第3話 距離

 季節まだまだ夏真っ盛り。


 外は暑く商業施設は涼しい今日この頃。


 あれからメールのやり取りが続き、少しずつ自然な会話も増えてきました。

 「今日は病院に行きブロック注射してきます」や「本日は美容院にいって散髪してきますなど。

 内容がただただ明るく「難病」を抱えてるとは思えません。


 人は忘れてしまうのでしょうか? 自身が小さい時なんて、転んでは泣いて。怒られては泣いて。おやつを兄弟に取られただけで泣いて。

 「それが大人です」や「それが世間や他人との接し方です」また「本当は彼女の気遣いだと思いますが。」との声も、読者の方から聞こえてきそうですが…。

 

 さてさて、交友関係が深まれば会う約束も取りやすくなります。


 私は彼女に「今度会ってみませんか?」と質問。彼女は少し考え「いいですよー!」と返答。会う日を約束しその日を待つことにしました。


 彼女の自宅は私の街から車で2時間。 

 同じ県内に住んでいても地図で示せば上から下にへの道のり。


 当時の私に物質的な資産はなく車など高値の花。


 私は高速バスのチケットを予約。 ホテルは大浴場付きのビジネスホテルを選択し、来るべき日に向け私は胸を躍らせていました。

  

 また旅行が大好きな私は「前日に行き観光しよう!」と決め約束の前日につく予定を立てた。


 そして旅行当日。 天気も良く晴れ渡りバスは彼女住んでる街に向かいました

 現地につくと、早速ネットを開き観光スポットを探す。…ちょっと離れた所に「有名な渓谷」。 また県境を越えてくる人がいるほど「有名な温泉街」。そして「高原」なども。 


 行きたいけど少し遠い…。

 有名な観光スポットほどバスを降りた駅前から離れた場所にありました。 もう一度ネットを開き行き先を探します。 今いる駅前から2駅でつく「有名なお寺」を見つけた。「良しここへ行こう」と決め、電車に乗り現地へ。


 途中彼女にも報告。「そこ有名ですよねー!私も昔行きました。」とメールで返ってきました。 


 お寺につくとまずは参拝。 有名な観光スポットなので「大型バス専用駐車場」も完備していました。 また訪れた日も休日だったので、沢山の観光客で賑わっていました。 


 お寺にきたのは目的がありました。 それは「お守り」です。

 

 私はお守りを購入。


 「健康祈願」と書かれたお守りを握りしめ、「明日は彼女に会える」と胸を踊らせていました。




 この時はまだ線維筋痛症の「辛さ・苦しさ」を知りませんでた。


        初めて会って、「現実」を知るのでした。

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