第3話 スパイ&スパイ

 白馬安曇は「めし屋フジワラ」の第二駐車場に停車している。

普段はしないメガネを装着して、店内に入っていく客を監視中だ。


 鳴り物入りで始まった「ユアナンバー制度」は記憶に新しい。

顔立ち・外見の身体データが、ユアナンバーのパーソナルデータと紐付けされ、

白馬のアイグラスに表示される。


 客の入りはまばらだったし、取り立ててイレギュラーな人物は見つからなかった。

「ま、こんなもんだろ」

 白馬が帰所しようとした時、店の扉が開いた。


「それでは、失礼しますわ」

「バイバイ、メシヤ!」

 ライム色の髪を束ねた、顔のよく似た少女が二人。


 白馬の表情がこわばる。

【COLLATING ERROR ! 】

 二人が角を曲がったあと、車を置いて白馬はついて行った。


「たしかこっちに行ったと思ったが」

 あたりを見回したが、ターゲットは見つからない。



「何をしているのかしら?」

 白馬は完全にきょをつかれた。


(コイツ、いつの間に俺の後ろを!)


「動かないで!」


「お嬢ちゃん、あんた一体何者だい?」

 後ろに回られようとも、体術でいくらでも組み伏せることが出来るためか、

白馬の言葉には余裕が感じられた。


「アイグラスで私達のパーソナルデータは出てこないですわ、白馬さん」

「!?」


 もう一人の少女がうしろで小さく微笑んでいる。

「まいったな、同業か」


「私達はメシヤさまのお近くでの警護になりますが、

 白馬さんは中・長距離での警護、そう仰せつかっています」


「大体察しが付いたよ。ボスの企みそうなことだ」

「日本とイスラエルは遥か昔からのゆかりがあります。

 これもなにかのご縁。メシヤさまを遠くからお守りくださいね」


「了解だ。なんと呼べばいい?」


「私の名前は裁紅谷さばくたにレマです。お好きなように」

「わたしはエリだヨ! よろしくネ、白馬!」















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る