第4話 友人編、コミケ編
(友人編)
東京の友人に連絡がついたので会いに行く。一時間話してるうちに三回地球滅ぼしたねと言われる。思考実験だよ。カラオケ行って居酒屋で飲んだあと、友人部屋でまた飲む。飲むのはもちろんスーツケースの中の「美少年(酒)」だ。飲む前は美少年美少年と大騒ぎしていたが、どんどん注いでガブガブ飲みながら目を座らせていく私を見て友人が静かになっていった。おいしかったんだよ。ごめんね。
友人宅でアニメの話したりゲームしてたら夜があけた。友人は寝られなかったらしいけど、私は三時間ぐらい爆睡した。すまんね。
友人はコミケには行かないらしかった。東京のオタクはコミケに行くか行かないか選べるのが羨ましいね。
一番いい友人というのは、一番遠いところに住んでいる友人のことかもしれない。私はこの友人とずっといい友人でいたいので、ここ数年会っていない。卒業後、馬鹿やってた連中で集まったこともあるが、それは一回だけだった。もう二度と学生時代のころのような友達ができないのかもしれない。まあ、また旧交を温めたり学生時代にはできなかった友人もできていくのだろう。
(新宿駅)
朝の新宿駅は、ゴミとゲロが散乱し、酔っ払いとヤンキーしかいなかった。スピーカーからは「最初はタダだからと一緒にホテルに入って、後からお金を請求する行為は犯罪です!!」という警察からの注意喚起がひっきりなしに流れてくる。カラスが我が物顔で飛び回る。端的にこの世の終わりだった。私の生まれた町は、こういう世界だった。だからといって、このような世界を愛しているわけではない。故郷は遠きにありて思うもの。駅の排気扇からは、汚らしく湿った空気が街のため息のように吐き出されていた。
(コミケ編)
東京駅発のバスを乗る予定だったが、東京駅周辺ではネカフェが見つからず、一駅先の街で宿を取った。朝は松屋のカレーでエネルギー補給は完璧。いざ出陣。
ビッグサイト行きのバスなのに「コミケには行きません!」と運転手が怒鳴っていて、気弱なオタクが下りていた。嘘だと気づいた私は「いいんです!」と返した。結局ビッグサイトには着いた。バス会社覚えて通報すればよかった。オタク差別ってあるんだなあ。
行きはびっちりの行列だが、帰りもなかなかのもの。最寄り駅が遠い遠い。駅のコンビニが最終の補給地点で、中に入ったら自販機ぐらいしか補給がない。屋台も出てるっちゃ出てるけど、あんな人波に揉まれながら買えるのだろうか。炎天下の中、大蛇がうねるような行列に一時間ほど並んで、入場してようやく暴動さながらの人を潜り抜け、ほしいものにありつく闘いが始まるのである。まるで戦争である。まあ、三脚ぐらいの小さい折り畳み椅子と、水分と帽子と濡れタオル持ってれば、そんなにあれです。荷物はリュックととトートバッグ(紙袋)以外は駅のコインロッカーに入れておいたほうがいい。私は荷物でミスりました。めちゃぶつかった。ごめんなさい。
暑さと人の熱気で死にそうになる。でも、いい本書いてる人にお礼とか言えるのは良かった。本も人も一期一会。
目の前で転んだ人がいたので、後ろから押しかける人を踏ん張って留めた。こんな中、転んだらあっという間に踏みしだかれて死んでしまうだろうと思い、ぞっとした。その人は前のオタクに助け起されていた。コミケいい話もいいけど、安全対策も頑張ってくれよと思う。
帰りはあまりにも疲れていたので、新幹線で買った。バスの切符は買ってなかったのでちょうど良かった。おひつご飯の店でもりもり食べて、「こんなに食べてしまって、あとから足にくるだろう」と思ったが、スーッと体中に滋養が行きわたり足が軽くなった。今まで、疲れた時は疲労回復に肉を食っていたが、炭水化物のほうが良かったのだ。飛脚が米の飯でこんなに長く走れるのなら、肉を食わせるとどんなに走れるだろうかと思った西洋人が、飛脚に肉を食わせたら飛脚が腹を壊した話を思い出す。運動前後は炭水化物、休む前にタンパク質がいいのでしょうね。
(追記)
ルノアー〇に朝一の客として入ったら、毎朝朝一で来てるであろう客に威嚇され、蹴られそうになった。東京怖いね。
ドジョウ料理食べたくて数時間雨の中さまよった。
東京道中酒浸り 哲学徒 @tetsugakuto
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