第332話 カロリー爆発
玲愛&静の姉ペアと商店街を回っていると、浴衣に着替えを終えた雷火ちゃん綺羅星、真下姉妹の4人と合流する。
「おぉ、華やかだ」
「浴衣って、まだちょっと季節早いですよね」
「あーしは暑かったから、この格好好きー」
オーソドックスなレモン色の浴衣の雷火ちゃんと、フリル付きミニ丈浴衣の綺羅星。
赤茶色の長い髪に真っ白い肌の清楚系と、金髪サイドテールに褐色肌、色気のあるギャル浴衣、どちらも良い。
真下姉妹は、頭のメイドカチューシャは絶対に外さないのかそのままで、浴衣は対になるような白黒カラー。
「ねぇねぇ雷ちゃん、向こうにスタボのお祭り限定フラペチーノダブルキャラメル・デアログランデウィズホイップ・マキシマムショットあるよ」
「なんですかそれ? グラブルの敵ですか?」
俺たちは綺羅星の指差す方に行くと、有名コーヒー店スターボックスの出店が見えた。
そこでは女子ウケが凄そうな、ホイップクリーム山盛りラテが売られている。
俺はとぐろ巻くクリームを見て、苦笑いを浮かべる。
「ここまで行くと、クリームをどこまで乗せられるかの勝負みたいになってるな……」
「あーし、フラペチーノダブルキャラメル・デアログランデウィズホイップ・マキシマムスターダストメモリーで」
「はい、フラペチーノダブルキャラメル・デアログランデウィズホイップ・マキシマムスターダストメモリーですね」
綺羅星も店員も、よくあんな長い注文噛まずに言えるな。
「雷ちゃんも頼んだら?」
「ちょっと待ってください。オタクにスタボの注文はかなりハードルが高いと言うか」
「大丈夫だよ、言ってみなよ」
綺羅星に押され、雷火ちゃんはしどろもどろになりながら注文を行う。
「え、えーっとフラペチーノ?」
「ホイップはキャラメルでよろしかったでしょうか?」
「は、はい」
「ホイップはダブル、トリプル、ツインドライブに変更できますが」
「ツ、ツインドライブ?」
「サイズはショート、トール、グランデ、ベンディ、デンドロビウムとございますが」
「デンドロビウム?」
「トッピングでアトミックバニラバズーカもいかがでしょうか?」
「は、はい。アトミックバズーカ?」
とりあえず勧められるがまま注文すると、最終的に引くくらいでかいコーヒー(?)が出てきた。
もくもくと縦にのびるホイップは、爆弾が爆発したキノコ雲のようだ。
「なんかソロモンの悪夢的なホイップだね……」
「やっちゃった感があります」
教訓としては、スタボで適当に頼んではいけないということがわかった。
それから真下姉妹も同じ様に注文し、4人がでかいソフトクリームにしか見えないコーヒーを手に商店街を回る。
「食べきれるか心配でしたけど、意外とどんどんいけますね。バニラが爽やかです」
「ん~甘くておいひ~」
「チョコストロベリーって美味しいですわね」
「レモンビーンズがすごく美味しいです」
注文は難しかったが、雷火ちゃんたちは大満足のようだ。
「玲愛さんたちはいいんですか?」
「あんな余裕で1000キロカロリー超える化け物みたいなの飲めるか」
「わたしもちょっとカロリー気になっちゃう」
姉組のカロリー不安に、それまで美味しい美味しいと言っていた妹組ウィズメイド組の手が止まる。
「ゆ、悠介さん。わたしが今飲んでるラテのカロリー調べてもらえます?」
「いいけど、見ないほうがいいんじゃないかな」
俺はスマホからスタボのサイトにアクセスして、公表されているカロリーを計算していく。
「えぇっと、雷火ちゃんのフラペチーノキャラメルツインドライブ・グランデンドロビウム・ウィズアトミックバニラビーンズ・エクストラキャンディカーニバルは、1424キロカロリーかな」
「ひっ」
「あの御主人様、ちなみに自分のは……」
「一式のは1278キロ、弐号機は1189キロ、綺羅星は1342キロカロリー。凄いカロ爆だな」
「「「ひっ」」」
糖分の塊と気づいて、全員の手が完全に止まってしまった。
ちなみに成人女性の1日の摂取カロリーは、約2000kcalである。
これ一つで、一日のカロリーの半分以上が摂取できてしまう。
「あ、あの悠介さん……半分いりませんか?」
「あーしもちょっとあげる」
「自分も」
「わたくしも」
「1日くらい、ちょっと多めにカロリーとってもよくない?」
「「「「よくないんです!」」」」
乙女的に、さすがに1000キロオーバーの飲み物は飲めないらしい。
俺は四人から少しずつクリーム部分を貰う。
ストローがないので彼女たちのを借りているのだが、これって四人と間接キスってことじゃないのか?
「口の中が甘いよ」
「もっと食べて下さい」
「ダーリンまだ3分の1だよ。ノルマ半分だからね」
「頑張って下さい」
「早くお食べなさい男でしょ」
全員がストローですくったホイップを差し出してくるので、どれから食べればいいのか。
俺が困っていると、周囲の視線が突き刺さる。
(野郎、祭りで見せつけてんじゃねぇぞ)
(妬ましい)
(野郎だけで来てる俺への当てつけか?)
(不思議な力で死ね)
そんな声が聞こえてきて怖い。
早く食べ終えようと思っていると、前方からクレープを両手に持った成瀬さんと天、火恋先輩、真凛亞さんの4人が登場。
「ちょっとユースケ! これ食うの手伝え!」
「火恋ちゃんがくじ引きで、蜂蜜バナナクレープ10人前引き当てちゃって」
「まさかクレープ屋でくじをしていると思わなかった。すまないが一人一つ食べてくれ、甘くて美味しいぞ」
「……ゲロ甘とも言う」
どうやらこの激甘ラテ片手に、クレープも処理しなければいけないらしい。
「甘味地獄!」
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