検証 もしも生身の東条が銃を持ったら

 

 ――「――ッ」


 東条は左手でガシャコン、とリロードすると同時に、襲いかかってくる敵の頭部に向けて右手のベネリを3連射。

 余弾を食らい動きの止まったモンスターに2丁を向け、纏めて吹き飛ばす。


 地面を蹴り疾走。ガシャコン。


「グルァッギャン⁉︎」


 獣型の腹下をスライディングで通り抜けざま発砲。


 左に跳躍、正面のホブゴブリンの拳を躱し発砲。頭部を吹き飛ばす。


 回転で受け身を取り、駆ける。ガシャコン。


 ゴブリンを蹴り飛ばし、ドミノ倒しになった先頭の顔面に、


「ゥラァッ!」

「ゲビャ⁉︎」「ウギャ⁉︎」「ィギ⁉︎」


 ベネリの銃口を突き刺し発砲、発砲、粉砕。

 死体を踏み潰し、襲いかかって来るコボルトの目に血肉を飛ばし、レミントンでその頭部を吹き飛ばした。


「――っ、チッ」


 踏み込み、疾走、爪を躱し、牙を躱し、拳を振りかぶった前方のオークに向けて加速。


「ゴア‼︎ァ⁉︎」


 拳を振り下ろすと同時にタイミングをずらし跳躍、グルン、と前宙し、


「シィッ‼︎」


 思いっきり振り下ろしたショットガンで頭をかち割った。


 噴き出る血を残し、オークの肩を踏み再度跳躍。防衛ラインとして並べられたトラックの上に着地した。


「ハハっ!あっぶねぇ‼︎」


 レミントンを脇に挟み、2つずつ薬莢を掴んでベネリに装填する。リロード。

 レミントンにも装填し、ガシャコン。


 その瞬間、


「『マサしゃがんで』」

「――ッ」


 ヘルメットに取り付けられた無線からノエルの指示が飛ぶ。


 全力でしゃがんだ東条の頭の上を、放たれたライフル弾が通過。後ろから襲い掛かろうと跳躍したカエル型の身体半分を吹き飛ばした。


 ガシャン、とリロードしたノエルは、再びガトリングに座り防衛ライン外の掃射を始める。


「こっわ……」


「『マサバカ?ショットガン2丁持ちなんて隙が多すぎる。1丁にして』」


「……でも」

「『でもじゃない』」


「……はい。ごめんなさい」


 渋々立ち上がった東条は、自身の乗るトラックに群がるモンスターに向けてレミントンの銃口を向ける。


 ズダァン‼︎ガシャコン、ズダァン‼︎ガシャコン、ズダァン‼︎ガシャコン、ズダァン‼︎ガシャコン、ズダァン‼︎ガシャコン、ズダァン‼︎ガシャコン、ズダァン‼︎ガシャコン、ズダァン‼︎カシャ、カシャ、


「うし、」


「っアギャ」


 ライン外にいるゴブリンの顔面にレミントンをぶん投げた後、トラックから飛び降り、血肉の中に着地。


 積み重なった剥き出しの骨を蹴って一気に駆け出した。


 飛びかかって来る獣型の顎を蹴り上げ、銃口で地面に押し付け発砲。


 前、右、左から突っ込んでくるワーウルフの頭部を一瞬で吹き飛ばし、力無く倒れる前方のワーウルフの死体に後ろ蹴り。


「ギ⁉︎」


 昆虫型にぶつけ、ワーウルフの死体ごと3連射。

 左手で2つの薬莢を掴み、瞬間サイドステップ。


「ゴルァア‼︎」


 ハイオークの棍棒を躱し、装填。


「『ごめんマサっ、逃した』」


「問題ない。お前はライン外だけ見てろ」


 躱し、装填。


「『ん』」


「フゥ……っ」


 振り下ろしを半身で躱し、横薙ぎをバックステップで躱し装填、蹴りを前転で躱し同時にリロード、膝へ向けて発砲。


「ゴ、ア⁉︎」


 立ち上がりざま銃口を肩から後ろに向け、背中に襲い掛かろうとしていた獣型の頭部を吹き飛ばす。


 ハイオークが膝をつきながらも振り抜いた棍棒を上体逸らしで躱し、肘に向けて発砲。腕ごと棍棒を吹き飛ばし、叫ぶ間も与えずその豚鼻を血煙に変えた。


「……くふっ、ハハっ、ハハハっ……――ッッ」


 返り血を浴びながら笑う東条は、一気に反転、左手に薬莢、右手にショットガンを持ち全力で駆け出す。


「ギャン⁉︎」「グビャ⁉︎」装填、リロード「ギギャ⁉︎」「ビュブ⁉︎」装填、装填、リロード「ブシュ⁉︎」「アビャ⁉︎」「バビュシュ⁉︎」「グェ⁉︎」装填、装填、リロード「バゲフっ⁉︎」「アバふ⁉︎」「オボエ⁉︎」装填、装填、装填、リロード「ゴォエ⁉︎」「ブジョエ⁉︎」「ウィギ⁉︎」「ギャオぁ⁉︎」「ギャチュ⁉︎」「ゴハァア⁉︎」


 殺し、躱し、殴り、殺し、殺し、躱し、躱し、殺し、蹴り、殴り、殺し、笑い、殺し、殺し、殺す。


「ヒャハハハハハハハハハハッ‼︎」


 モンスター達は狂気の中で身震いする。


 血を浴びながら大笑いするその人間は、どこの誰が見ようと普通ではなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る