第2章―戦いの砲火―2

ーー西暦4445年。乾いた銃声の音がダダダッとコロニーの基地の内部に轟音と共に響き渡った。基地や小さな街は黒煙をあげると、それがあちらこちらで燃え広がり。火の勢いと共に大きく燃え上がった。その光景はまさに戦火の如く、人々を迫りくる火の恐怖に落とし入れた。


 コロニーに住む人々は軍の誘導で避難経路へと足早に向かった。宇宙の遥か彼方に構える基地、通称『ZSC―6ゼットエスシーロク』と呼ばれるゼノア宇宙コロニーの第6拠点基地ラケシスは、人類の宿敵であり。同じ宇宙に幾つものの拠点や基地を構える大軍事帝国アザゼルの巧みな戦略と陰謀により。突然の襲撃に遭い、基地全体は包囲されつつあった。


 基地全体を覆っている偽造空間の空には、敵の作り出した兵器。人型飛行兵器のヒューマノイド『FT―Phoenixエフティフェニックス』が飛行して空中を旋回し続けていた。そして、地上には敵の新型兵器。『DT2―ARRKディーティーツーアーク』が地上を占拠し始めると、敵軍はラケシスの基地本部を制圧する為に基地本部を目指してアークを先頭に勇ましく進軍し続けた。


ZSC―6ゼットエスシーロクゼノア宇宙コロニー、ラケシスは大軍事帝国アザゼルの脅威から逃れる為に、今もなお激しく抗戦を繰り広げた。そしてラケシスの基地からは対人型兵器。『DT―Abyssディーティーアビス』が続々と出撃したのだった。しかし、敵の改良型の人型兵器、アークⅡの威力は桁外れで、今までの旧型の『DT―ARRKディーティーアーク』のタイプとは多いに違った。


まるでそれは比べようもない程の凄まじいパワーと破壊力だった。ラケシス本部の基地から続々と出撃をしていったゼノア軍の新型兵器。アビスはアークⅡと対峙したが、敵の桁外れの力に押されるとアビスは次々と無残に大破した。


まさに戦場は敵軍の力が圧倒的に有利に見えた。さすがのラケシスの基地本部もその光景に一瞬にして目を奪われた。そして、やがて司令本部は一斉にざわつき始めた。指令室の本部にいる誰かが声をあげて騒いだ。


「ダメだ、もう終わりだ……! 俺達はここで皆死ぬんだ!」


 1人が騒ぎ出すとまた別の1人が同じ事を言って騒ぎ出した。その言葉に周囲は凍りつき、やがて誰もが、目の前の状況に言葉を失って沈黙した。その言葉はこの状況下で、誰もが口に出して言いたい言葉でもあった。


男は自分の声を上げながら、気が狂ったかのように突如そこで笑い始めた。その男の奇行に次第に回りも不安と絶望と諦めに似た声が漂い始めた。本部にいた部下の1人が、ラケシス基地本部の軍最高総司令官に状況を慌てて報告した。


「アザゼル軍の新型の人型兵器ドールアームズ、アークⅡの力は今までとは断然に桁外れです! 以前のアーク・シリーズに比べると改良されたことにより、その力は前を遥かに上回っています! もはや、我が基地の最新型ドールアームズのアビスだけじゃ、あのアークには勝てません…――!」


 部下の1人が慌てた口調でラケシス基地本部の軍最高総司令官の男、冴嶋にそう言って訴えた。彼は鋭い視線で部下をそこで黙って睨みつけると内ポケットから自分の銃を取り出した。そして、報告した男と狂ったように笑い続けている男に向かって銃口を向けるとそのまま発砲して二発とも頭を撃ち抜いた。


 ガーン ガーンと突如、銃声の音が響いた。頭を撃ち抜かれた男は冴嶋の足下にゆっくりと崩れ落ちた。そして、気が触れたように笑い続けてた男も、冴嶋に頭を銃で撃ち抜かれると壁に自分の背中をつけてズルズルと鈍い音をたてながら床にそのまま崩れ落ちた。


 その常軌を逸した光景を前に誰もが自分の息を呑んだ。軍最高総司令官の冴嶋は、銃を再び自分の内ポケットにしまうと本部にいる部下達に一言言い放った。


「言いたい奴がいるなら前に出ろ、俺がその口を今すぐ塞いでやる!」


 冴嶋は部下達全員の前で威圧しながら話すと、自分の司令官の椅子に座った。そして平然とした顔つきで再び姿勢をとった。その堂々とした態度に誰もが恐れると、本部は一斉に静まり返った。


「ゼノア地球連合の第6拠点基地、ラケシスとの連絡はまだか?」


冴嶋は通信オペレーターの青年に支持を出した。


「ダメです、何度試してみても無理です! 全ての通信機能がシャットダウンされていて地球本部のラケシスとは今だに連絡がとれません……!」


 通信オペレーターの青年は、血相をかきながら彼に報告をした。

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