10 清からな水の湧く場所。

 清らかな水の湧く場所。


 私はあなたがなにか、なんでもいいから、とても大きな力によって、きちんと守られていることを祈っている。本当にね。


 この結果を回避したい。

 でも、それはできない。

 占いは、あくまで占いでしかない。自分の未来を変えることは、自分自身にしか、(だから他人の花には……)つまり清本人にしかできないことだった。


「はぁー」

(もうなにやってるのよ、清。……私たちは、もう小さな子供じゃないんだよ?)

 花はお風呂場の中でため息をついた。


 お風呂場の床の上では水が渦を巻いて、排水溝の中にのこみまれていく。

 そんな風景を、花は温かいシャワーを浴びながら、……なんとなく、じっと見つめていた。

 水。

 とても清らかな水。水の流れ。水の流れる場所。


 流れのままに、人は生きていくしかない。

 まるで運命がすべて決まっているかのように。

 自然に逆らわず。

 環境に反抗せずに。

 ……ただ、あるがままに。

 自分自身のありのままの姿のままに。


 花は思考する。


 それから花は自分の親友の春日清のことを考える。


 彼女は今、危機的状況にいる。

 あるいは、試練の時を迎えている。


 私は友達として、清になにをしてあげられるんだろう?


 考えてもなにもない。

 なにもできないことが、すごく、すごく、……本当に花は悔しかった。(いるの間にか、花はお風呂場の中で泣いていた。その透明な涙はシャワーの水と一緒になって、混ざって、やっぱりお風呂場の床の排水溝の中に、渦を巻いて飲み込まれていった)

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