読者リクエスト1


〔第1試合〕ハワイVSニューヨーク



 ・ルールは勝ち抜き戦。


 ・試合時間は無制限、どちらかが戦闘不能になるかギブアップするまで。


 ・武器、防具、あらゆる能力の使用可。



 控室に戻った代表選手達。


 東条は可愛い猫耳ノエルとツーショットを撮ってもらった後、皆でジャンケン。


「お!1番かよ」


「ノエル2番」


「これは、今日は回ってこなさそうだな」


「筒香さん、軽食でも買いに行きません?」


「ああ。奢ろう」


「マジですか、何か良いことありました?」


「……朧、俺はそんなケチな男じゃないぞ?」




 ――「『さぁ始まるぜ野郎どもォ‼︎拍手で迎えろォ‼︎』」


 途轍もない歓声とそれを上回るブーイングの中、東条は大きく優雅に、舐め腐りお辞儀をしながら闘技場へと入場する。


 遠くのVIP席に座る紗命、灰音、亜門、紅に投げキッス!

 撃ち抜かれたフリをする2人と中指を立てる紅、その指を隠す亜門を笑い、位置に着いた東条は天を仰いだ。


 可動を始めガバァァ、と開く天蓋の隙間から、青空が光を差す。本当に金が掛かった施設だこと。


 東条は同じく位置に着く対戦相手を目に、ポキポキと首を鳴らし腕を回す。



 ――1戦目



『ゥオオオオオ‼︎』『頑張れニューヨーク‼︎』『あの野郎をぶっ飛ばしてくれ‼︎』『お前らなら出来る‼︎』『来ちゃぁあ‼︎』『Looks strong』『日本は一夫一妻制なんだよボケがァ‼︎』『殺す殺す殺す』『Anybody know what he was?』『Didn't you watch his game?』『He's fucking strong』『俺達のアイドルまでっ……クゥ』『Why Japanese from Hawaii?』『泣くな‼︎祝福してやれ』『無理だよ兄ちゃんっ俺やっぱり悔しいよっ!』『言えたじゃねぇか』『それで良いんだよ、兄弟』『今は泣け。その涙が明日の道になる』『ぅああああああっ』『ヒグゥっ』『クソ、クソ』『頑張れニューヨーク‼︎』『負けるなニューヨーク‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『NY‼︎』『草』『誰か応援してやれよw』『……W,Why are they supporting our country?』『LoL』『Apparently he had sex with a popular idol in their country』『lol』『LoL』『lol』『おい笑われてんぞお前らw』『草』『w』『なぜ笑うんだい?彼らは真剣だよ?……ブフォぉっ』『頑張れニュゥゥヨォオオクッ‼︎‼︎‼︎』



 ――開始



 ばーん。



 終わり。


『はい次ィ!』『次持ってこいィ‼︎』『ジャンジャン持ってきちゃってぇ‼︎』『LoL』



 ――2戦目


 年は14歳程だろうか、ポケットに両手を入れた少年が、ダルそうに闘技場に上がってくる。


 目を隠す様に伸びた前髪。立ち姿から滲み出る尊大な態度。


「ずいぶん若いな」


「……はぁ」


 定位置につき溜息を吐く少年に、東条は首をすくめる。


「『2戦目にして早くも登場‼︎最年少最速でGSに上り詰めた天才‼︎その能力は未だ謎に包まれたミステリアスボーイ‼︎『万能の落胤』――アルハイィィル‼︎』


「へー」


「チッ。……ねぇ、」


 司会者の紹介に舌打ちしたアルハイル君が、見下すように東条を睨む。


「?」


「あんたさぁ、調子乗りすぎじゃない?」


「え、あ、はい」


 なんか始まった説教に、東条は気をつけする。


「日本から来たか何だか知らないけどさ、僕嫌いなんだよね。あんたみたいな自分のことしか考えてないようなバカ」


「……ぇ〜(初対面の中坊に暴言吐かれてるんだけど俺)」


 東条は困惑しながらも、ペラペラと薄い講釈を垂れる彼を数秒見つめてから、ポン、と手を打つ。

 既視感があると思ったら、これはあれだ。オンラインゲーム中によくいるキッズのアレだ!


「ああ〜、I see I see」


「……なに?」


「君アレだろ!今まで学校とかでも馴染めなくてずっと引き籠もってゲームしてたけどいきなり凄い力持ってチヤホヤされて気持ち良くなっちゃってる厨二病真っ只中のイキリ隠キャだろ!」


「…………」



『Oh』『これは効いた‼︎』『何て?』『やめてさし上げろw』『LOL』『こぉれはクリティカルだ‼︎』『大丈夫だ、俺らが憑いてるぞイキリ隠キャ!』『憑いてて草』



 東条は目元をピクピクさせるアルハイル君に優しい笑みを浮かべ、頷く。

 誰もが通る道、バカにしようなんて思わない!


「仲良くしようぜブラザー!」


「…………泣いて謝っても許さないから」


 司会者が腕を振り上げ、東条とアルハイルを隔てるホログラムの壁がカウントダウンを始める。



 ――「『3、2、1、ッ開始ィイ‼︎』」


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