第2話 違和感
聴き覚えのない声に飛び起きる動作をし、盛大に“のたうった”私は、何故だか涙が出ていることに気がついた。
「あぅっ!?」
なんとも間抜けなこの声は、私から発せられているらしい。
…同時に全く立ち上がれず、地に打ち上げられた魚のように跳ねた自分に羞恥を抱いた。
少し気が落ち着いてきた所で、人影がポツンと遠目にこちらを見ているのに気が付いた。
なぜ気がつけなかった…?私は危険を察知すれば寝ている時でさえも反撃が出来るというのに。
「お目覚めか?少年のような少女よ。」
「わタ…しは、どれほど…?」
「なぁーに、たったの一日だとも。ってのはどうでもいい、お前さんなんだって魔獣となんか混じってんだ?」
この男、何を言っているんだ?
「…まさかな、そんな例があるのか…?」
「なあ、わたしはこんなにひくかったか?」
「…高かった、だな。」
男は急に口数が減ったかと思うと、ボロボロになった研究室の鏡を私の前に置いた。
そこには、紛うことなき人間が映し出されていた。
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