悪役レスラーへの礼儀

結城藍人

罵声は生で飛ばすモンだ

 悪役ヒールレスラーってのは、憎まれるのが商売だ。悪いことをやって、見てるプロレスファンのストレスを溜めて、善玉ベビーフェイスにコテンパンに叩きのめされて、ファンの溜飲を下げる。それが商売だ。


 だから「罵声を浴びせるな」とは言わない。でもな、悪役ヒールレスラーを罵りたいなら、きちんとチケットを買って、会場に行って、リングの上で悪いことをしてるときに「汚えぞ!」「やられっちまえっ!」と自分の声を出して罵って、ヤジって、ブーイングを浴びせるモンだ。それが悪役ヒールレスラーに対する礼儀ってモンだ。


 そうすりゃあ、レスラーの方だって、場合によっちゃあ「黙れバカ野郎!」とか「テメエからぶっ飛ばしてやろうか!?」って応えてくれるのに。


 そうやって、レスラーと直接コミュニケーションを取れるのがプロレスのイイ所なのになあ……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

悪役レスラーへの礼儀 結城藍人 @aito-yu-ki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ