幕間 雪原に咲く一輪の菊

 




 東条達が沖縄を去る、その1日前。




 日本列島最北の都道府県、指定特別区域、北海道。




 魔素の影響でやまない雪が降り続ける中、1人の女性が白い息を吐く。




 ボロボロのセーラー服を着た彼女は曇天を見つめ、





「………………入られた」





 1人静かに呟いた。



 途端彼女の全身から魔力と同時に途轍もない怒気が漏れ始め、周囲の小動物が失神し、小型モンスターが逃げてゆく。



 それは底知れぬ狂気か、はたまた愛か。



 黒く染まった彼女の心は菊の中。













「何してる、行くぞ――――紗命―――――」












「…………はぁい」



 しんしんと降り積もる真っ白な雪。



 命を貪る銀の世界。




 柔らかな笑みの裏は、悪魔のみぞ知る。




                                                                                                                                  〜7巻・完〜

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