第十五夜:囚われのアルマ
王室、天上の間。そこにアルマは特殊な縄で自由を奪われていた。
「では国王として汝に礼を言わねばなるまい。キュルテン氏」
「いえ。某は民として当然のことをしたまででございます」
ぺこりと頭を下げる〝帽子の男〟。国王の前であっても決して帽子を脱ごうとしない彼に紅蓮の騎士服に身を包んだ男が侮蔑を込めて蔑んだ。
「その一国民が王の御前で脱帽せぬとは、貴様、恥を知れ」
「まぁまぁダニエル君。我は気にせんし、今はよい」
「はっ」
深々と一礼し下がるダニエル。一瞬目が合ったが……心なしか、殺意を向けられてるのは気のせいか?
「ダニーは硬いよね。もう少し柔らかくていいんじゃないかな? ね、お姫様」
「貴様、ニコル! その呼び方を止めろと何度言ったら――っ!」
「お姫様からもなんか言ってくださいよ。お姫様の可愛さならばダニーもきっと大人しくなりますから」
「……はぁ。ダニー、諦めて。ニコルは聞く気ないから」
「シンシア様がそう仰るのなら……」
「ほらね? お姫様が可愛いからダニーもたじたじなんですよ」
そしてまったくいつもどおりなニコルにダニエルとシンシア姫がため息を吐いたのが見えた。なんかコントみたいだ。
「さて。ではこれより受刑会議を執り行おうと思う」
「勿論、死刑でしょう」
ダニエルは即答だった。まぁ、そうなる気はしたが……アルマは自分がこれからどうなるのかを見届けるべく王室の面々による会議を静観した。
「でも、窃盗と殺人だからね。死刑はいきすぎじゃないかな? ね、お姫様」
「そうね。あんまり極端な対処など反感を買うかもしれないわね。せいぜい終身刑、かしら?」
「お言葉ですがシンシア様。その殺人罪はジョヴァンニ王子、ポワロが被害者でございます。国家反逆罪も加えるのが正確かと。そして反感を、というのであれば反逆者を処刑せず生かしておけば[教団]を初めとしたテロ組織が調子に乗るかと思われますが」
ダニエルの理に適った発言にシンシア姫が「そうね」と呟く。ダニエルめ、そんなにおれを処刑したいのか。
「確かに、ダニエルの言には一理あります。[教団]の全容はいまだ不明で、国民達に反逆を煽るかもしれない」
ダニエルを賛同したのは青髪の女だった。アルマの記憶が確かならば、その女性は【
「あのさぁ、[教団]について言うけど、そこのキュルテン、そのメンバーだぜ?」
今は僧服姿ではないが、アルマは言わずには居られなかった。しかし帰ってきたのは案の定、嘲笑だった。その本人、ダニエルが「反吐が出る」と呟き
「貴様如き発言を誰が信じると思う、劣等。仮にそうだとして、そこの無礼者一人で何が出来る? 瞬殺だ」
〝帽子の男〟は沈黙を保っていた。下手に誤魔化してぼろを出さないようにって魂胆だろう。
「とにかく、今は貴様の身を案ずるのだな。いずれ死刑は免れんがな」
ダニエルが鼻で笑い飛ばした時だった。兵隊の一人が広間に入ってきた。
「国王。先程、マイケル・ジェイクソン氏がお見えになりました。なんでも、受刑会議にて主張したいことがあるとのことです」
「マイケル氏が……通せ」
「はっ」
しばらくしてマイケル氏が入室してきた。アルマはおもわずその人物に目を疑ってしまった。
「あんた、『ガラスの仮面』の時の……」
「そなたが置いていった仮面、本物だったよ」
「ありゃ。じゃあおれが盗んだと思ったのは偽者だったのか。そりゃ残念」
わざとらしくとぼけるアルマにマイケル氏は笑みを浮かべると国王に向き直り跪いた。
「国王陛下。無礼と知りつつ進言します。死刑はやりすぎかと」
「貴様……一貴族の分際で何をほざく。反吐が出る」
すかさずダニエルが吐き捨てるように言い放った。それを国王が宥めながら聞き返す。
「理由は?」
「この者は手品師により命を奪われかけた屋敷の者を救ってくださった。さらに宝を盗みもせず」
「もしかしてページェントのことかな?」
「そうでございます真珠卿。それに、彼がジョヴァンニ皇太子様と翠玉卿を殺めたという証拠もありませんのでは?」
「まぁ、証拠はないね。ただ『鋼鉄の戦死者』を盗みにきたってだけだし」
賛同しつつあるニコルにマイケル氏は真摯に訴えかけた。
「どうか、死刑だけは。せめて確固たる証拠が見つかるまでの間、牢獄に投獄でもよろしいのではないかと」
「マイケルさんが言うとおりかもしれませんよ、王様。あとで無実だった、なんて事件で信頼を失った国家は少なくありませんから」
「ニコル、貴様はこの大罪人を野放しにしろと言っているのか?」
「別にそんなことじゃないよ。厳重な管理化の元――そうだね、【穴倉】はどうかな? あそこならアルマの仲間が助けにきても対処できるはずです」
【穴倉】。ニコルの口から出てきた単語が何を意味するものか分からないが、その場に居合わせた人間が言葉を失ったところを見るに、よほどすごい場所らしい。ハッ。嫌になるね。
それで納得したのか、ダニエルが獰猛な笑みを浮かべアルマを見据えた。
「虫けら風情には【穴倉】でも気が済まんが……せいぜい時間稼ぎというのならワタシは構わん。貴様はどうだ、カルメン」
「確かに、それでよろしいかと。――そうなれば後は国王陛下、貴方様の決断を」
「満場一致ならば考えるまでもない。衛兵、大罪人を【穴倉】へ連行せよ」
すかさず隅で控えていた数人の衛兵がアルマの腕を掴み、無理やり部屋の外へと引き摺っていった。退室間際、ダニエルが汚らわしいものを見るような目でマイケル氏を蔑んだのを最後に、アルマは部屋から出されてしまった。
***
「【穴倉】、ねぇ」
今アルマは両手足を鎖で縛られた状態で石造りの牢に閉じ込められていた。その入り口には銃を構えた二人の衛兵がこちらを無遠慮に眺め回す。
「んだよ。あんま見られてばっかだと落ち着かないんだけど」
「罪人がおかしな真似をすれば殺せ、と命じられている。ただそれだけだ」
「あっそ」
鎖はきつく、短い。どれぐらい短いかと大の字を描くようにして強制的にずっと立たされているってところだ。壁にぴったりと密着しているので鈴を鳴らすことも出来ない。
しかしアルマはまだいい方だった。ここに投獄される途中ではさらに口を塞がれ首を動かすことができない者や呼吸をする度に激痛が走るんじゃないかと思えるほど強く縛られた者もいた。
アルマが衛兵から聞き出したところによると、みんな初めのうちはアルマと同じような状態なのだという。そこに投獄されている間の状況や罪の重さによって束縛のされ方が若干異なるという。
「……で、一番悪いのはそこのおっさん?」
丁度アルマの牢屋と向かい合うようにして存在する牢屋にはなんというか、異様な雰囲気を放つ男が縛られていた。
幾重にも張り巡らされた鎖は体全身を覆っており、目と口も塞がれ、さらには耳にも不可解な形状をした枷がはめられていた。
しかも放置されたままの髪は床を埋め尽くすほどに伸びており、鎖と絡まっている部分もある。
一体どれぐらいの罪を犯せばあんな枷を与えられるのか?
死刑囚なのだろうか? しかし異常なまでの髪の長さは何十年もここにいるって感じだし、だとすれば終身刑? しかし、いつから投獄されていればそこまで髪が伸びるのか。
というより……
「なんで髪切らねーんだよ」
アルマの当然の疑問に衛兵はちらりとアルマを見、
「国王の命で、如何なる理由があっても触れてはいけないと言われている」
「なんで?」
「悪魔だからだ」
「悪魔?」
悪魔って、もしかしたら自分達に手品という異能の力を授けたと言われる存在の一つか? 自分達手品師は神か悪魔に力を与えられたというが……もう少しマシな誤魔化し方はないのだろうか。
「悪魔って言われて信じる奴がどこにいんだよ」
「貴様は知らんかもしれんが、[教団]という組織のリーダー格だ。今も王室は厳重な警備体制の中、[教団]の壊滅を目指している」
「[教団]?」
まさか、ここまで来てその名前を口にするとは――って、待てよ?
そこでアルマははたとある考えに行き着いた。
[教団]。〝帽子の男〟。目の前のリーダー格。つまり、教祖。
思い出せ。〝帽子の男〟はおれに何って言った?
『――大人しく利用されるがよい――』
「っ!」
もしかして、[教団]の狙いは――っ!
「お、おい! ちょっと国王に伝えてほしいことがあるんだけど!」
「なんだ? 紅玉卿には耳を貸すなといわれている」
「大事なことなんだ! 早く知らせねえと、ヤバ――」
その時だった。【穴倉】のはるか上方、つまり王城の中から何かが爆発する音に混じり大勢の人間が争う物音がしたのは。
「な、なんだ!? なにが起きている!?」
「こちら【穴倉】! 地上、何があった!?」
衛兵の一人が王城へと連絡を試みる。
しかし、電話から聞こえてきたのは。
『イーヒッヒッヒ。こちらァあああ、ジャックゥウウウ。返事をどうぞォオオオ』
「っ! その声は……!」
生きていたとは聞かされていたが、その声は間違いない。かつて、アルマが戦った大男、ジャック。じゃあ、あいつもいるのか?
『おいデカブツ。ふざけてねえで仕事しろ……っておやぁ? 今、それから懐かしい声が聞こえたな。もしかして、アルマかい? 丁度いい! この前言っただろ? 『次逢ったときは殺す』って。ついでに約束果たしてやるぜ、怪盗』
「み、〝ミイラ男〟」
やはり、来ていたのか。時間を短縮する
アルマは知った。自分の予想は的中したのだと。
そして、間に合わなかったのだと。
「ど、どういうことだ? 今のは、なんだ? おい大罪人! 貴様、何かを知っているような反応だな? 吐け!」
「言われなくても。さっきのは[教団]。しかも幹部レベルの。つまり、だ。おれに罪を着せてここに侵入して――」
そしてアルマは目の前の男を睨みつけた。釣られて衛兵達もその男へと視線を注いだ。
「――リーダーを取り返しに来たんだろ」
***
時は少し前に遡る。
「ではキュルテン様はここでご自由に」
「すみませんな。某のような者にこのような歓迎とは」
「いえ、キュルテン様は大罪人逮捕にご協力なされたお方ですので」
「では、くつろがせてもらおうかな」
「えぇ。ではわたくしめはこれで――っ!?」
部屋を退室しようとした衛兵はそこで何か、糸のようなものが自分の首に絡まるのを感じた。キリキリと自分の呼吸を止める者の名を呼ぶ。
「き、キュルテン様、なに、を?」
「決まっている。某は某の使命を果たすだけ」
「あっ」
ギリッと一層強く糸が絞まる。そして絶命した衛兵を見下ろしながら〝帽子の男〟は死んだ衛兵に自分の服を着せた。――その下から姿を現したのは僧服に黒塗り十字架という、[教団]共通の衣装に身を包んだ使徒の姿だった。
「某の準備は整った。司教殿は如何に?」
外へと繋げておいた糸を振動させ、糸電話の要領で外部の幹部達に連絡を取る。
すかさず両指に一本ずつくくりつけた六つの糸――全幹部からの返事が返ってきた。
「イッヒッヒッヒッヒ。オレはァアアア。いつでもいいぜェエエエエ」
機械製の目に殺戮の灯りを灯しながらジャック・ザ・リッパーは嗤う。
「俺もいつでもいいぜ。ちゃっちゃと終わらせて教祖様を取り返そうじゃねーの」
白と黒のコントラストを不気味に震わせながら〝ミイラ男〟は笑う。
「うん。準備、よし。いつでも、いける」
ぶかぶかの僧服から凛とした眼光を眼前の城に向けてルージュはこくん、と頷く。
「吾輩も準備は整っている。否、世界の意志に身を任すのみだ」
僧服に顔が隠れているものの、力強さと凛々しさを感じさせる声が答えた。
「僕も大丈夫さ。無事、教祖様をお助けしよう」
僧服に身を包んだ少年は顔を隠そうともせず、正門へとまっすぐ歩んでいた。
***
そして同時期。こちらは王城を望める丘。そこから双眼鏡で様子を窺っているのは[太陽と月の魔女]ことソールとマーニだ。
「う~ん。庭広すぎ」
「完全防御? こりゃ困難ね」
「はむっ。むぐもぐ」
あの後、三人はアルマを何があっても救い出すという方向で結束した。
『『――題して、
……とか意気揚々と断言した自分達が今すっごく恨めしい。どうやって助けろというのだ、どうやって。
「そもそもどこにいるのか分かんないし」
「そのくせ騎士がいるのは確実だしね」
そう。万が一の希望を持っていたのだが、やはりあの二人の騎士はやってきていた。
「はぁ」
どうしようもなくマーニがため息を吐いた、その時だった。びゅおっ!と 寒々しい風が吹き付ける。
「うっわ! さむ!」
あまりの寒さにおもわず立ち上がってしまったマーニ。その眼前に一人の少女が粉雪と共に舞い降りてきた。
「あはっ♪ あいかわらずだっさい服! どこのマジシャンよ」
「あ、あ、あんたは、あの時の……サンタっ娘!」
「……あのさぁ、おねーさんにはリッカって立派な名前があるの。いい? つか、やっぱ捕まってるんだ、あの優怪盗」
「あ、あんた何でここにいるのよ!」
「なんでって、助けにきたんじゃなーい?」
「『なーい?』ってなんで疑問系なのよ!」
うがー!と吼えるマーニをのらりくらりとかわしながら彼女、リッカは袋をひらひらと振りながら
「あたしの《メリークリスマス》があれば壁ぐらい壊せるんじゃない?」
「か、壁ぐらい私達だって《爆弾シャボン》で――」
「爆発したら騎士が来るんじゃない? 【
「うっ」
ある。自分達は直接対峙したわけじゃないけど、風と炎の騎士もここにいるのだ。
「その騎士、あんた達だって気付いて駆けつけてくるんじゃない? あたしだってさすがに騎士なんか相手にしてたら死ぬわよ」
「あ、う~~~」
確かにそうだ。アルマはどうやって勝ったのか知らないけど、騎士にそう易々と勝てるわけがない。ましてや自分達の戦力はシャボン玉と獣人のサンデーととりあえず、吹雪を作り出せるこのサンタっ娘しかないのだ。
勝てるわけがない。そうマーニが肯定しかけたその時だった。今度は崖ではなく、後ろから。街の方からすたすたと歩いてきた少年が否定した。
「アルマが勝てるならぼくでも勝てて当然だ。いや、真理だね」
「ありゃ? イケメンじゃん!」
「ん? なんだかまた増えてる? アルマめ、どこまで堕ちれば気が済むんだ!」
一人ぷるぷると拳を震わせている瑠璃色の髪の少年は、そう、アルマのライバルで、エリザベート・バートリーっておばさんのとこで逢った……
「メアだ~。おひさ~」
「うわっ!?」
リッカと違い顔見知りの人間だったからだろう、サンデーは何の他意もなくメアに飛びついた。それにメアが顔を紅潮させながら早口にまくして立てる。
「は、離れたまえ! ああ、もう君は女の子なんだろ? ならそんな無防備に人に抱きつくんじゃないというよりなんだそのスカート短すぎじゃないかってうわ持ち上げなくていい女の子なんだからもうちょっと落ち着きたまえ!」
その動揺っぷりに何かを刺激されたのか、リッカが「ふふん♪」と笑いながらメアにしなだれかかった。「なっ!」とメアが窒息寸前の金魚みたく口をぱくぱくさせているのは妙に面白い。
「な、なななななななななな!」
右側をサンデー、左側をリッカに封じられたメアの動揺っぷりはある意味異常なほどだ。
そこにリッカが止めを刺した。
「うふふ♪ ねぇねぇ、メア君、だっけ? あたしと楽しいこと、しちゃう?」
「たっ!」
もうこれ以上紅くならないだろうというぐらい顔を紅くし、そろそろ意識を失いかけた。
そんな彼らにソールとマーニは信じられないとばかりに問いただした。
「「もしかして、あんた達、アルマを助けに来たの?」」
そこでリッカとサンデーはメアから離れた。
「そっ。あの優怪盗さんには恩があるからねー。あ、もしかしてイケメンさんも?」
「違う」
リッカの問いにメアは赤い顔で断言した。瞬時に凍える空気。
そんな女性陣の冷ややかな視線に気付いたか、メアは「誤解してるみたいだが」と前置きして
「ぼくはあくまで確認だよ。アルマは本当に殺人なんかをやったのかい? 彼とは付き合っていた時間も長いからね、互いにどんな理由があっても人を殺してまで宝を手に入れないよう誓ったんだ」
「アルマは殺してないもん!」
メアの言葉を即座に否定するマーニ。しかしメアは知らんぷり。
「そんなのは何の証拠にもならない。それに、ぼくは自分で確かめないと気がすまない主義なんだ。ぼくの《
「イケメンさんも怪盗さんが好きなんだね~~」
「バッ! だ、誰があんなやつを! そもそもぼくは男だ……ってそうじゃなくて彼はライバルであってぼくはただ真相を知りたいだけであって!」
「うふふ♪ かわいいなー、メア君~~。ね、あたしかわいい子に弱いんだ。食べてもいい?」
「たべっ!?」
さっきから動揺しっぱなしのメアにマーニ達はもうなにがなんだか。と言った感じで愚痴を零そうとして――
グォン! ドォン!……ザンッザザザザザザザザ……バキ、バキバキメギ……
――突如轟く爆音。そして何かを切り刻むような音。何かを飲み込み砕くような音が王城の方から響き渡ってきた。
「な、なに!?」
「爆発!?」
突然の爆発に意表を突かれたのはメア達だけじゃない。魔女達も当然驚いたのだが、それよりも信じられないものを見てしまった。そちらへの驚きが強い。
「あ、あれ!」
「やっぱり……だよね?」
「ねー」
マーニ達が見たのは。
光の残滓をその腕から残した大男と布にくるんだ得物を振るい壁を削り取っていく包帯だらけの男だった。
「「[教団]!?」」
「なに!? [教団]だと!?」
マーニ達の驚愕に真っ先に反応したのはメアだった。次いでリッカがその姿に気付き真剣な眼差しを向けて呟く。
「あいつ……」
なんとなく、嫌な予感はしていたのだ。最近アルマの行く先々に出てくる[教団]といい、それを捕まえようとしていた〝帽子の男〟といい、アルマを利用して何かを企んでいるんだと思っていた。
まさか、まさかそれがこれだったなんて。
「これじゃ……」「……テロ、じゃない」
おもわずそう呟いた魔女達なのだが、それは間違いようのないテロだった。
「みんな、ぐずぐずしてないで行くよ!」
リッカが焦ったように袋を開き手品を発動させる。吹雪が吹き付ける中、氷で出来たアーチが眼下の王城へと架かる。
「ち、ちょっと! こんな中で!?」
「いや、こんな中だからこそだろ。今なら[教団]の方に全員の注意が向かっているはずだ。あのバカを助けるなら今しかないだろ」
メアが率先して氷のアーチを華麗に滑走していく。それに続いてリッカが続く。
「ああ、もう!」
「ちょっと待ってよ!」
「あはは! ねぇ、これすっごい面白いよ! しゅるる~~~!」
「「わわ! ちょっとやめて~~~~~~~~~~~~~~~~~」」
上手く滑れない魔女達の手を引きサンデーが最後に続くのだった。
***
──そして、現在。
[教団]の襲撃を知り、アルマはこの現状を打破すべく思考を巡らせているのだった。
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