第21話 Have gun, will travel
「やっとメシヤも戻ってきたか」
事務所でモニターを眺める白馬。
通常、ターゲットには"鈴”を付けておくものだが、メシヤには超小型発信機の類は使用不可能である。立場的に、ということもそうなのだが、メシヤは身体からわずかな微弱磁気が放出されていて、発信機が機能不全になってしまう。
メシヤの情報は裁紅谷姉妹との連携、それから彼の個人ブログ『3分で創るインスタント・ユニヴァース』から様子をうかがっている。更新されるのは日付が変わる直前ごろ。店の後片付けも終えて、身の回りの雑務をこなしてから取り掛かるものと思われる。
メシヤが高校一年生になってからというもの、世の中の動きが目まぐるしく変化してきていた。白馬はふと自分の過去を思い返していた。
(俺のエージェント稼業があわただしくなってきたのも、コイツを手に入れてからだったな)
白馬は右内ポケットに仕込んである白金の愛銃をなでた。
「メシヤ周辺の変化が大きくなったのは、聖剣を手に入れてからだろう」
白馬はメシヤのブログのアーカイブスをクリックした。日付は4月10日だった。
メシヤが地元の教会について記事をアップしている。具体的な地名は書かれていない。そのエントリーに、コメントが残されていた。
《その教会なら私も行ったことがあります。女神像が両手で剣を握っているだなんて、神秘的で猛々しいですね! 手に取ることは出来るのでしょうか?》
――モーニントン伯爵――
《モーニントンさん、こんばんは! 御存じでしたか! それは考えもしなかったですね! う~ん・・・》
――はまぐりQ太郎――
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