第10話 え? エルフ?

オークジェネラルの肉はA5ランクの霜降りの和牛肉を越えていた。

俺的にはジェネラルの方が上だと思う。

苦労して倒したかいがあった。

姫の笑顔も見れたし大満足だ。


次の日、朝早くからゲートに向かった。

今回の場所はかなり遠い。そして、穴がでかいという情報が入っている。

すでに町を放棄し、住民は避難しているそうだ。

煙が見えてきて焦げ臭くなってきた。

魔物が暴れまわり、家が燃えているのだろう。

そして大穴が見えてきた。

直径が100m以上はありそうだ。

真っ黒で底が見えない。

そこからたまに魔物が湧いていた。

ゲートのそばには大型で強い魔物が群れている。

ゲートから離れた町の外周にはゴブリンが走り回っていた。


『ティア、ホーミングってスキルにないかな? マップにマッピングされた魔物に狙い撃ちしたいんだけど。一匹ずつ狙うのめんどくさくってさ。』


『スキル狙撃を獲得して、マップの機能を更新しておいたよ。魔法だろうが弓だろうが対応可能だよ。』


『ありがとう。試してみるね。』


目を瞑り集中して、アイスニードルを何十本も頭上に展開した。

マップ上の複数の魔物をターゲットにし、狙撃発動。

ゴブリンの脳天に氷の大きなトゲが次々と突き刺さり、光となった。

結構な量のMP使うのでちょっとクラっとした。

気配探知で再度確認してみたが、町の中には逃げ遅れた人の姿はない。

遠慮なく魔物討伐が可能だ。

なるべく被害を小さくする努力はしようと思う。

まず、町を取り囲むように結界を張った。

その結界を徐々に縮め、ゲートに追いやっていく。

メリーナも言っていたが、やはりゲートは一方通行のようだ。

魔物が穴の上にのっても落ちることは無かった。

どんどん結界を縮め、魔物をゲート上に追い詰めていった。

鮨詰め状態になった魔物に向かって新たに覚えた魔法を打ちたいと姫が言うので任せることにした。


「いくよー! メテオストライク!!!」


急に周りが暗くなったと思ったら、空から隕石が降り注いできた。

これはやばい。

地球上で安易に使ってはいけない魔法だった。

結界を張っていたので結界内だけで済んだが、月面のようなクレーターだらけになってしまった。


「姫、封印だ。この魔法は使用禁止とします!」


青ざめた顔の姫が頷いた。

魔物はすべて消え去っていた。

遠目で見えたでかい魔物はキングクラスの魔物だったらしい。

ゴブリンキングやオークキングのドロップ品がインベントリ内に収納されていた。

その他、ミノタウロスやオーガ等も混じっていたようだ。

一体ずつ戦っていたら相当苦労していただろう。

そして、レベルが一気に上がった。


*ステータス

 名前: 桜井 隆司

 レベル: 56


 HP: 999

 MP: 999

 STR: 999

 DEF: 999

 AGI: 999

 DEX: 987

 幸運: 500


成長促進もあり、レベル56でDEX以外はカンストしていた。


『ティア、有名な勇者スキルの限界突破って無いかな?』


『あれはユニークスキルだからメリーナ様にお願いしてみるね~』


姫もレベル50になっていて、STR、AGI以外はカンストしていた。

ゲートのでかい穴を見つめながら姫とため息が吐いた。

埋めるの大変そうだ。

すると結界を張っているにも関わらず、何かが穴から飛び出した。

警戒態勢を取り、観察しているとどうも人のようだ。

動かないので近づいてみるとやはり人だった。

でも、耳が長い? スレンダー? 美人さん!!


「「え? エルフ?!」」


気を失っているようなのでとりあえず鑑定してみる。


*ステータス

 名前: エリーゼ(ハイエルフ)

 性別: 女子

 年齢: ???歳

 体型: 168cm、40kg、B78(A)、W55、H80

 レベル: 30


 HP: 300

 MP: 350

 STR: 300

 DEF: 250

 AGI: 380

 DEX: 350

 幸運: 100


 スキル

  風魔法、土魔法、精霊魔法、弓術


 ユニークスキル、加護

  世界樹の加護


装備

 武器: エルフの弓、精霊のナイフ

 頭: 森の民の帽子

 手: 森の民の手袋

 体: 森の民の服

 足: 森の民の靴


とりあえず、先に穴を塞いでしまおうと姫とゲートを封印する。

レベルが上がったおかげでなんとか大穴を塞ぐことができた。

そして、この美人エルフさんをどうしようかとティアを含め3人で会議だ。

このまま放置するわけにもいかず、安全な異空間の部屋で寝かせておくことにした。

晩御飯の準備だ。

今日はミノタウロスの肉がメインでお願いした。

ステーキを焼く音と匂いがたまらない。

するとソファーで寝かせておいたエルフさんからグゥ~とお腹の音がした。

エルフさんが目覚め、立ち上がりナイフを構えた。


「ちょっと待って! 何もしないから! 落ち着いて!」


「@@@@@@@@@@@@」


何を言ってるか分からない。


『ティア、助けて!』


『スキル翻訳を獲得したよ。姫ちゃんにも入れとくね』


「貴様らは誰だ! ここはどこだ! 私をどうする気だ!」


「良かった。やっと話ができる。何もしないから落ち着いて。とりあえず、危ないからナイフは置こうか。ここは君の居た世界とは別の世界で、君はゲートを抜けてこちらの世界に転移してしまったようだ。それで保護したんだ。俺の名前は隆司だ。隣の女の子は姫香。君に危害を加えることはないから安心してくれ。」


「すまない。助けてもらったのにこのような態度を取ってしまって。状況がまだ理解できていないのでしばらくは世話になりたい。よろしく頼む。」


「ところでお腹が空いてるみたいだね。もうすぐご飯ができるので一緒に食べよう。ちなみにエルフはベジタリアンなのかな? 姫、3人分よろしくね。」


「え? 確かに私はエルフだがよくわかったな。ちなみに普通に肉も食えるぞ?」


「了解! 今日はミノタウロスのステーキとオークキングの角煮だよ。もうちょっと待っててね~」


『ティア、エルフさんの服とか買いたいんだが、脳内で操作するの結構大変なんだよ。タブレット端末みたいなのできないかな?』


『ん~。クリエイトでタブレット作ってみて。それにアプリとしてショップとかマップとかインストールしてみるから。あと、メリーナ様から限界突破の許可出たから確認してみて。』


『よろしくね。あと、エルフさんの部屋の追加もよろしく~』


晩御飯を食べながら情報交換を行うことにした。

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