一章〜騎士と魔術〜
6話
『GATE使わねぇって? アメリカとイギリスの間には、ユーラシア二個分の大陸ができてんだぞ? 最短で進んでも約二万㎞ある。どうやって行くつもりだテメェら?』
バァンッ、バァンッ
「歩いて行くつもりはないさ。それにここ数年ずっと対人戦ばっかだったからよ、勘取り戻さねぇと」
「ん。ダンジョンは危険」
ゴンガンゴンガンゴンッ
『それぁ構わねぇけどよ、間に合うんだろうな? ダイブは一ヶ月後だぞ?』
ズガンッギンギンギンッ
「だいじょぶだいじょぶ。たぶん一週間くらいで着く。ノエル、丸太もう一本」
「んよ」
『そうかい、しゅっぱ』
バァンッ、バゴンっ
『……出発は?』
「明日か明後日」
『どういう経路で行』
ズガァンッ、バキャっ
『……っどういう経路で、行くんだ?』
「やべっ、壊れた。バレちゃダメんだよな? ならアメリカ郊外までGATEで行って、そっから空の〜〜」
ゴンガンゴンガン
『あ? 何て?』
「だから空の〜〜」
バゴォンッ
我慢の限界に達したステラが、持っていた実験器具を叩き割る。
『ッッいいっかげんにしろやクソが⁉︎ うるっせぇんだよ⁉︎』
ギャーギャーとうるさいインカムに眉を顰めた東条は、ノエルから受け取った丸太をバァンッ、と真っ二つに引き裂いて屋根にはめ込む。
自宅の庭に建つ簡易的なログハウス。
東条とノエルは頭に巻いていた手拭いで汗を拭い、達成感に一息ついた。
「良〜い感じじゃないの」
「ん。可愛い」
『あぁ⁉︎ 何が』
「ネロ、どうだ? 確認頼む」
「……ゴルルルゥ」
東条にツノを撫でられ、そばで丸まっていたネロがノソノソと立ち上がる。そのままログハウスを両手で抱え、翼を広げて羽ばたいた。
「どうだ?」
「グルッ」
「よっしゃ」
「んっ」
着地してサムズアップするネロに、二人もグッ。
『は? おい、何の話だ?』
「てかこのこと見美さん知ってんの?」
東条はベンチに腰掛け、完成を祝いログハウスの周りをグルグル回っている龍と蛇を見ながら水を呷る。
『あ、ああ。見美は知ってるな』
「あーおけおけ、そういう感じね」
『でどうやって行くんだよ?』
「マサっ、内装作ろ!」
「あいよ〜。っぁおいネロっ、首突っ込むな壊れるだろ!」
『おい! おいって!』
楽しげにガンゴンガンゴン始まる中、またしても何も知らないステラであった。
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