第2話 把握

 隣町に着いた私は大浴場のある「ビジネスホテル」にチェックイン。 

 今では親会社に加盟料金を払えばホテルオーナーになれる時代。

 一昔とは違い「夢のホテル経営」も大金持ちだけでなく、一般も参入できるようになった。


 私は部屋につくなり大浴場へ。 

 大きな浴槽で「彼女の病気」について一人考えを巡らせた。プロフィールに書き記された内容だと「激しい痛み」と「線維筋痛症」。 メールで得た情報は「体が強張る」と「一日中動けない」。

 

 自分自身「大きな病気」と言えば、顎を打ち記憶を無くした位で、「長い痛みに襲われる」や「病との戦い」は経験がない。

 「うーん?」とどんなに想像を巡らせても「彼女の痛み」を知るとこはできなかった。 


 大浴場も沢山の人達で溢れてきた所で私は退室。自室に戻り「本日の目的」テレビの電源を入れた。 

 テレビは大画面だけど室内はベットと長机が置かれ「狭さをより強調しました!」っていうくらいの広さ。 部屋の広さとアンバランスなテレビが「バラエティ番組」で笑いを誘ってくる。


 ふと携帯画面を見つめ思考を巡らせたその時、「あ!彼なら病気のこと知ってるかも!」と思い通話ボタンを押した。

 

 呼び出しコールが5回鳴ったてようやくお目当ての彼につながった。 

 通話と同時に彼は一言。「寝ても良いですか…?」

 尋ねてくる彼を、私は引き止め『「線維筋痛症」って知ってる?』と質問を投げ掛けました。


 因みに彼は製薬会社に務めるエリートさん。

 高校を卒業し医大に入学。医師免許を取得したにもかかわらず医師にはならず…。そんな彼の口癖は“薬の可能性は未知数!” 


 「わかり安く言うと難病。」と彼の口から返答。 私は「え!難病なの?」再度確認。


 「詳しいことはネットの文献読んで!筋痛症は原因がわからないんだよ。」


 彼は明日出張会議の予定だったので、私は飲み会の約束をし通話を切った。

 難病。…現代は色々な病状に名前がつけられている。「学習障害」や「発達障害」それらも含め難病なのか?私は彼の言葉に従いネットを調べる。


症状

 全身や広範囲が痛み、またある部分だけが痛むことがあります。痛みは軽いものから激痛まであり「耐え難い痛み」であることが多い。また天候に左右されることもある。


病因

 病因は未解明ですが、患者をそれぞれにいくつもの要因がジグソーパズルのように複雑に絡み合っていると考えられます。


 病因は未解明…。 


 私は今日まで彼女とメールでやり取りを、基準にしているだけでこんなにも難しい病気だとは知ることもなかった。

 病状に至っても精神的部分に症状がでたり(うつ病)や肉体を刺激が走るもの(筋肉の強張りや動けなくなる程の鈍痛など)文献は今日までの羅針盤のように時系列で並べられていました。


 私は読み続けていても答えは見つからないと思った。「一度会ってみないことには…」

 日を改めて一度会う約束をしようと決め、私はサイトのページを閉じました。



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