第4話 ドライブ・バイ
白馬の愛車はフェラーリの小型車である。色は白で、「白馬に乗った王子様」とからかわれたことも幾度かある。
名字に赤が付くからと小物を赤で統一したり、下の名前が数字に置き換えられるからとそれをラッキーナンバーにしたりする人もいるだろう。こういうモチベーションの上げ方は案外重要だったりする。
白馬が国道23号線を北上していると、アオリ行為をやめない黒塗りの車がピッタリマークしていた。
《久しぶりだな、白馬!》
黒塗りの車からと思われる男の声が、無線で割って入ってきた。
「その声は、ダニエルか?」
ダニエル=ブラッドソード。GIA所属のエージェント。内閣調査室所属だった白馬は、この男を避けては通れない運命にあった。
《元気そうだな、安心したぜ》
吹き替えの誤訳かと思えるセリフを吐くダニエル。
「要件はなんだ。手短に頼むぜ」
《悪いことは言わん。グランモルナクからは手を引け》
「グラン・・・なんだって?」
《とぼけるな。知っているぞ、お前がガードしているVIPだよ!》
表情は変えずにダニエルの車を突き放そうと、白馬はシフトをチェンジした。
黒塗りのキャデラックの、本来ならインタークーラーであろう部分が開き、弾丸が掃射された。
「ちいっ!」
《次は当てるぞ》
オートモードに切り替えると、窮地の探偵はサンルーフから身を乗り出した。
「俺の日にしてくれよ」
白馬は、命の恩人であるスピットファイアーMk2を構えると、空に向かって2発、轟音をけたたませた。
歩道橋上に鎮座していた豪にゅうどうくんのオブジェが、キャデラックめがけて落下してくる。
ダニエルはハンドルを取られ、タイヤがアスファルトを激しく切りつけた。
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