第38話 母の意地は雷の矢、母の愛は私の涙。祈るしかない絶望のなか、月光とともに白い天馬は舞い降りるのです

王家親衛隊は私達を逃がすため、魔犬ガルムの足止めに命懸けで挑んだ。

その心意気を無駄にしない為に、私達は懸命に三頭の馬を走らせていた。

先頭はお母様だ。集中のあまり、まばたきを殆どしていない。

眦を決し、唇を真一文字に引き結んでいる。

かって貴族の手酷いいじめに遭い引き籠ったお母さまは感受性が強い。

人の痛みに敏感だ。

それだけに親衛隊の我が身を顧みない献身に、よけいに心が震えたのだろう。

そのあとに、メアリーと警護役の王家親衛隊員の組合わせの馬が、そして、私とブラッドと親衛隊員の相乗りした馬が続く。


もうだいぶ進んだ気がするのに、池にはまだ着かない。

敷地内の小さな森が、まるで果てのない広さの大森林に感じられるのは、私が焦っているからだ。

短いはずの道なのに、ぐんぐん道の先が伸びているようなもどかしさだ。

胸騒ぎがおさまらない。

風が不安をあおるように序々に強まってくる。

梢のざわめきが大きくなる。

それでも、やっと池に近づいたと悟り、私は少しだけ安心した。

池のあたりは夜風がきついと、以前散歩しながらメアリーが教えてくれたからだ。


頭上の木々の隙間を月が流れる。

道先はわずかに月明かりが照らすだけだが、お母様の先導に迷いはない。

夜霧がたちこめる森なのに、まるで月光に導かれるように、減速ひとつせずに駆け抜けていく。

最初は広い道を進んでいたのに、いつの間にか細い、ぎりぎり人馬が通れる狭い道を突き進んでいた。

私がにらんだ通り、お母様の馬術は並大抵ではなかった。

おそれることなく狭路に入り込んでいく。

王家親衛隊も負けず劣らずの腕で、ぴたりとその後ろにつける。

ひゅんひゅんと音をたて、突き出た枝先が髪をかすめた。


「なるべく身を縮めてろよ」


ブラッドが背を少し丸め、ぎゅっと私を抱え込んだ。

私が傷つかないようにするためだ。

この道の両側に密生している荊杉は性質が悪い。

幹や枝は薔薇のように棘に覆われ、葉の先端も尖り、髪や服にからみつき、肌を傷だらけにする。

この地域の昔の刑罰で、密集した荊杉の中に罪人を突き落とすものがあったくらいだ。

それなのに道はどんどん狭まり、荊杉は遠慮なく尖った爪を振り回す。

もはや道ではなく、棘の茂みを突き進んでいる感覚だ。


一歩間違えば大事故必至の、こんな危険な逃避行を、なぜお母様が選択したのか。

その理由をすぐに私は思い知った。

私を守るため、ぎゅっと抱きつき、密着したブラッドの心音が肌に伝わる。

その鼓動が早鐘のようになり、私に危機の襲来を知らせてくれた。


「・・・・・・あいつ、追いついてきやがった」


馬の後ろの闇から、魔犬ガルムの爪音と荒い息、そして木々をべきばきと粉砕する音が迫ってくる。

馬蹄と風切りの音の中でも、もはやその追撃は聞き違えようがなかった。

私達に同行する王家親衛隊員達が、悲痛な表情を浮かべ振り向き、また前を向いた。

メアリーが唇を噛みしめる。

魔犬ガルムが追いついてくるという事は、王家親衛隊が破れたことを意味していた。

お母様は自らの動揺を振り切るように大きく息をひとつ吐いた。


「・・・・この道では、魔犬ガルムといえど、そう簡単に追いつけはしません。荊杉いばらすぎはもがけばもがくほど絡まります。だから、皆様の健闘を無駄にしないため、今は進みます」


嘆く前に為すべきことを為す、大人の女性の横顔が前を見つめていた。


お母様の言う通りだった。

なみはずれた巨躯のうえ、固い胴甲をまとった魔犬ガルムは、密集した荊杉いばらすぎたちに行く手を阻まれていた。一度は肉薄した追撃の騒音が、あっという間に後ろに遠ざかる。

ここまで茂みに入り込んでは、後退もままなるまい。

それが狙いでお母様はわざと隘路を選択したんだ。


「大丈夫だよ。あんな強い王家親衛隊の皆が簡単にやられやしないって。たぶん隙をつかれて突破されちまっただけだよ。きっと、みんな無事さ」


気をつかったブラッドの言葉に、親衛隊員達が顔のこわばりを和らげる。

私もそう思う。あそこにはマッツオだっているんだ。

あの鋼鉄巨大ロボみたいな男の死は、この世でもっとも思い浮かべづらい。

「108回」のときの死は、私を逃がしてくれるため、わざと殺されるような選択をしただけだ。

本来の彼は無敵に近い。

彼が隊長を務める限り、王家親衛隊の全滅はまずありえないだろう。


「ふむふむ、たしかに。では、あとで間抜けな同輩どもを笑い物にしてやらねば。おかげでこちらとら月明りを頼りの、怪物との命がけの鬼ごっこだ」


「不始末のお詫びとして、浴びるほど奢ってもらわねばな」


親衛隊員たちが笑いあう。


「・・・・素敵なご提案ね。私もご相伴にあずかってよろしいですか」


お母様がくすくす笑い、話に入ってきて、二人の王家親衛隊員は相好を崩した。


「どうぞどうぞ。みな、諸手をあげて大歓迎いたしますとも」

「さきほどのオランジュ商会の酒もたっぷりお出ししますぞ」


いたくお気に入りだった酒をすぐさま話題に出され、お母様が朗らかに笑い声をたてた。


「ふふ。楽しみですわ。では、お酒をたしなむ大人として、子供達にいいところを見せなくてはいけませんね。この道はもうすぐ切れます。そこから先は馬で崖をくだります。そうすれば池は目の前です。ついて来れますか?」


わざと挑発的な物言いをしたのは、侮蔑ではない。


「心外ですな。弓はともかく、馬にても奥方さまに遅れをとっては、王家親衛隊の名が泣きます」

「我らは人馬一体。たとえ鹿しかくだれぬ断崖絶壁でも、ぴたりと追従してみせましょうぞ」


二人の王家親衛隊員たちも、打てば響くようにお母様の話にのっかった。

両手を手綱より離し、手を勇ましく打ち鳴らす。

子供達にぶざまは見せまいとする、格好いい大人達の虚勢がそこにあった。


かって「赤の貴族」たちの虐めで心を破壊され、対人恐怖症に追い込まれたお母様が、馬を自在に疾駆させ、最強部隊の王家親衛隊員たちと闊達に冗談を交わしあっている。

こんな際なのに私は嬉しくなった。


うん、こういう人生のやり直しは悪くない。

たとえちょっぴりハードモードでも喜んで受け入れますとも。


私は神様に心から感謝した。


ざあっと月明かりが遮られたのはそのときだった。


最初は雲かと思った。次に見た時は蛾の群れかと思った。

なにかの群れがばさばさと動いている?

激しい雨音のような音が、やがてざあざあという滝のような音に変わった。


「・・・・なんだ?」


夜目のきくブラッドが訝しげに眉をひそめ、目をこらす。

その顔色が変わった。


「森が枯れていっている・・・・・毒気だ・・・・!!あいつ、毒まで使えるのか!?」


ぞろりと視界を遮る木々の葉がずれ落ち、後方の視界が開けた。

群れに見えたのは一斉に枯死し、舞い上がった梢の葉だった。

骨のような枝だらけの死した森の光景。その奥に、魔犬ガルムがいた。

苦悶するようにねじ曲がった木々の重なり、闇の中心でおぞましい赤色の目が輝く。

その足元が陽炎のように不気味に揺らめいている。

ばきんばきんと音をたて、魔犬ガルムにからみついていた荊杉いばらすぎの残骸が砕けていく。

身をひそめていた鳥や小動物が落下し、吐血し、とびはねるように痙攣して静かになった。

みるみるうちに森の滅びが拡大し、私達のほうに迫ってくる。


「・・・・・犬野郎・・・・からまった荊杉ふりほどくため、毒気を噴き出して森を枯らしやがった!!あいつ、もうなんでもありかよ!!早くここから離れなきゃ、やばい!!」


詳細を見てとったブラッドが総毛だっていた。


毒気!?火山活動が活発な地域で発生する、吸っただけで人を昏倒させるあれ!?


火山のないこの国では見ることのない自然現象だ。

また魔犬ガルムの仕業!まったく次から次に!!

運命の神様もやってくれるよ!!


「・・・・・ここで森が切れる!!ここからは池からの風が強まります!!毒気なら風が押し戻してくれるはず!! ・・・・・崖を跳びます!!」


馬を走らせ、お母様が鋭く叫んだ。

やっと木立を抜けたのだ。

ごおっと風が吹き込んでくる。そこから先の地面ははるか下にあった。


「・・・・・お願い!!少しの間、無理をさせます!!どうかあなた達の全力でこたえて!!」


跳ぶ間際、お母様が祈るように馬に語りかけるのが聞こえた。

私達の馬は、森を飛び出し、風のただなか、崖下の虚空に身を躍らせた。

落下の風切り音が耳元で鳴る。

崖のところどころの出っ張りが、ぞっとする速さで次々に迫ってくる。

お母様と親衛隊員たちは、稲妻のようにジグザグにそれをかわし、あるいは足掛かりにし、馬とともに崖を駆け降りた。「108回」の私でも及ばない神業だった。

見事に着地を決め、期待に応えきった馬達が誇らしげに顔をあげる。


「・・・・・・よくぞ・・・・見事!!」


お母様と親衛隊員達は嬉しそうに顔をほころばせ、馬に礼を言った。


「コーネリアさんの言うとおりだ。あの毒気は風に逆らってまでは、遠くには飛ばせないみたいだね」


さすがにずれたお尻の位置をもぞもぞ矯正しつつ、崖上の様子をうかがい、ブラッドが、ほっと口にする。

池から強い風が吹きよせる崖の間近の森は無事なままだ。

毒気は風に飛ばされ、森を浸食出来ていない。

魔犬ガルムが荊杉いばらすぎを抜けるにはまだ時間がかかるだろう。


「なによりの朗報ね。この時間帯は、風は池から森に吹き続ける。新月に毒草採りに来て、何度も確かめてるから、間違いないわ。・・・・・魔犬ガルムが毒を飛ばせるなら、動きづらい池の小船は危険ね。あいつが荊杉に手こずっている間に、馬で遠くに逃げましょう」


森の夜道を迷いなく進めた種明かしをし、お母様も額の汗をぬぐった。

凛々しくふるまってはいたが、内心そうとう緊張していたのだろう。


私達は目的の池の畔に辿りついたが、毒気を考慮すると切り札には使えなくなった。

状況は相変わらずかんばしくはない。

だが、ひとまずの危機は乗り越えた。

僅かながら逃げる時間は稼げた。

お母様の顔にも安堵の色が浮かぶ。


だが、運命の神様はどこまでも残酷だった。

再び私達の気持ちはどん底に引きずり降ろされた。


「・・・・そんな・・・・!!逃げ道が水没している・・・・・!!」


お母様が馬上でまっさおになった。

朝まではおだやかだった池面が、今は別の池のように轟々渦巻いていた。

まるで荒れ海のように、波が崖下間際の地面を乱暴に洗う。

大量の流木と突き出た枝が、濁流のなか、激しく鍔迫り合いをしていた。

挟まれたら赤ん坊の私なんか一発でぺしゃんこになる勢いだった。

私達は崖と濁流に挟まれた、15メートル四方ほどの死地に飛び込んでしまっていた。

退路がすべて断たれた孤島に等しかった。


「この水の濁り・・・・!!上流の山で鉄砲水があったんだ。こんなタイミングで・・・・!!」


濁った血のような水の色を確認し、ブラッドがうなった。


この池は天然の池に手を加えたものだ。

大きな川と支流でつながっている。

その本流の川は、はるか山々の峰に端を発している。

赤い土砂はその山脈の産物だ。

水に触れると数日ですぐ土色に変わるが、大水で一気に下流まで押し流されてきたときは、その赤い色をしばらく見ることができる。

「108回」で私も何度も目撃した光景だ。


あとでわかったことだが、ブラッドの予想通り、本流の水源地近くで土砂崩れが起き、その後自然に出来あがったダムが決壊し、濁流となって下流に押し寄せたのだ。それが支流を通じ、うちの池になだれこんだのだった。このあたりは穏やかな晴れの日が続いていたので、雨の備えなどなにひとつ取っていなかった。


「船は・・・・あんなとこかよ・・・・!!」


水際から五メートルほど向こうで、流木に取り囲まれ、見覚えのある小舟があっぷあっぷしていた。

船着き場はとっくに水の底だ。

容赦なくぶつかってくる流木たちに小突かれ、こすられ、悲鳴の軋みをあげていた。

薄い船板程度でいつまでも耐えられるわけがなかった。

まるでわざわざ絶望を思い知らそうと、誰かが手薬煉ひいて待ち構えていたかのような嫌な光景だった。

乗り主のいない小船はすぐに傾き、濁流に呑み込まれるだろう。


「ちょっと待って!!ロープ!?これ、船繋いでたロープかよ!!まさか、な」


私をメアリーに押しつけ、ブラッドが波打ち際から、ロープを拾い上げ、半信半疑で引っ張ると、がたんっと小船が反応した。


「やっぱりそうだ!!ほどけたロープの端が流れ着いてたんだ。ははっ、運がいいんだか悪いんだか」


たぐりよせるブラッドの息がはずみ、皆の顔が明るくなる。

私達を見守る運命の神様というのは、ゆくゆく悪戯好きらしい。


だが、少し上向き修正された私の希望は、次の瞬間、木端微塵に打ち砕かれた。

頭上の森がはじけ飛んだ。枯枝と枯葉が降り注ぎ、視界が翳る。

私達が馬で駆け降りてきた崖が、轟音をあげて崩れた。


「おいおい、犬野郎!!もうお越しかよ・・・・・・!!」


ブラッドの額を冷汗が伝う。

巨大な影が、岩くれと土煙とともに目の前に降って来た。

どんっと地面がゆれた。

月明かりでのそりと立ち上がる魔影が露わになり、私は悲鳴をあげそうになった。

剛毛には枯死させた棘杉の枝がところどころ絡まり、にょっきり突き出している。

体中あちこちから昆虫の脚を生やした奇怪な異界生物に見えた。

ずらりと並んだおそろしい歯列の間から涎が滴り落ちる。

狂気を宿した赤い眼光が、ばんびろの貌にちょこんと燃えていた。

魔犬ガルムが私をじいっと見つめ、牙をむいて嗤った。

正常に動く事を見せつけるように、牙ががちんっがちんっと噛み合わされた。

その足元の地面がしゅうしゅうと煙をあげていた。

下草がみるみるうちに萎れていく。

身体の周辺の空気が気味悪くゆらゆら揺れている。

毒気をまとっているとわかった。

さらにその身体の輪郭が三重にぼやけ、ぶわっと三体に分離した。


「ガルムの野郎・・・・!!血桜胡蝶を完璧に使いこなしてやがる。三体分身なんてオレでも出来ないのに・・・・・!!」


ブラッドが戦慄を押し殺すように歯軋りする。

もう地上の生物とは思えなかった。

私は震えあがった。

現れるたびに、妖怪化を進行させないと気が済まないの!?こいつは!!


「・・・・どうしても逃がす気はないってかい。ここで勝負つけるしかないやね」


たぐり寄せていた縄を手放し、ブラッドが背伸びをする。

のんきな口ぶりとは裏腹に、まとう雰囲気は悲壮なまでに張り詰めていた。


「いえ、ブラッドはそのまま小船を岸に引き寄せ、メアリーとともにスカーレットを守って、小船で池に退避してください。ここは私達だけで十分です」


お母様はそんなブラッドをさえぎり、騎乗した王家親衛隊の二人に目くばせした。

騎士達は深くうなずき合った。


「ここからは大人の時間ですな。この晴れ舞台、悪くない」

「奥方さま、国王陛下の御即位の式典演武のフィナーレを飾った〝あの奥の手〟をいよいよ使われるのですな。いや、伝説をこの間近で見れるとは。これは楽しみだ」


自分達だけ逃がされると知り、私達は蒼白になった。


「コーネリアさん、無茶だ!!」「奥さま、なにを!?」「オアッ!?」


抗議する私達にお母様はほほえんだ。

涼やかで迷いのない笑みだった。


「今、風は魔犬ガルムに向かって吹きつけています。勝算はあります。むしろこれは好機なのです。メルヴィルの矢は、守る者が背後にいる限り、どんな敵にも負けはしません。私のお母様もそうでした。だから・・・・・今度は私の番です。娘をお願いします」


「・・・・わかったよ。コーネリアさん。無理はしないでね」


その透明な笑顔に、ブラッドは自らを納得させるように頷いた。

くるりとお母様に背を向け、再びロープを引っ張り出す。

船に繋がったままとはいえ、間には無数の浮遊物が絡まろうとうごめいている。

下手な牽引はロープ自体を断ち切ることになる。慎重に作業せざるをえない。

させじと跳びかかろうとした魔犬ガルムの三体の分身の前に、


「ここは通さん!!」「大人を倒さず、子供に襲いかかれるわけなかろう!!」


馬を駆って王家親衛隊の二人が立ち塞がる。


「魔犬めの姿は三つ。ならば、奥方様のために的減らしさせていただく!!」

「今より突撃つかまつる。我らの結果をもって、魔犬の本体、お見極めを!!」


二騎は疾風となっておそれることなく突進した。

その騒ぎの中、ブラッドは魔犬ガルムに背を向けた形のまま、船を引き寄せる作業に没頭していた。

下唇がぎりっと噛みしめられる。

お母様と王家親衛隊を心から信頼している、だから様子は見ないと、背中で語っていた。


「ふむ、戦士の意地というものをよく理解している」

「魔犬を背にし、振り向かないとは粋なことを」


破顔して突撃し、槍をふるった王家親衛隊の騎士が、右の魔犬ガルムを突き抜けた。

同時に突き出されたもう一人の騎士の槍も、左の魔犬ガルムをすり抜けてしまう。

右も左も幻だった。すうっとかき消え、中央の魔犬ガルムだけが残った。


「・・・・・残念、俺は大はずれだ!」

「こちらもだ・・・・しかし、役目は果たしたぞ。ははっ、まん中が本物ですぞ!!」


向かい風になっているとはいえ、魔犬ガルムの周囲は濃厚な毒気が渦巻いている。

二人の騎士は高らかに笑うとごぼっと吐血し、落馬した。

馬も主人たちを追うように、泡をふいてどうと横倒しになった。


「・・・・・ありがとう!あなた達の志、無駄にはしません!魔犬よ、メルヴィルの矢を恐れぬ報い、人の想い、その身をもって思い知りなさい!!」


お母様は涙を目じりに光らせ、ひき絞った弓で矢を解き放った。

風が轟々と吹きつける。


「・・・・・この矢は風の流れに沿って飛ぶ。そして風に取り込まれないぎりぎりを飛行し・・・・・風の吸引力を利用して、初速の三倍まで加速する・・・・!!」


お母様の言うとおりだった。

放たれた矢がぐんぐんと加速していく。

魔犬ガルムを貫いた毒牙のように。

いえ、それよりももっと速く、爆発的に!!

まるで矢に隼の翼が生えたかのようだった。


「メルヴィル家の始祖は暗殺者でした。陽のあたる道を歩くことは叶わず、その弓技も地を這う蛇の名しか許されなかった。・・・・・でも、始祖は誇りは失わなかった。這うにしても、地ではなく天を這えば、それは蛇でなく閃く雷となる!!この技は、始祖から私達に渡された魂の誇り!!」


矢羽根がこすれ、静電気を帯び、ばちばちと蒼白く放電する。

雷の軌跡を描き、矢が閃き飛ぶ。


稲妻と化した矢に危険を感じ、回避しようとした魔犬ガルムががくりと停止した。

その脚に落馬した王家親衛隊の二人がしがみついていた。

血をごぼごぼと口元から落としながら、凄愴な笑みを浮かべる。


「逃がさんよ、犬ころ。獣は作法を知らんだろ。介錯、手助けしてやろう」

「死ぬときは、一人一殺、これが王家親衛隊の不文律よ・・・・・!」


脚を封じられ、矢をかわせないと知った魔犬ガルムが、地を揺るがす咆哮を放った。


「・・・・・無駄よ。雷となったこの矢は、もう犬の吠え声では落とせない」


お母様が呟いた。

矢は放たれた咆哮にぶつかった。

鏃と声圧の衝突点の空気が軋み、羽根から電光がはじけ飛ぶ。


「貫け!!これが、メルヴィルの最終弓法・・・・・!!」


つばぜり合いは一瞬だった。

音の抵抗を突き破った矢が、溜めこんだ勢いを一気に爆発させ、さらに急加速した。


「その名を・・・・・雷爬!!」


矢は魔犬ガルムの左目に深々と突き刺さった。

蒼いアークが噴き上がる。


魔犬ガルムが吠えたてた。

だが狂ったように貌を振り立てても、矢柄が抜けおちないほど、貫通は内部に及んでいた。

それは脳や延髄の間近に鏃が射込まれたことを意味していた。

メルヴィルの鏃の毒は身体の末端に刺さっても、致命傷になるほどの猛毒だ。

もう助かりっこない。

魔犬ガルムの目鼻口から血泡が溢れだす。

なのに、魔犬ガルムは倒れない。


「毒は届いているはず・・・・・どうして・・・・・」


お母様が呆然として呟く。

ようやく小船を水際まで引き寄せたブラッドが、蒼白になって振り向いて絶叫する。


「コーネリアさん!!早く離れろ!!そいつにそれ以上かまうな!!」


「・・・・・よかった!!棹が船にのったまま!!小船なら私が扱い慣れてます!!操船はまかせて!!ブラッドも奥さまも急いで船に!!」


メアリーが私を片手で抱いたまま、ひらりと船に飛び乗り、片手で棹を掴んで急かす。


「ああ!!頼むぜ、メアリーさん」


ブラッドは素早く乗船し、メアリーが両手で操船に集中できるよう、私を受け取った。

だが、お母様は魔犬ガルムを睨みつけたまま動かなかった。


「なにやってんだ!!コーネリアさん!!」


「・・・・私は行きません。あいつは死ぬことまで忘れてしまったみたい。だから、私が殿になって、ここで食い止めます!!」


「バカ言うな!!そいつはもう普通じゃない!!心臓が止まったのに動いてるんだ!!倒すことなんてできない!!まともに戦っていい相手じゃないんだよ!!」


血液の流れで魔犬ガルムの状態を読んだブラッドが、必死になって翻意させようとする。

私達も懸命に呼び掛けるが、お母様は静かに横にかぶりを振った。


「では、あいつを池の水におとしても、心臓停止では殺せないということ。どのみち誰かの後詰めが必要なの。無謀なことは理解しています。笑っちゃうくらい、手のふるえが止まらない。でもね」


お母様は笑った。


「母親は子供の前なら、やせ我慢の勇気がわいてくるみたい。ブラッドのお母様がいたら、きっと私と同じことをしたと思うわ。だから行って、メアリー・・・・・!!」


メアリーはおろおろとし、俯き、泣きそうな顔をあげ、そして唇をかみしめた。


「はい!!」


小船が岸から離れた。

メアリーの棹さばきによって水流にのった小舟は、驚くほどの船足で、岸から遠ざかる。


「やめろ!!戻してくれ!!メアリーさん!!」


「戻りません!!同じ母親として、私には奥さまの気持ちが痛いほどわかります!!」


ブラッドの懇願をメアリーはにべもなくはねつけた。

棹を握ったその手から、ぽたぽたと血が滴り落ちていた。

私達ははっとなった。

皮がやぶけるほど手を握り締め、メアリーは気持ちの奔流に耐えていた。

お母様と親友のような間柄だったメアリーが平静なわけがない。

彼女は私達より大人だったというだけだ。

お母様が岸の向こうでほほえむ。


「ありがとう、メアリー。たった一人の私のお友達。もっと早く会いたかったわ」


嗚咽をこらえるメアリーの頬は涙でぐしゃぐしゃだった。


お母様が再び「雷爬」を放つ。

幾度も幾度も電光の尾をひき、矢が魔犬ガルムに突き刺さっていく。

風が轟々と鳴り響く。

赤い池の水に揺れる船べりで、私達は息を凝らし、お母様の死闘を見守っていた。


突き出た矢柄で槍衾のようになりながら、魔犬ガルムはまだ倒れない。

足元にしがみつき、お母様の手助けをしている二人の王家親衛隊員は、ぴくりとも動いていなかった。

死んでいるのか生きているのかさえわからない状態なのに、手だけはいまだに魔犬ガルムの脚を抱え込み、決して離そうとはしなかった。

お母様は二人に小さく黙礼し、また矢を放つ。


「・・・・ねえ、スカーレット。私、毎日震えて引きこもっていたの。他人が怖くて外に出る勇気がなかった。そして、そんな自分が大嫌いだった。あなたに会えて、私はやっと・・・・・ねえ・・・・私、今、ちゃんとあなたの母親やれてる・・・・・?」


矢を次々につがえながら、お母様が私に語りかける。

弦の音が物悲しく鳴る。


「オアアッ!!アオオオッ!!」

 うん!!お母様ほど母親している人なんていないよ!!

 最高の私のお母様だよ!!


お母様に通じるかどうかはわからなかったが、私は精一杯叫んだ。

お母様の口元が嬉しそうにほころび、私は自分の言葉がお母様に届いたと知った。

私達はやっぱり親子だった。


「そう、よかった・・・・・私、やっと自分が好きになれそうよ」


お母様は矢筒に手を伸ばした。

私達は凍りついた。

矢が・・・・・尽きた・・・・・!! 


お母様が最後の矢を構え、いまだ倒れぬ魔犬ガルムに、静かに語りかける。


「・・・・・あんたは哀れだわ。どんなに強くても、不死身でも、あんたはひとりぼっち。引きこもっていた私と同じよ。守りたいものもない孤独な強さなんて、使えないお金と同じだわ。私は、スカーレットを、娘を守るため、自分の力を振るう。羨ましいでしょう。この価値は、あんたには永久にわからない」


矢がひときわ強い電光を輝かせ、魔犬ガルムを射ぬいた。

魔犬ガルムの巨躯は大きく揺らいだが、倒れることはなかった。


「・・・・・あら、残念ね。これで打ち止めよ。運に助けられたわね」


お母様は小さくため息をつき、弓を落とし、凄艶に笑った。


「でも、わかってるでしょう。勝負は私の勝ちだった。あんたは本当なら死んでいる。だから、少しぐらいお別れの時間をちょうだいな」


そう言うと、お母様は魔犬ガルムにくるりと背中をさらし、池の小船の私達のほうに向け両手を伸ばし、ほほえんだ。

私を抱きしめようとしているかのようだった。

そのためにお母様は弓を捨てたのだ・・・・!


「・・・・スカーレット。私のもとに生まれてきてくれて、ありがとう。あなたと一緒のこの数日、私は母の幸せを味わいました。だから、今度はあなたが幸せになってね。絶対よ」


「コーネリアさん!!諦めるな!!オレが今行く!!」


「奥さま!!待って!!まだ駄目!!逃げて!!お願い!!」


ブラッドが血相を変え、濁流に飛び込もうとする。

メアリーが泣き叫びながら、小船を岸に向けようとする。

お母様は静かに横に首をふり、二人を押しとどめた。


「私はもういいのです。死は最初から覚悟していました。メアリー、ブラッド、娘を頼みます・・・・あなた達に、私の一番大切な宝物を託します」


そして、私を見つめ、お母様の唇が言葉をつむいだ。


「スカーレット・・・・不思議でかわいい私の娘・・・・・母は、ずっとあなたを見守っていますからね。もっとたくさんの事をしてあげたかったけど、中途半端な母親でごめんね。・・・・・さようなら」


ありったけの優しさをこめた、ちょっぴり申し訳なさそうな笑顔だった。

私は泣いた。

最期を迎えようとしても、お母様は恐怖ひとつ見せなかった。

どれだけ私を愛してくれているか、ただその思いだけを伝えようとしてくれて・・・!。

私のために戦い抜いて、私のことを最後まで心配して・・・・!


そしてお母様は、私達のほうを向いたまま、晴れやかな表情で瞼を閉じた。


「意外ね。ちゃんと待っててくれたなんて。これで言いたいことはすべて伝えたわ。さあ、殺しなさい」


そのすぐ背後に魔犬ガルムの開いた口と、ぞろりとした牙列が迫った。


いやだ!!こんなお別れなんて嫌だ!!

納得できないよ!!こんな残酷な結末!!

あんなに私を愛してくれるお母様を、どうか神様、お救いください!!

私、知識チートなんていりません!

普通の赤ん坊にしてもらっても構いません!!

奇跡の力なんていらない!!

だったら、それと引き換えに、どうかお母様を救ってください!!

奇跡をくれるなら、今ここで、それを起こして!!

私のお母様を奪わないで!!

私達、これから母と娘の初心者同士で頑張っていくって誓ったばかりなんです!!

まだ何一つ始められてないんです!!

私、お母様と一緒に生きていきたい・・・・・!!


突然暗雲が流れ去り、空と池面を煌々と月が照らした。

白い風がごおっと吹きすぎた。

私は呆然とした。


「・・・・子を思う母の愛は、癒しの光だ。その光を踏みにじる愚かな獣には、恐怖のおおのきこそ相応しい。ここよりは、ぼくが相手になろう」


上空から突然、深い響きの男性の声がおりてきたからだ。

まっ白な馬が空からあまくだる。

一瞬、神様が私の願いをかなえ、御使いを遣わされたのかと思った。

私は白馬から生えた翼を見たような気がした。

よく目をこらすと、ちらつく月光の差込みが、夜に舞う白い羽根に見えたとわかった。

白馬はさっき崩れた崖の上から飛び降りてきたのだ。

桁外れの跳躍と軽やかさで、まるで飛翔しているように錯覚させられたのだった。


白馬には、真紅のフロックコート姿の貴公子がまたがっていた。

短く切った前丈に、ひるがえる真紅の燕尾が夜を裂いた。

炎をまとった飛燕を思わせた。

真っ白なズボンと馬体が夜に映える。

首元の純白のクラヴァットが秘密の儀式を覆う布のように流れる。

左には漆黒の革の胸当てをしていた。

幻想的すぎ現実味に欠け、私達はただ茫然とその登場の光景を見つめていた。

貴公子は空中から優しくお母様に笑いかけた。


「君のその凛々しさ、勇気、美しさ、まさに月の女神だ。ならば、ぼくは女神に仕えるしもべとして、君を守る剣になろう。・・・・・我が再会の一撃は、月光とともに!!」


両手でぴたりと構えられた長い棒状の武器が、頭上の月と白馬と魔犬ガルムを斜めの一直線上に繋ぐ。

まるで配置を定められた見事な一枚の絵に見えた。

紅の服の貴公子は異様な存在感を放っていた。

千の群衆の構図にあっても、居場所が一目瞭然な、絵画の中心人物を思わせた。

それもとびきり鮮やかなテンペラの発色の宗教画だ。        


「受けてみよ!!人馬一体!!馬闘術の一撃を!!」


振るう棒は、地上の歩兵が対騎兵で使用するパイクほどの長さがあった。

ロングスタッフとも呼ばれる先端を尖らせた長柄に似ているが、両端が金属の石突に覆われ、中間の柄の部分も金属の輪を嵌めて補強されている。


ゆっくりした振り下ろしに見えたのに、形容しがたい風切り音がここまで届いた。

大瀑布が遠目には穏やかな霧しぶきに見えるさまを思い起こさせた。

首をもたげ迎え討った魔犬ガルムの牙と武器が激突し、ガキンッという重い響きと火花が飛び散る。

魔犬ガルムが硬直した。

ぶつかりあった反動で、白馬と貴公子がふわりと空中に押し戻される。

優雅な月夜の舞を思わせた。

それと対照的に魔犬ガルムの巨体が、暗い地面に重々しく傾いていく。

お母様の必殺技「雷爬」を嫌というほど射込まれても平然としていた不沈の化物が、たった一撃でバランスを崩した。信じがたい光景に私達は目を丸くした。


な、なにが起きてるの!?


「ぼくのコーネリアに牙をむけた罰として、まずは牙を一本もらう。次は土下座し地面を舐めよ。彼女に詫びろ・・・・・このようにな!」


感電したかのように、のけぞった魔犬ガルムが、続く空中からの二撃目で無様に地に叩きつけられた。

呆然とするお母様をかばう立ち位置に、白馬と貴公子は軽やかに着地した。

びゅうんっと私の耳元で風が鳴り、船縁に異音をたてて、なにかが突き立った。


「オアッ!?」


回転しながら飛んできたのは、折れ飛んだ巨大な獣の牙だった。

私は仰天した。

紅服の貴公子が、言葉通り、魔犬ガルムの牙をへし折ったと理解したからだ。

それが勢いあまってこの距離まで飛ばされてきたのだ。


「・・・・・楽に死ねると思うなよ。コーネリアを苦しめ、ブライアンじい達の命を奪った償いを果たすまで、血反吐をはいてのたうちまわらせてやる。次は目を潰すか、耳をちぎるか・・・・指からいこうか!!」


貴公子は今度は、ガルムの欠損した指の傷痕を、棒で抉るように突いた。

ゴンッという鈍く震える音がし、また稲妻にうたれたかのように魔犬ガルムがはねおき、身を強張らせ、後方によろける。


あの不死身の魔犬ガルムを、こんな一方的に打ちすえるなんて、この人なにもの!?

「108回」で私、こんな人に会ったことないんですけど!?


突然の乱入者と急展開についていけず目をぱちくりする私達をよそに、馬上の男性は片手を伸ばし、呆然としているお母様の腰を抱きよせた。優しげに微笑み、耳元近くでささやく。


「コーネリア、愛しい人よ。怪我はなかったかい。そんな驚いた顔をしないで笑っておくれ。それとも、君はやはり月の女神で、ぼくはそれを勘違いしたのかな」


い、愛しい人!?

この私の知らない美男子、今、お母様のこと、愛しい人って言った!?

私は仰天して目をむいた。

お母様、まさかの浮気!?

もしかして不倫相手の登場!?


「あなた・・・・来てくれたのね・・・・・・」


お母様の唇が震え、涙があふれ出た。


「君のためなら、地獄の底からでも駆けつけてみせる。遅くなってすまなかった。よく頑張ったな」


貴公子は頷くと、そっとお母様の髪を撫でた。


ああっ、そんな潤んだ瞳で見つめ合っちゃ、駄目ですよ!!


私はやきもきして、メアリーの腕の中で暴れた。

お母様が苦笑する。


「まさか白馬にのって飛んで来られるなんて・・・・あなたはいつも物語のように登場して、私を驚かさないと気がすまないのね。ヴェンデル」


もうっ!!ヴェンデルって、よりによって、そんなお父様と同じ名前の人と!!!

・・・・・・って、あれ?


私は首を傾げた。よく見ると、貴公子の髪は赤く、目は紅色。

「108回」でも、私とお揃いのその特徴の人間は一人しかいなかった。

まあ、髪はほとんど白髪に入れ替わっていたけど。

私は記憶の中のその人物を、想像の中でずっと若返らせてみた。

十年・・・・・十五年・・・・二十五年・・・・!!

そこまで時計の針を逆回転させたとき、かちりと頭の中のパズルが完成した。


「お嬢様!!公爵様です!!お父様が来てくださいましたよ!!」


私が驚愕の答えにたどり着くのと、メアリーが私を抱きしめて、喜び叫ぶのは同時だった。


「オアオアー!?」


なんですとお!!あれがお父様ですとおっ!?

不機嫌そうな仏頂面と最低限度の言葉しか口にしなかったお父様と、この立ち振る舞いから薔薇が零れ落ちそうな貴公子が同一人物!? 

なに!!この使用前、使用後の詐欺広告みたいな存在は!!

いらない公爵どころか、ほんとに紅の公爵じゃないか!!


私の驚きをよそに、お父様(!?)はお母様に情熱的にささやく。


「月の女神よりももっと心をときめかせる、我が妻、愛しのコーネリア。月に照らされ、今夜の君はいつもにも増して愛らしい。久しぶりに会ったときのために、たくさんの挨拶を用意していたのに、この胸の高鳴りの前には、すべてが意味をなさなかった。言葉になるのはたったふたこと。ぼくにとって君は人生すべてを捧げるにふさわしい女神だ。そして永遠に愛している」


「私も愛していますわ・・・・・ヴェンデル・・・・・」


耳朶をまっかに染め、うっとりとお母様がこたえる。

お父様(!?)は満足そうにうなずいた。


「この瞬間をずっと夢見ていた。ここに来る途中、君がいなくなることを想像し、震えが止まらなかった。君が幻になって消えないか不安だ。三日三晩ほど、力いっぱい君を抱きしめさせてほしい・・・・まずはキスからだ・・・・」


人目もはばからぬ、あまりの濃厚熱愛ぶりに蕁麻疹が出そうだ。

興奮してぴょんぴょん跳ねるメアリーを横に、私は身体をかきむしりたい気分だった。


あの、メアリー、船が転覆する。そのジャンプやめて・・・・・


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