第17話




「はぁっ、はぁっ、はぁっ、っだはぁー!」


「っ、ふぅぅ……、終わり、ですかね」



福岡県危険区域。



そこら中に戦闘の跡が残る、夥しい数のモンスターの死体の中心。


上裸のまま滝の様な汗を流す、むさ苦しい中年が2人。


「最後のラッシュはヤバかったっ。だから群れる奴らは嫌いなんだ!」


魔刀を鞘に納め迸る雷撃を抑え、杖代わりにする斉藤が愚痴る。


「……疲れた」


魔刀を鞘に納め逆巻く陣風を抑え、土方が天を仰ぐ。



藜のおかげで蘇った2人は、現在借りを返すために奮闘していた。


仕事内容は日本国内の危険区域の奪還。


1部は駆け出しのために意図的に残すことになったが、それ以外は邪魔なだけ。

最上位ランカー達が新大陸を狩場にした今、早急な駆除が必須。

国内に残る危険区域を消す仕事は、軍と中堅に一任されることとなった。


そして現在、中堅と呼べ、調査員を食いぶちとしているランカーは斉藤と土方しかいない。


藜は丁度いいのがいた!とこの2人を軍とのかすがいとしての役割も含め、国からの協力要請を全て2人に丸投げしているのだ。



別の場所で戦っていた軍の隊員が2人に駆け寄る。


「お2人ともお疲れ様です!現在上空と地下からの報告で、福岡危険区域のモンスターの掃討が確認されました!」


「おお、そりゃ良かった。お疲れさん」


「装備って弁償して貰えるんですよね?」


「え、あ、はい!勿論です!」


「なら良いです。あと我々着て帰る服もないんで、上着貰えます?」


「了解です!こちらへ!」


元気な隊員に続き、血溜まりの中をビチャビチャと進む。


「……先輩、タバコあります?」


「あるわけねーだろ。装備ごと吹っ飛んだわ」



「「……はぁあ」」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る