第17話 トイフェルスドレック(悪魔の糞)
「ボス、メシヤたちはいまアフリカ大陸にいるようですね」
白馬が尋ねる。
「うむ。お前にもついて行ってもらいたかったところだが、今回は別動で頼む。一応メシヤの傍にはスペシャルガードが付いている」
ボスは心配いらぬとでも言いたげだ。
(裁紅谷姉妹のことだな・・・)
「ロジャー、で俺にはどんな指令ですか?」
促す白馬。
「先日も話したフリーエネルギーの件を覚えているだろう。世間では誇大妄想・陰謀論と絡めてまともに取り合ってもらえないが、ロックフォーゲル大統領の指揮の元、そのベールが徐々に取り払われている」
「そうでしょうね。なにせハイパーループなんて代物が現に世界中を駆け回っているんですから」
「白馬よ。お前にはこの女性の保護を頼みたい」
ボスがそう言うと、一枚の写真を映示させた。
「ジェニー・オブライエン博士。あまりにも先進的な研究成果を発表しつづけるのでダイバー・ザインに目をつけられてしまい、いまでは僻地に幽閉されている」
「彼女がノーベル物理学賞にノミネートされた時の顛末は見ちゃいれなかったですね。ありとあらゆるメディアがスキャンダルをでっちあげ一斉に袋だたきにしてましたから」
白馬は反吐が出そうだった。
――オブライエン博士の研究内容はこうだ。何もないように思える空間にも、電気的エネルギーが我々の想像以上に充満している。それらをごく簡単な機械装置でかき集め、蓄電する。送電にはケーブルも不要だ。ひとつの発電所から全世界へと送ることが出来る。ただ、リスク分散のため、発電所は各地域に作った方が良いだろう。これだけでも驚くべき発明だが、彼女の研究テーマはそれだけではない――
「オブライエン博士の論文通りなら、失われた大陸を浮上させることなど朝飯前だ。さすればハイパーループの中継地点として、大幅なエネルギーコストの削減になる」
ボスは得々と語る。
「地球を割ることも出来ると言っているのが気になりますがね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます