William
「……やはり銃火器は効かない、か」
与えたダメージは火傷程度。
もうもうと舞う砂煙の中、雄叫びを上げモンスターの大群が駆け出した。
数歩でトップスピードに達した2匹の獣型が、棒立ちのウィリアムに向け一気に距離を詰め牙を剥く。
「ギガ⁉︎」「ギュエ⁉︎」
刹那、ウィリアムの周囲の空間が波打ち、触れた2匹が血を吐き吹っ飛んだ。
「奴らは恐らく新大陸のモンスターだ。銃火器は牽制、攻撃は魔法に限定しろ。部隊長を先頭に
ウィリアムはモンスターの大群に向かって正面から1歩を踏み出し、獣の臭いが混じった潮風に軍服をはためかせた。
「……5分で終わらせるぞ」
「「「「「「Roger」」」」」」
ウィリアムに飛びかかったモンスターを、彼の背後から飛び出した『Beaster』3人が切り裂く。
同時に白雷を纏ったウィリアムの姿が掻き消え、白砂のビーチにレッドカーペットが敷かれた。
「……(首魁はどこだ?)」
ウィリアムはボタボタと降る肉片の雨の中、手当たり次第目についたモンスターを蹂躙してゆく。しかし流石新大陸産、固い。部下達では多少手こずるか。
「キシャァアアア」
サソリ型モンスターが振り抜いた巨爪を無造作に振り払うと同時に、またも空間が波打つ。
「ァアッボビュ⁉︎」
瞬間巨爪が腕ごと吹っ飛んだサソリの顔面に前蹴り。空間が揺れ、サソリの顔面が陥没、逆側から内臓を全てぶちまけさせた。
「……ッ」
白い残光を残し砂を蹴り駆ける。殴り飛ばし、叩き潰し、弾き殺し、蹴り飛ばす。
「ゴルァアア‼︎」「ギェッギェ‼︎」「ボルルルル‼︎」
「……」
自分に向けられた高威力魔法の一斉攻撃を冷静に見定め、――発動。
「『
刹那空間が波打ち、ウィリアムに触れる直前で全ての魔法が向きを変える。
「「「「「――ッ⁉︎⁉︎」」」」」
数倍の威力で射出された魔法は、放った本人に着弾し大爆発を起こした。
William Long――
彼に向けられた害意がその身に届くことはない。
彼に向けられた凶刃は数倍になって跳ね返る。
攻防一体最強の盾。
あらゆる邪悪を払い除けるその男の前に、
「……」
「…………フシュゥゥゥコココココ……」
白き邪悪が舞い降りた。
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