7巻 1章 どこ行った?
幕間 その女は海を見る
§
「……」
……心地よく響く細波の音色。
……潮の香りを運ぶ柔らかい海風。
……波打ち際の足元では、一定のリズムで白砂が追いかけっこをしている。
変わり映えしないこの光景には、随分と前に飽きてしまった。
「………………暇だなぁ…………」
程良く焼けた褐色の肌を陽に晒す彼女は、灰色のショートヘアを風に揺らし、
今日も今日とて呟いた。
§
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