第9話 駒箱へ
ガラガラガラガラ…。
狭い!真っ暗じゃねえか………
もう道場も閉店のようで、俺達はインテリ風と対局相手のおっさんに無造作に駒箱へと押し込められた。
駒箱の中は、駒達が寿司詰め状態だが、俺以外に誰一人文句を言うものはいない。
むにゅっ!
こ、この感触はもしや…。
柔らかくも弾力があるぞ!
これは間違いなく…。
おっぱい!
でけえ!しかも『香』の静香ちゃんに違いねえ!
おっとこれは下手に動くとやばいぞ。
痴漢冤罪で捕まったりしたら一生棒に振るからな。
って、もう俺はこの世にいないんだったか。
じゃあここは一体なんだってんだ?
あの世か?いや、ここは今までの現実世界と変わりない。普通の将棋道場だ。
ただ、この盤の駒達だけが人間なのを除いて………。
これは俺の妄想か?
事故して精神でも病んだのか?
俺は実は生きていて、病院のベッドの上で夢か幻覚か妄想でも見ているというのか?
「ちょっとあんた、なに人の乳触ってんだよ!」
アラサーくらい女のドスの利いた声とともに、パシン!とビンタがとんできた。
「触ってねえよ!しょうがないだろ、こんな狭いとこなんだから」
「開き直るのね。上等だわ。あんた新人の『飛』だろ?夜にたっぷりお灸をすえてやるわね」
夜?そういえば『桂』の哲も夜がどうこうと言ってたな。
それにこの女、何者だ?たぶん鬼のような顔してるんだろうな。
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