ! コーラー!」

アトラントの襟首を掴んで揺さぶる白馬。

「く、苦しいよ、白馬・・・!」

アトラントはいまにも白目をむきそうだ。


「おやめなさい、ミスター白馬!」

ジェニーの声に、白馬は手を緩める。


「残念ながら、ヨーコはもういないわ」

ジェニーの非常な通告に、白馬の目はうつろになった。


「・・・この太陽系にはね」

息を乱していたなんでも屋が、つぶやく。


「なに?」

アトラントをにらみ返す白馬。


「ええと、どこから話せばいいのかしら」

オブライエンは両手を腰に当ててうつむいた。


「ナルミ・ヨーコが藤原メシヤの護衛をしていたことは知っているだろう?」

コーラーが切り出した。

「ああ、後から知らされたんだがな」

白馬は気の焦りを隠しきれない。


「メシヤのノートブックに書かれていたラフスケッチを、たまたま彼女が目にしたのさ。興味を持ったヨーコはそのコピーを手に入れた」

淡々と語るコーラー。

「そして回り回って私のところにそのコピーがやって来た、という訳ね」

ほおづえした肘を、反対の手で支えるジェニー。


「それからというもの、彼女は身を追われる存在となった」

コーラーは眉間にしわを寄せる。


「ちょっと待て。いったいメシヤのノートに何が書かれていたんだ?」

問い質す若き密偵。


「ザイオンにとって、まだこの世に出てきてもらっては困るオーバーテクノロジー・・・」

ジェニーが口を開いた。


「光子ロケットよ」

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