第14話 ヘルメティック・ライフ

 世界中に突如として蔓延したプロミネンス200ツーオーオー

人々のライフスタイルは、それまでとまるきり変わってしまった。

マスク着用を余儀なくされ、入店前にはアルコール消毒を要請される。


 各国でプロミネンスウイルスの感染者拡大が止まらない中、比較的ゆるやかな増減数で推移している国があった。日本である。



「健やかであったか、白馬よ」

ホログラフィーからボスのいつもの声が響く。

「カラダだけは頑丈ですからね。どうってことないですよ」

 勇ましい返事をする白馬。これも一種のリモートなのだろう。


「ふむ。さっそく本題だが、日本でプロミネンス患者の発生数が少ないのはどのように考える? 白馬よ」

 ボスは意地の悪い質問をする。

「お風呂好きだからとか緑茶をよく飲むからだとか、そういうファンタジックな答えではないんでしょうね」


「それも案外間違いではないのだが、今回もやっこさんが絡んでいる」

「メシヤ、ですか。俺が警護する側ですが、俺のほうがメシヤから逃れられないみたいですね」

白馬の口ぶりはこうだが、まんざらでもない表情だ。


「依然として有効なプロミネンスウイルスのワクチンは開発されていないが、世界にたった一人だけ、その抗原と反応する抗体を持った人物がいる」

「それがメシヤ、というわけですね。で、俺にどうしろと?」


「メシヤが抗体を持っているが故に、メシヤが行く先々で接触する人間はプロミネンスウイルスへの免疫力を獲得していく。白馬よ、お前にはメシヤが日本各地、そして世界各国へ旅立てるようにその道筋を作って欲しい」


「そういうことでしたか、なるほど。どうりでメシヤ周辺のエリアは発生数が少なく、都市部では多いのかが分かりましたよ」



「やってくれるな?」

「Loud and clear, boss !」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る