第3話 某シェアハウス編

東池袋のシェアハウスに行く。友人はいなかったが、オープンなのでいいだろうと押しかけてしまった。今考えると普通に一声かけてから行けばよかったね。ごめんなさい。場所が分かりにくく、何度も警察のお世話になる。一度目は交番、二度目はパトカーが停車しているところで聞いた。何度か訪ねたが、ここは行くたびに迷子になった。目的地周辺まで来たときに、いよいよ分からなくなったので電話をかけたら迎えに来てくれた。ありがたかった。

宿代を何百円か払わなければならなかったが、たまたま持っていたワインを渡すと無料にしてくれた。このワインは某駅前でぶらぶらしてたらおっさん二人組に声をかけられて、一緒にカラオケでエヴァを歌ってたらキャンペーンだとかでカラオケからもらったものだったが、それはまた別の話。

元自衛隊の人が来ていて、自衛隊のアルハラの話をしてくれた。自衛隊では、上官が部下に酌をしてくれるときがあるのだが、酌をして部下が飲んでいるときに上官が「重い!重い!重い!」と訴えるらしい。それを聞いた周囲の同僚たちが「お前、上官に重いものを持たせるなよ!」と囃し立てるのだ。それでさっさと飲まざるをえなくなる。すかさず上官が酌をする。飲む、重い重い、お前上官に、飲む、重い重い、お前、飲む、これの繰り返し。ひどいものだ。

このシェアハウスはいつもなんやかやと人が集まっていて、楽しかった。こたつ机の上に皆でつつく鍋がないところを見たことがなかった。何人も友達ができたし、みな非常に懐が深い人ばかりだった。だが、ここもまた解散してしまったようだ。愛別離苦。

二段ベッドを二つ並べた部屋に寝た。なんだかとても寒くて震えながら眠りについた。

朝起きると、リビングでは昨日が続いていた。酒瓶がごろごろ転がっていて、たばこの煙がもうもう舞う部屋だったが妙な親近感を覚えた。行きも送ってもらったのに、帰りも送ってもらった。この町の歴史や、放送大学の話や、コミケへの行き方などを話してもらった。何度もお礼を言って辞した。

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