10 清からな水の湧く場所。
清らかな水の湧く場所。
私はあなたがなにか、なんでもいいから、とても大きな力によって、きちんと守られていることを祈っている。本当にね。
この結果を回避したい。
でも、それはできない。
占いは、あくまで占いでしかない。自分の未来を変えることは、自分自身にしか、(だから他人の花には……)つまり清本人にしかできないことだった。
「はぁー」
(もうなにやってるのよ、清。……私たちは、もう小さな子供じゃないんだよ?)
花はお風呂場の中でため息をついた。
お風呂場の床の上では水が渦を巻いて、排水溝の中にのこみまれていく。
そんな風景を、花は温かいシャワーを浴びながら、……なんとなく、じっと見つめていた。
水。
とても清らかな水。水の流れ。水の流れる場所。
流れのままに、人は生きていくしかない。
まるで運命がすべて決まっているかのように。
自然に逆らわず。
環境に反抗せずに。
……ただ、あるがままに。
自分自身のありのままの姿のままに。
花は思考する。
それから花は自分の親友の春日清のことを考える。
彼女は今、危機的状況にいる。
あるいは、試練の時を迎えている。
私は友達として、清になにをしてあげられるんだろう?
考えてもなにもない。
なにもできないことが、すごく、すごく、……本当に花は悔しかった。(いるの間にか、花はお風呂場の中で泣いていた。その透明な涙はシャワーの水と一緒になって、混ざって、やっぱりお風呂場の床の排水溝の中に、渦を巻いて飲み込まれていった)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます