ケぷッ、

 


 急いでノエルに追いつきキャッチした巨神は、


「ちょっ、俺もぉバっ」


 海に落下してゆく東条と目が合うもスルーする。


 東条は岸に手を着き、ビシャビシャと這い上がる。


「はぁ、はぁ、……この薄情もんが、」


「ふぅ、……疲れた」


 パキパキと自分に生えた草花を折りながら、ノエルも地面に飛び降りた。


 ……数分前まで緑豊かだった島の姿は、今や対岸まで見通しが良くなり見る影も無い。


 辺り一面禿げた大地で覆われ、その中央には、大きな蛇龍が更に捻り合わさり1つのとぐろを巻いている。


「……うんこみてぇ」


 バシッ、とノエルが東条のケツを蹴る。


「いてて、そーいやお前のイヤカム生きてる?」


 東条は自分の雷装でオシャカになった通信機をポイ、と捨てる。


「んー、ん、たぶん死んでる」


「たぶん?」


「なんか繋がんない」


 ノエルはカチャカチャとイヤカムを弄り、諦めポケットにしまう。


「大人しくここで待つか」


「送って」


「ワガママ言うな。魔力カラッカラだわ」


「ん」





 ――ピシッ






 その時だった。


「っ⁉︎」


 ノエルが思いっきり東条を突き飛ばす。


「――ッッ⁉︎」「ガッ、ァ⁉︎」



 ――瞬間、ズラララララララララララララララララッッッッッッッ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎



 と大地から突き立つ骨の刃が島を埋め尽くした。




 切り飛ばされた東条の左腕が宙を舞う中、











「ケぷッ、」









 血を吐くノエルの胸を、1本の骨刃が貫いていた。

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