14巻 生存者

 円卓・第一席――Arthur 

 本名:アリア プランタジネット

 Cell:支配系【災禍を祓う守護聖域Excalibur A Exorcises Olc

【プロフィール】

 一五歳。

 身長は一六〇㎝ほど。

 肩に届かない程度の黒髪ショートカットは、インナーカラーに金色が入れられており、美しいグラデーションがかかっている。

 右耳には、小さい頃エルザに貰った雫の形をしたピアスをつけている。

 黒色の目は鋭く眼前を見据えており、立ち居振る舞いも毅然としていて近寄り難い印象を受ける。しかし内面はただの内気な女の子とさして変わりなく、どう接しようか真面目に考えているだけで人を怯えさせてしまう。そのせいもあって、友達が一人もいない。

 幼少の頃、騎士王のcellに目覚めたことで親元から無理矢理放され、イギリスの上層部によって従順な兵器として育てられた。祖国を守護することのみを生き甲斐とし、宿命としていたが、東条の自由さにあてられて少女である自分を隠さなくてもいいと知る。

 ダンジョン内で龍達に囲まれ、最愛のエルザにも裏切られた際、一度は全てを諦めようとしたが、自身の中に息づく騎士王がそれを許さなかった。今度は兵器としてではなく、人道を定め、正道を歩むべく、再度国の、民の守護者として立ち上がった。

 重度のケモナーであり、日本のアニメ・漫画・同人誌文化にも深く精通しているオタク。ゲームの腕前もかなりの物で、日々アリスに鍛えられている東条でも歯が立たない。

 ステラが東条に護衛を依頼するほどの人物であり、今後何らかのキーパーソンになるのは明白。

 あと可愛い。


【能力】

 ・聖剣召喚。

 とんでもない重量の黒い大戦斧、エクスカリバーを召喚し、まるで棒切れの様に振り回して戦う。障害物は全て壊して進む。見た目によらず超脳筋型。

 ・守護聖域。

 常時アリアの体を覆っている、夜空の様に美しいベール。自身を害する全てを遮り、無効化するパッシブスキルの様な物。八龍との戦いでは、効果範囲を拡大し展開することで、防御を捨てる代わりに領域内のcellを封じる離れ業を見せた。


【現在の行方】

 スカアハ、マーリン、若きイギリス国民達と共に、国家の立て直しに奔走している。

 元々一部の老害のせいで国家運営が滞っていたこともあり、悪政は急速に改革され、国として成長していっているらしい。

 ダンジョンの一件で主戦力が軒並み死んでしまったため、彼女は仲間達と協力しながら軍事関連の立て直しを担当している。




 円卓・第二席――Merlin 

 本名:ルカ コンプトン

 Cell:物体創造系Birther新世界議定書World Merlin Protocol

 一一歳

 身長一四〇㎝。

 ブロンドのパッツン髪が可愛らしい、まだ幼さの残る男の子。

 師匠であるスカアハに仕立ててもらった金色のローブを常に身につけており、自分で作った長杖をいつも持ち歩いているせいで、見た目は完全にちびっ子魔法使い。ロンドンのマスコットとして国民に愛されている。彼を模った人形やキーホルダーが一時期バカ売れし、恥ずかしすぎてマーリン自ら規制をかけたことがある。


【能力】

 ・縛りを設けた概念の創造。

 行使者をブリテンの血が流れる者に限定し、魔術という新規概念を生み出した。

 魔術が魔法と違う所は、その利便性と自由度にある。杖や箒、果ては日常生活道具に至るまで、完成した術式を刻印すれば、誰だろうとその術式に応じた魔術を扱うことができる。ただしその熟練度は、元来使用者が持っていた能力や才能に依存する。建築家が修復魔術を得意とし、料理人が炎魔術や切断魔術を得意としたり、などなど。

 ・自己構築型魔術

 物体に刻印された魔術は使用者の魔素器官に影響なく使えるが、その魔術しか使えない。反対にスカアハやマーリン、上級魔術師の様に自身で術式を構築できる者は、魔法と同じように魔素器官を通す必要があるが、あらゆる魔術を行使できる。

 マーリンの得意分野は、転移魔術、物体構築魔術、防衛魔術。


【現在の行方】

 その類稀なる頭脳を生かし、主に内政関連の改革に奔走している。イギリス国境に張ったバリアの術式をもう一度見直し、今度は東条ですら破れないバリアを作ろうと意気込んでいる。




 元円卓・第二席――Lancelot

 本名:エルザ ハミルトン

 Cell:精神干渉系Seeker湖面に揺蕩う回顧録Hell Fall Arondight

【プロフィール】

 六五歳。

 身長は一七二㎝。

 高貴さを隠せていないクッキリとした目鼻立ち。緩くウェ〜ブした銀色の長髪が纏められて右肩にかかっており、絶えず穏やかな微笑みを浮かべている。上品で落ち着いた雰囲気のあるお婆様。

 アリアの師匠でもあり、当時から最強に近かったアリアが間違った道に進まなかったのは彼女のおかげ。

 しかしその後味を占めた上層部が、エルザに英雄の養殖を命令したことによって、彼女の中で溜まっていた革命の意思が爆発する。イギリスに恨みを抱いている八龍と密かに結託し、国家をリセットする計画を進めていた。

 最後は子供達の親が作り出した龍化遺伝子を取り込み、銀色の鱗に覆われた半人半龍のモンスターへと変貌してアリアの元を去った。


【能力】

 ・聖剣召喚

 盾剣一体の重装備を召喚する。鉄壁の防御力に加えて、円卓二位の膂力から繰り出される一振りは、一撃で龍を真っ二つにする威力を持つ。

 ・精神支配

 武器の発光と同時に発動。過去のトラウマや精神的弱点に入り込み、一瞬でその時感じた全ての感情を想起させることで肉体の自由を奪う。その気になれば当時の記憶の中に閉じ込め、永遠にトラウマを周回させることもできる。

 ・龍化↔︎人化

 日常生活で勝手に尻尾が出たりツノが出たりもしてしまっている様だが、自由に姿形を変えられる日も近い。現在鍛錬中。


【現在の行方】

 理想郷として作ったイギリスダンジョン一〇〇階層を放棄し、七龍やテュポン、子供達と共に現在隠し通路を使って本陣に合流中。



 

 最高顧問――Scáthachスカアハ

 本名:ヴァイオレット ギネス

 Cell:支配系【影の王国Dún Scáith

【プロフィール】

 四四歳。

 身長一七四㎝。

 顔が隠れるほど大きな紫色の三角帽子を被り、布を裂いて体に貼り付けただけに見える前衛的な紫色の服を着ている。一言で表すなら、全身紫変態魔女。風が吹くと大事な部分が見えそうになるが、絶対領域は超えない魔術が編み込まれているため問題ない。扇情的な服を羽織ることで、男の視線を弄び楽しんでいる。

 ツバから覗く瑞々しい唇には紫色の口紅が引かれ、床まで伸びる漆黒の長髪は周囲の景色から明らかに浮いている。これは比喩でも何でもなく、cellにより髪全体が影化してしまっているため。

 天才以外に興味のない天才であり、凡人にはとことん冷たい。マーリンの生み出した魔術概念を彼以上に使いこなし、戦闘でも魔術を好んで使う。これは別に魔術が一番得意だからとかそういうわけではなく、cellを使ってしまうと戦闘が一瞬で終わってしまってつまらないから。敵の醜態をより長く楽しみたいという、彼女の嗜虐的な性格故。

 なまじ魔術で全てのことができてしまうため、日常生活でも体を動かすことが殆どない。そのせいで、最近体重が増えたことを酷く気にしている。

 マーリンとアリアと休養も兼ねてスパに行った際、アリアにお腹の肉をつままれて理性を飛ばした。二人のによってそこにあったスパが全壊し、地盤が掘削されたことによって新たな温泉が噴き上がった。近日、新しい温泉施設が建つ予定。

 最近はザ・シャード内のジムで、アリアと罵り合いながら汗を流すヴァイオレットの姿が見れるらしい。


【能力】

 ・自己構築型魔術

 攻撃魔術、防衛魔術、属性魔術、精神魔術、修復魔術、再生魔術、物体構築魔術、幻影魔術、転移魔術、変身魔術etc.

 ・影の王国

 現世から隔離された、自分だけの異界にアクセスできる。影の王国は広大な庭と王城だけが存在する黒い空間であり、時間や空間の概念がない。そのためここに食料を備蓄しておけば、いつでも影から新鮮な食料を取り出すことができる。

 ・王権

 影、闇、黒に類する物への強制干渉。影を質量化して武器防具を作り出したり、影を利用することで、王国を経由して長大な距離を一瞬で移動することもできる。東条の漆黒が何の抵抗もなく通過されてしまったのはこれのせい。

 しかしあの時、もし漆黒内に膨大なエネルギーが貯蓄されていたら、一歩踏み込んだ時点でスカアハの足は捻り潰れていた。東条が衝撃を吸収できる様に、漆黒内には常に空きを作っているのを見越してか、知らずか、スカアハの前では彼の絶対防御ですら無力となる時がある。

 ・武術

 彼女が好んで使わないため知っている者も少ないが、スカアハはあらゆる武器武術を、初見にも関わらず達人レベルで扱うことができる。アーサー、ランスロット以外の円卓は、身体強化と徒手格闘術だけで彼女にボコボコにされた過去を持つ。

 しかしそもそも体を動かすことが好きでなく、何より努力の必要のないこの能力に、スカアハは魅力を感じていない。


【現在の行方】

 国境の周りに影の軍勢を敷き、他国からの干渉を物理的に弾き返している。加えて圧力をかけてくる国には単身アポなしで乗り込み、力を見せつけて黙らせる。信用できそうな国には外交官を連れて伺い、支援や協力要請、同盟を結んで国の復興の一助となるよう動いている。

 現在は外交関連の仕事を主に担っている。愚痴を漏らしながらも一番大変な役回りをこなしているため、外交官達は彼女を尊敬している。





 S級ハンター・所属国:ドイツ

 国内序列一位――Siegfriedジークフリート

 本名:ポッポ ベヒトルスハイム

 Cell:感覚強化系【愛と非業の調律師Balmung Grenze Zerstörung

【プロフィール】

 四八歳。

 一八四㎝。

 整えられたオシャレな短髭と、襟足を残して雑に後ろで括られた濃紺の髪。

 本人は至って落ち着きのある紳士なのだが、ハキハキとした喋り方と、目力が特段強いせいで異様な圧がある。

 日本ブランド、Akaza Corporation製の防具を好んで着用しており、VIPの一人でもある。よく本社のある沖縄にも行くため、案外日本でも顔が広い。

 ファフニールとの戦闘で生き残り、一週間かけて自力でダンジョンを出た際、イギリスが壊滅していてビックリ。その後一緒にダイブした人間の殆どが死んだことを知りビックリビックリ。ドイツも死んだと思っていた彼が帰ってきたことにビックリビックリし、首都ベルリンでは三日三晩お祭りが続いた。

 何だかんだ元気。


【能力】

 ・聖剣召喚

 薄桃色に輝く剣、バルムンクを召喚する。

 ・適応と再構成。

 ジークフリートの命が危機的状況に陥った時、自動的に剣が発光、その環境に耐えられる肉体に再構成する。剣がある限り肉体が消し飛んでもゼロから再生するため、最早剣の方が本体と言っても過言ではない。加えて持久戦になればなるほど耐性を獲得していくので、時間が経つに連れてしぶとくなっていく。

 適応した変化は一日経ったら消えるが、逆に一日経たないと消えないため、外見に変化が出た時は苦労する。過去海の中で戦った際は下半身が人魚の様になってしまい、街までビチビチ跳ねて帰ったなんてこともある。

 耐えられる、というだけで無効になるわけではなく、攻撃をくらったら普通に痛いし死ぬ。死ぬけど生き返るだけ。この能力を使いこなす前提条件として、何度も訪れる死の恐怖と苦痛に耐えられる精神が必須になる。

 生憎能天気な彼にはピッタリだった。


【現在の行方】

 ファフニールのせいで特注した防具が塵と化したので、新しい物を作ってもらうために日本へ飛んだ。現在は友達の藜組と沖縄でバカンスを楽しみながら、国家機密レベルの事の経緯や顛末をペラペラと喋っている。本人に悪気はないので、ドイツ連邦国防省は許してあげてほしい。



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