72話 Dear family
――二人が動いたのは、同時。
拳と聖剣が衝突し、辺りが吹き飛ぶ。
刃を雷撃ごと弾き飛ばし、右回し蹴り。
(魔剣でガード、[射線上が抉れ飛ぶ]そのまま切り上げる)
血を吹く脚を引き躱し、後ろ回し蹴り。
(聖剣で叩き切るも、力負けしぶっ飛ぶ。浮遊する岩石群をぶち抜き、地面に激突。滑走)[直後地面が大陥没、陥没、陥没、陥没]
超低姿勢で走り抜ける白猿の右脚に、引力の狙いを定めるが、
「っ……チッ。さっきのか」
弾かれる。
(地面を破裂させ跳躍。浮遊する岩石を足場に、目にも止まらぬスピードで跳ね回る)
目で追うのを止め、魔力感知に集中。左右上下右下左下上右下左上下右上下――
「『――ダミー』」
――左
「カっハッ⁉︎」
脇腹が血を吹き、傷口を電撃が犯す。
(岩石を破壊し再度跳躍、魔剣を横薙ぎに振り抜く)
杖に魔力を集中させガード。[ギャリリリリッッ]へし折れ、剣先が胸に直撃、血を靡かせ身体が後方へ吹っ飛ぶ。
(大跳躍)
地面に衝突寸前で停止。弾かれる様に退避。
(渾身の力で聖剣を突き立てる。[大地爆砕]開放。[爆炎が放射状に大地を吹き飛ばした]
超高速で飛行し、うねる業火を躱す。
(滑走)
急停止。[八本の爆炎が牙を剥き突撃]燃えるコートを引っ掴み、投げ捨てた。
「……堕ちろ」
[圧殺。轟音と共に空間内の地面が十メートル沈んだ]
「『――ダミー』」
(首に狙いを定め、大跳躍)
――[黒い剣が、線となる]
――振り向くと同時に剣を潜り、伸ばした左腕を振り抜いた。
「慣れた」
[ダァアアンッッ‼︎]「――ッゲボァガァッ⁉︎」
ラリアット。胸骨と首を潰した感触を腕に、白猿を押し飛ばす。
「がフッ」
(血を吐き回転しながら落下、大地を粉砕)
[浮遊していた岩石群の半分が、白猿目掛け突撃]
「ゴッ⁉︎アッ⁉︎ガッ⁉︎ゲッ⁉︎アガッ⁉︎――」
[盛大な土煙を立てながら、巨大な暴力の嵐が一匹の獣を襲う。
――止む事を知らない隕石の群れは、いつか天を突く岩の塔を造った]
「……」
ネクタイを緩め、第二ボタンまで開ける。
[一瞬の静寂――塔が爆散]
「フシュゥウウ」
(全身から血を吹きながら、充血した瞳で藜を睨む。
今の攻撃でさらさらと崩壊する聖剣を投げ捨て、魔剣を構えた)
「『
「――わたしがわたしの悪魔を見たとき、悪魔は厳粛で、徹底的で、深く、荘厳であった」
「『
「それは、重力の魔であった。――」
「『
「der Geist der schwere」
[死という概念が怨霊に宿り、数万の軍勢となって藜に手を伸ばす。
空間内の重力が歪み、激流となって、白猿という一点に向かって押し寄せる。
――互いの『魔』が触れ合った瞬間、
閃光、轟音、爆風。隔離空間に亀裂が入り、弾け飛んだ]
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