第6話 人生


 彼女と別れ自宅を目指す。


 バスの中でここまでの出来事と今後について考える。彼女にとってここまでの人生はとても苦い経験の連続だったかもしれない。

 

 彼女はとても優秀な人でした。


 高校、短大と進み大手のアパレル会社に就職。私生活も順調で彼氏と半同棲をしていた。


 ある日突然体の痛みに気がつく。


 痛みは体だけでなく、心にも広がりはじめた。


 自分が耐えがたい日々を送っている時に彼は彼女から去っていった。


 行き場のない悲しみから、彼女はアパレル会社を退社。


 親戚の仕事で受付業務をするも、体と心が上手くいうことが聞かない。


  そして退職…。 

 

 人生の道のり半分を病気に阻まれてきた。


 線維筋痛症の痛みは本人しか知り得ることができない。


 ただ私の人生も辛い人生を送ってきた。「人生山あり谷あり」

 

 誰しもが辛い立場になることがある。人生は平坦な道ばかりではない。

 

 ただ、違いは私の人生は自らの過ちで作りあげた苦行。彼女の人生は病気に苛まれた苦行。


 同じ苦行でも前者は自己責任。後者はどこに答えを…。


 そんなことを考えていたらバスは終点についていた。私はそそくさと荷物をまとめバスを降りた。



 家に着いても、考えはまとまらない。  



 「まずは彼女に何をするべきか!」


 その問いかけが頭の中で何周もまわりつづける。

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