8章〜「お、久しぶりじゃん」「よ」
第19話
――同時期――
――晴れ渡る空の下、
――広大な水面の上、
――穏やかな波に揺られ、1艘の
「……ん?」
筏の上に裸で仁王立ちする男が、手で望遠鏡を作り赤い蛇眼を細める。
「ぉお、おおお!」
「……んー?」
1人はしゃぐ男を鬱陶しそうに、デッキに裸で寝っ転がっていた幼女がムクリと起き上がる。
そんな彼女に男、改め東条はバッ、と振り返り遠方を指差す。
「ハハハッ!着いたぞノエル‼︎」
「んー?……ぉ、おお!」
幼女、改めノエルも目を細め、米粒のような大陸を凝視する。
するとその海辺に、更に米粒大の動き回る影。
あれは、人だ!
「やった!やった!」
「こうしちゃいられねぇ!とりま服着ろノエル。人間界では服着てねぇと捕まるらしいぞ」
「ノエル服もうない。この前食われた時全部溶けた」
「なら草でも巻いとけ」
「ん」
草を生み出し、大事な場所にペタペタと貼るノエルを他所に、
股間を漆黒で隠した東条は伸びた髪を後ろで結い、デッキに置いた鏡代わりのモンスターの鱗の前に座る。
鋭利なモンスターの爪を使い、ゾリゾリと生え散らしたヒゲを剃り始めた。
「着いたらまずはどこ行くよ?」
「飯!ハンバーガー!肉!」
「だな。久しぶりに文化の味を思い出したい」
工夫もクソもない肉と草と魚を食べて早1年。流石に舌の限界だ。
「飯食ったらー床屋行って、んで服買うか」
「ん!いっぱい遊ぶ!」
「ハハッ、待ちに待った初外国だ!飽きるまで楽しもうぜぇ‼︎」
「おー!」
2人は近づいてきた常夏の楽園、
――ハワイに向けて拳を突き上げた。
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