世界よ、これが日本だ。
そして翌日、技術展示会場を含めた広い敷地を持つエリアに、ソファや巨大スクリーンが設置され、浮遊式の屋根が日差しを隠し冷風を吐き出す。
続々と集まる人達が興奮にサングラスを付け、ジャンクフードを片手にソファに座った。
――半径500mのドーム型円形闘技場。
ぐるりと囲む観客席には、運良くチケットを入手した人達が今か今かと首を長くして待っている。
加えその上には投影されたホログラムが浮かび、リアルタイムで世界中のコメントが爆速で流れる。
途端、会場がブラックアウト。
騒めきと共に小さなハウリングが鳴り、スポットライトが闘技場の中心、マイクを持った司会者に当てられた。
静まる会場に、司会者は優雅にお辞儀する。
「……私達の生活は、突如現れたモンスターにより一変した。
偶発的に湧く強大なモンスターに現代兵器は通じず、人間を食い殺し、好き勝手に街を壊す奴らを前に、私達は何も出来なかった。
もう無理だと絶望し、諦めようとしていた、……しかしそんな時だ。
彼らは現れた。魔法を操り、特殊な能力を使いっ、瞬く間にモンスターを撃滅していった!私達は彼らをハンターと呼び、英雄と呼び、その力に感謝したのだ。
……彼らのおかげでアメリカに平和が戻り、私達も元の暮らしへと戻ることが出来た。
……しかしそんな中、私は気になってしまった。強欲な人間の性か、気にせずにはいられなかったのだ。君達もそうだろう?だからここにいる!
……ハンターの中で、誰が1番強いのか、と」
ニヤリと笑う司会に、会場が湧く。
一気にカラフルにライトアップされたドームを重低音が揺らし、空気が一変。司会者がバッ、と大きく腕を開き歩き出す。
「これより始まるは英雄同士の一騎討ち‼︎勝つも負けるも実力勝負‼︎
アメリカ、いや、……世界最強が決まるその瞬間を、その目に焼き付けろ‼︎
Ladies and Gentlemen!!大変長らくお持たせいたしました!
ッハンター達の入場ダァ‼︎」
爆発する歓声とミュージックに乗せ、入口から順に、それぞれのユニフォームを着た代表達が姿を見せる。
「まァずはやっぱりここだろう⁉︎カリフォルニア‼︎――『
赤と金の外套。背中には化物のロゴ。先頭を行くベルナルムの掲げた拳に 、とんでもない歓声が上がる。
「テキサス‼︎――『TX〜supreme〜!!!!!』」
赤、青、白のアメリカらしいユニフォームが映える。
「フロリダ‼︎――『
黄色の明るいユニフォームを着て笑顔を振りまく代表選手。
「ニューヨーク‼︎――『Cr
銀とオレンジのユニフォーム。胸の星章がライトに輝く。
「ペンシルベニア‼︎――『
青に金の刺繍の入ったユニフォーム。背中にはナイフとフォークを持った可愛らしいドラゴンのロゴ。
ガブリエーレが投げキッスしながら進み、その後ろから緊張する3人が続く。
「イリノイ‼︎――『Gran Central!!!!』」
赤と白のストライプのユニフォーム。
「オハイオ‼︎――『riverty』」
コバルトブルーの水をイメージしたユニフォームが美しい。
そして最後、司会者が興奮に叫ぶ。
「――ッッハァァワァアイィイ‼︎――『
黒いエナメル質のフード付きテックウェア。
表面を走る柄と裏地は、毒々しい程に明るい蛍光ピンクで彩られている。
背中に刻まれる、ロリポップを噛み砕く
物騒なロゴを背負った4人のアウトローが、爆発する歓声とブーイングの中堂々と歩みを進める。
屈強な男達を導くその先頭。
特注の猫耳フードを被ったノエルが、ポケットに手を突っ込みながら悪そうにトテトテる。
「ハッハッ!世界が俺らを見てる」
その後ろで両手を大きく広げ、脚光を全身で浴びる東条。
「早く進んでください」
のケツをフードを被った朧がダルそうに蹴り押す。
「懐かしい気分だ。……上がってきた」
最後に続く葵獅がフードを脱ぎ、獣眼を細め楽しそうに笑う。
完全なアウェイ。
目に入る人間全員が敵。
他6チームから放たれる、空気が震える程の殺気。
……されど日本の歩みを止めるに能わず。
まるで児戯だと馬鹿にしながら、
国を喰らうは狂気の嘲笑。
「……ん。目指せパーフェクトゲ〜ム」
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